中国の貿易発展は目覚しく、「有名商標」(中国語では「馳名商標」と表記)は、近年大量に増加した。特に、浙江省紹興市は、この2年間で64件も有名商標が増え、そのうち、5件が、行政過程を通して認定されたが、その他の59件は、全て司法過程を通して認定されている。詳しくは、これら現地企業の「有名商標」は、主に、内モンゴル、湖南、湖北、江西、陝西等の地方裁判所による司法過程を通して認定されており、こうした事から、「有名商標」が多量に氾濫し、「有名商標は有名ではない」の現象が、益々ひどくなっているため、最高人民裁判所は、司法的解釈を草案中であり、「有名商標」が疑いを持たれる状態から挽回できるよう望んでいる。
中国の「有名商標」は、台湾が呼ぶところの「著名商標」に当たる。中国の現行の商標法と有名商標認定の関連規定によると、「有名商標」を認定するのは、が「案件毎に有効」の原則を実行する。即ち、各商標が、商標侵害案件、商標異議案件または登録商標取消し案件と結合して始めて、有名商標への認定を申請できる。目下、有名商標認定の主管機関は、国家工商総局商標局、商標標審委員会及び人民裁判所である。
しかしながら、近年来、多くの地方で、特に東部沿岸の経済発達地域のいくつかの企業に、特別に他の省に赴いて訴訟するという奇怪な現象が現れた。司法過程で認定された「有名商標」の数量は、行政認定された商標の数量よりはるかに多い。
2007年12月末、寧波の企業「史翠英」は、司法認定を経て、有名商標に認定された一案であるが、更に公衆の注目を浴びたのは、「有名商標」の司法認定の公的信頼度に対する疑いである。「史翠英」食品発展株式会社は、寧波の、ある極一般の食品企業であり、年間納税額は人民元数十万元にすぎない。この企業の商標が突然「中国有名商標となったことで、業界は騒然となった。該企業の有名商標を調査したところ、2007年12月19日に、山西運城市の中級人民裁判所の判決で有名商標を取得していた。
「史翠英」社によると、山西省運城市の住民が、www.史翠英.netの中国語ネットドメイン名を「先制登録(pre-emptive registration)」したことを発見し、即刻、運城の中等裁判所に上訴し、裁判所に、「史翠英」の商標を、「中国有名商標」であると認定するように、また、被告に侵害行為を停止し、該ドメイン名を譲らせるようにと要求した。全体の全訴訟課程で、被告は一度も姿を現すことなく、2007年12月19日、運城市中等裁判所は、欠席裁判で、「史翠英」を中国著名商標と認定した。
中国は目下、「有名商標」の取得過程には、行政および司法の両種を認定している。2003年以前は、大多数が「有名商標」の認定は、国家の工商総局を介した行政認定であったが、2003年に中国で、有名商標の認定および保護規定を制定してから、人民裁判所が、司法によって有名商標を認定するケースが徐々に増えていった。司法による認定は、各地の中級人民裁判所以上の審判機関で行い、認定数も制限がなく、実際に権利侵害の案件が発生した場合のみ、裁判所を通して、審理、判決が行われ、有名商標が発効される。よって、司法認定は、多くの企業が注目する場合ほど、簡便、すばやく認定の過程に進める。いくつかの企業は、偽の訴訟を企ててさえも、早急に有名商標を獲得し、商業目的を達成しようとする。
浙江省工商行政管理局商標所所長は、「行政の課程により有名商標を申請するには、一般に1,2年の期間がかかり、ひどければ更に長い。毎年の有名商標数に制限があるから、認定されるのは相当困難である。」と述べる。また、浙江省高級人民裁判所民三廷の廷長周根才氏は、「2007年の浙江省の企業は、省外の各地で、司法認定の有名商標を得た企業が73件で、司法認定の有名商標は、各案件にのみ存在意義があり、その目的は、有名商標の権利者の合法権益を保護することであり、国際的慣例に合致する。ただし、目下、どのようにして有名商標の保護制度の乱用を減らし、回避するかが、対面しなければならない緊急の問題となっている。」と述べる。
中国は、司法界の要人が呼びかけあい、司法機関に対して、全面的調査を行うべきである。条件にあわない有名商標は、取り消さなければならない。有名商法を認定するために、意図して偽造を行う、または数人で偽造を企む者は、法によって制裁されるべきである。
今のところ、最高人民裁判所が有名商標が氾濫する問題を解決する為、緊急に、関連する司法解釈を追加草案中であり、解釈の結果を、近日中に公布する予定である。