中国が特許数世界トップに、ドイツの商工業界は濫用を懸念
世界知的所有権機関(WIPO)が2012年12月11日にジュネーブで発表した報告によると、2011年に中国は既にアメリカを超え世界最大の特許出願国となった。WIPOの総幹事は「これは歴史的なターニングポイント」と述べ、また2012年度も中国が引き続き世界各国をリードするものと予測した。
中国国家知識産権局が2011年に受理した特許出願は計52.6万件(アメリカ50万件、日本34万件)で、この年の全世界の特許出願総数の四分の一を占めた。このことは中国が知的財産権体制を益々重視することを顕著に表しており、中国の経済力と工業の影響力にイノベーションの優位性が加わった。
2011年の全世界の特許出願総数は約214万件で、始めて200万件の大台を突破し、2010年と比べ7.8%成長した。知的財産権の出願数は持続的に伸びており、このことは全世界的な経済不振にもかかわらず、企業は依然としてイノベーションし続けていることを表している。これは世界の経済発展にとっては明るいニュースと言える。
各分野の特許出願について、WIPOの首席経済学者カーステン・フィンク(Carsten Fink)氏は、スマートフォンの普及が関連技術の成長を後押しし、このことがデジタル通信産業のこの5年における出願数の急速な増加に繋がったと分析した。
中国が世界で特許出願数トップの国になったことに対して、ドイツの商工業界は警告を発している。「ドイツの声(Deutsche Welle)」の報道によると、世界最大の総合化学メーカーBASFグループの会長マーティン・ブルーダーミュラー(MartinBrudermüller)氏は2012年12月12日にドイツの新聞《フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング》(Frankfurter Allgemeine Zeitung)に対し、中国企業が安価な特許を大量に出願することで、ドイツ企業は非常に危険な特許の潮流に呑み込まれてしまう恐れがあり、中国の急進的な特許出願戦略によりドイツ市場は混乱に陥り、多くの業種が再起不能に陥ってしまうことを危惧していると述べた。
2012年9月、ドイツのメルケル首相が中国を訪問した際に、この議題について北京側と意見を交わしたが、具体的な結論には至らなかった。 |