米国連邦裁判所判決:商標の使用とは出願に係る指定商品又は指定役務を実際に提供する必要がある
一、判決の概要(Couture v. Playdom, Inc., No. 2014-1480 (Fed. Cir.), March. 2, 2015)
合衆国連邦巡回区控訴裁判所(Court of Appeals for the Federal Circuit、略称 CAFC)は2015年3月2日、David Couture所有の「Playdom」登録商標は広告のみで商業上実際に使用されておらず、商標登録を取消すべきとのウォルト・ディズニー・カンパニーの主張を認める米国特許商標庁の商標審判部(Trademark Trial and Appeal Board、略称TTAB)の裁定を支持する判決を下した。
判決の全文については下記ページをご参照ください。
http://cafc.uscourts.gov/images/stories/opinions-orders/14-1480.Opinion.2-26-2015.1.PDF
二、事実
(一)係争商標
1. 名称:Playdom(文字商標)
2. 分類:第41類(娯楽及び教育サービス:音楽、ビデオ、映画のテーマ企画及び脚本の提案サービス)
3. 出願のベース:実際の使用(Actual Use)。使用開始日:2008年5月30日。商業的使用開始日:2008年5月30日。
4. 出願番号:77487907
5. 出願日:2008年5月30日
6. 公告日:2008年10月28日
7. 登録番号:3560701
8. 登録日:2009年1月13日
9. 出願人/所有権者:David Couture
(二)原告:ウォルト・ディズニー・カンパニー
原告は2010年にPlaydom,Inc.(以下、Playdom社)を買収した。Playdom社はFacebook向けオンラインゲームを提供する会社で、2009年2月9日に「Playdom」の商標登録出願をしたが、係争商標が先に登録されたため登録することができなかった。原告はPlaydom社を買収後、係争商標は出願時に実際には使用されておらず、登録を取消すべきと主張した。
(三)TTABの裁定:係争商標の登録取消
David Coutureが「Playdom」の商標登録出願をした時、実際にはインターネット上で広告するのみで消費者には出願に係る指定役務を提供してはおらず、2010年3月になって初めて前記役務の提供を開始した。したがって、TTABは2014年2月に係争商標の登録取消を裁定した。
(四)CAFCの判決:TTABの裁定を支持
米国商標法は商業上の使用を明確に規定しており、商標は、実際に使用し又は展示し、販売し、広告し、且つ実際に役務を提供している必要がある。しかしながら、David Coutureは2010年以前にユーザーに役務を提供したとする記録について挙証することができなかったため、TTABが商標の登録を取消すとした裁定は確かに正しい。最終的に原告は「Playdom」の商標登録をすることができた。 |