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アメリカの金融サービス業を中心
としたブロックチェーン特許出願分析


 近年、暗号通貨(cryptocurrencies、仮想通貨ともいう)及びブロックチェーン(blockchain)システムを利用する企業が急速に増えている。アメリカではこの分野で既に、デジタル通貨本位制(digital currency standards)、デジタル通貨取引(digital currency exchanges)、ブロックチェーンアルゴリズム及びインフラストラクチャ(blockchain algorithms and infrastructure)、ブロックチェーンのフロントエンド/バックエンドアプリケーション(blockchain front- and back-end applications)、ブロックチェーン関連のエンタープライズテクノロジー(blockchain-related enterprise technology)などの多くの特許が出願されている。

 以下は、1,045件の公開済み/審査中/特許証交付済みのアメリカの特許出願を分析したものである。これらの案件はブロックチェーンと分散型台帳技術(distributed ledger technologies)に関するものだが、情報セキュリティと認証(security and authorization)といった一般的な暗号化関連特許は、分散型台帳技術や並行性制御アルゴリズム(decentralized concurrency methods)に関連しないため含まれていない。

 下記の表は、アメリカの上位10位のブロックチェーン特許の保有者である。主要な保有者を見ると、402 Technologies S.A.は、ルクセンブルクに拠点を置く特許権保有会社(patent holding company)であり、World Award Foundation/World Award Academy/AMobilePay, Inc.については曖昧で、企業の属性がはっきりと分からない。その他のこれらの特許を有している企業は、カリフォルニアのティブロンとテキサス州のオースティンに拠点を置いている。
 

   

 上記の金融業界のブロックチェーン関連の上位10位の特許保有者は、特許査定済み特許と公開済み特許を合わせて統計したものである。この種の特許を最も多く保有する企業はBank of Americaで、計43件保有している。それに続くのが、IBM27件)、Mastercard27件)、Fidelity14件)、TD Bank11件)で、その他の金融業界のブロックチェーン特許保有者は、10位圏外のVisa Inc.7件)、American Express6件)、Nasdaq Inc.5件)がある。 
 興味深いことに、ブロックチェーン特許を保有する取引所はNasdaq Inc.だけではなく、Chicago Mercantile Exchangeもこの分野で2件の特許を保有しているが、デジタル通貨取引のcoinbase Inc.13件)には遠く及ばない。

     

 最大の業界グループは、ブロックチェーン関連の企業と、ブロックチェーン及びデジタル通貨システムの技術開発、商品、サービスを専門とする企業で、この分野でのアメリカの特許の約59%を保有している(公開済み及び特許査定済みの特許を含む)。

 coinbase Inc.のほかに、ブロックチェーンを主とする特許保有者は、BitMint CTO(最高技術責任者)兼IOTA財団メンバーのGideon Samid(特許8件)、コンテンツ収益化プラットフォームのMonegraph Inc.(特許7件)、金融機関に分散型台帳アプリケーションを提供するDigital Asset Holdings(特許6件)、ブロックチェーンをベースとしたサプライチェーン技術を提供するSKUChain Inc.(特許6件)、情報セキュリティ、暗号化及び分散型台帳技術の開発企業のMedici Inc.(特許5件)である。

次に大きな業界グループは金融サービス業で、この分野の特許の約20%を保有している。

 伝統的テクノロジー企業これらの特許13保有、特許権保有会社(a mix of patent holding companies)、小売業(retail)、コンサルティング会社(consultingとゲームエンターテインメント企業(gaming/entertainment companiesがその分野8特許保有している。小売業にはAmazon Technologies(特許4件)、eBay(特許2件)、Wal-Mart(特許1件)まれている 

   

 伝統的テクノロジー企業で、IBM27件の特許を保有しているのは異色であり、アメリカの主要なブロックチェーン関連の特許保有者としてMasterCardと共に2位になった。大手多角化テクノロジー企業ではDell(特許8件)とSony Corporation(特許5件)が、特許保有数上位20位に入っている。意外にも、GoogleOracleMicrosofteBayFacebookなど、複雑なデータベース、会計トランザクション(transaction accounting)、支払処理システム(payment processing systems)への依存度が高い企業は、ブロックチェーン関連の特許出願での活発な動きが見られなかった。ここで補足説明すると、アメリカの特許出願は、一般的に最も早い出願日から18ヶ月後に公開されるため、ここで言及した幾つかの企業は、既に特許出願していても公開されていない可能性がある。 

  

 ブロックチェーン関連の特許出願は、多くの分野でこれらの技術及び関連基準が採用され、暗号通貨による支払いが主流となるに伴い、今後も継続的に増加することが予想される。また、政府もこの分野の規制を開始しているため、将来的に、取引セキュリティ、会計、データ管理などのブロックチェーン関連ツールについて管理弁法が制定される可能性もある。

 ここ2年、台湾ではFinTech(金融テクノロジー)が奨励されており、金融サービス業界も次々と特許出願をし始めているが、出願された特許は銀行自身の業務に関連するネットバンク機能、インターフェース処理、ネットローンなどに偏っており、銀行の情報部門に関連する実際の機能的デザイン指向のソフトウェア出願はごく一部しかなく、暗号化技術関連の特許出願に至っては極少数である。この種の銀行暗号化システムの大半は依然として大半システム技術協力企業に開発を委託しているため、銀行自身が特許出願をすることはない。

出典:

http://patentvue.com/2018/01/12/blockchain-patent-filings-dominated-by-financial-services-industry/

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