シンガポールがアセアン初のPCTの国際調査機関に
2015年9月1日から、シンガポールが正式に東南アジア諸国連合(略称「アセアン」)としては初めてPCTの国際調査機関(ISA)及び国際予備審査機関(IPEA)となる。これにより、アジアでは5か国(中国、インド、日本、韓国、シンガポールは5か国目)がWIPOによりPCTの国際機関として指定されたことになる。
今後数か月のうちに、ベトナム、メキシコ、ブルネイ、日本及びラオスの特許出願人がシンガポールを国際調査機関及び国際予備審査機関として利用する最初の出願人となるであろう。今回、シンガポールがWIPOの指定を獲得した要因は、シンガポールの高効率の審査能力にある。シンガポールでPCT出願した場合、一般的に実体審査請求を提出した日から最初の実体審査の結果が発行されるまでの期間は60日であるが、その他の国の特許庁で類似の手続をした場合、おそらく2~3年かかる。このほか、シンガポール知的財産庁(IPOS)を通じてPCT出願すると25%の割引を受けることができるため、出願人にとって非常にメリットがある。
シンガポール知的財産庁(IPOS)は、アジアで重要な知的財産権イベント「IP Week@SG 2015」においてWIPOの指定するPCTの国際機関となるための協定を結んだほか、IPOSの知的財産権教育機関「IPアカデミー」が、中国人民大学、国際知的財産権商業化理事会とそれぞれ、シンガポールの知的財産権に係るインフラ整備と能力開発を強化し、専門的な知的財産権従事者を育成することを目的としたその他の覚書を締結した。
データによると、現在、知的財産権を広く利用する産業がシンガポールのGDPの約半数を占めているのに対し、シンガポールの知的財産権の専門家は約10万人ほどである。中小企業の知的財産権に対する意識と専門的な能力を向上させるために、第一段階の協力機関としてシンガポールの中小企業を主な育成支援対象とすることとした。中小企業は更に産学連携を通じて、学生に影響を与えることができるとともに、企業と学生によるプロジェクト協力をワンストップサービスセンターに統合することができる。将来、IPOSの知的財産教育機関「IPアカデミー」がこれらの経験を生かし、シンガポールの国内及び国外の育成プロジェクトを拡大させていけば、これら高付加価値な活動によってシンガポールの技術及び企業向けサービス部門として多くの雇用機会が創出され、経済強化が可能となる。 |