TRIPs理事会が後発開発途上国の医薬品に関する免除を2033年まで延長することを承認
【出典:中国知的財産保護ウェブサイト】
後発開発途上国(Least developed country,LDC)は国連が定めた社会、経済、人間開発指数が最も低い国のことで、LDCはWTOを通じて、TRIPs理事会にそれらの国々が後発開発途上国でなくなるまでLDCが受けている医薬品特許導入の義務免除を延長することを求めていた。LDCとアメリカの間で協議が行われた後、TRIPs理事会は免除に同意し、2033年までLDCに対する医薬品における知的財産権の履行免除を承認した。
医薬品特許免除規定は、特許状態を考慮する必要なくLDCがジェネリック医薬品を輸入し且つ生産すること許可するもので、例えば、エイズ治療薬の提供も特許権侵害訴訟を心配する必要がない。目下、TRIPs理事会は、LDCの医薬品の特許免除期間を2016年1月1日までとしており、アメリカは実のところ免除延長には同意しておらず、TRIPs理事会に対しLDCの更なる免除延長要請に同意すべきではないとの考えのようだったが、LDCの情報によると、この度のTRIPs理事会ではLCDの医薬品の特許免除延長承認の協議条件は前回よりもよく、前回は14年延長であったが、今回は17年延長されることになった。製薬産業の構築が急務であるLDCにとって、3年の時間は非常に重要である。
TRIPsは医薬品の特許免除に同意した以外にも、LDCに対しTRIPs協定第70条第8項及び第70条第9項の義務についても免除することに同意した。第70条第8項では、特許保護を与えていないLDCの国々は特許出願をすることができるよう措置をとらなければならず、特許が保護を受けられるようになったら、既に出願された特許出願は特許保護期間の残りの期間について保護を受けられることを規定している。前回のLDC医薬品の特許免除延長の際には、第70条第9項の義務に対する免除は含まれていたが、第70条第8項の義務に対する免除は含まれていなかった。
第70条第9項は、排他的販売権の期間に関する規定である。排他的販売権の期間は、医薬品がLDCの国内で販売の承認を得てから5年間又は製品がそれらの国において特許を付与され若しくは拒絶されるまでの時間のいずれか短い方を基準とする。
TRIPsの期限付きの免除延長に対し、EUはLDCであれば恒久的に免除を受けられるとしたLDCの最初の提案を支持している。欧州委員会は、LDCの国民は切実に医薬品治療を必要としており、知的財産権規則は最優先に考慮することではないと考えている。それで、EUはLDCに安定性のある薬品の特許免除の法的地位を与えることに同意している。然しながら、欧州製薬団体連合会(European Federation of Pharmaceutical Industries And Associations)は、ほとんどのLDCが必要としている先発医薬品は特許権の保護期間が既に過ぎているため、医薬品の特許免除はLDCを世界の貿易システムの中に組み入れることには何の役割も果たさないことから、EUのこの決定の影響は思ったほど重要性がないと考え、反対の立場をとっている。
TRIPs理事会がLDCに対する医薬品の特許免除を2033年まで延長するとしたことを受けて、NGOはこの猶予期間を利用して積極的に対応する国内法を整備して、医薬品を特許及び臨床データの保護から除外するほかに、2033年1月1日又はそれ以後TRIPsが付与する可能性のある過渡期が失効する日まで、医薬品を保護対象としないことを明確に規定するよう呼びかけている。
其の他の解決すべき問題として、知的財産権を「非違反提訴(NVC)」から除外する除外規定を恒久化すべきかという問題がある。NVCとは、B国がA国の予想する貿易利益を剥奪する措置を講じたとA国が考えたとき、例えB国がWTOの規則に違反していなくても、A国が紛争解決手続きを開始することができるというものである。大多数の国は該除外規定の恒久化を支持しており、2013年12月WTO閣僚会議はTRIPs理事会に該除外規定について意見を表明するよう要請したが、恒久化に同意するかどうか、まだコンセンサスは得られていない。アメリカとスイスはこれに対して反対の立場をとっており、近々会議を開いて判断する予定である。 |