HPで会社名の主要部分標示は商標使用に該当せず
ホームページ上での、会社の名称のフルネーム使用に関連して、会社名称の主要部分だけを標示するのは、会社名称の標示か、それとも商標の使用態様に属することであるかについて、実務上の見解が大きく分かれた。
知的財産裁判所による2008年12月3日、2008年度民商上字第3号の民事判決は、上記の問題に関わるので、以下のように要約した。
一、 事実
上訴人(原告)米国企業インテルは、以下のように商標を有する。
Intel商標
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出願日
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出願番号
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登録日
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登録番号
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類別
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CENTRINO
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2002.12.3.
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091050986
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2003.10.16.
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01061005
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9
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迅馳
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2002.12.31.
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091055130
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2004.12.16.
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01131081
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9
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2005.12.7.
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094059399
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2006.9.16.
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01229526
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38
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被上訴人(被告)迅馳科技術株式会社(以下、迅馳と称す)は、2003年6月16日に設立、登記を査定され、「迅馳」、「CENTRIN」、「CENTRINO」をその商標文字の一部、および会社の中での英語名称の主要部分として使用した。
上訴人は請求権の基礎として以下を挙げている。
(1) 侵害排除:商標法第61条第1項。公平取引法第30条
(2) 損害賠償:商標法第3号、民法第184条第一項後段
(3) 被告の会社および責任者の共同責任:会社法第23条第2項、
民法第185条
二、 争点
1. 被上訴人、迅馳が、そのホームページ上に「迅馳科技」を商標として使用し、その提供する商品の傍らに「ブランド名、迅馳科技」と標示しているのは、会社名の標示であるのか、それとも商標使用の態様であるのか。
2.被上訴人の使用の仕方は、公平取引法に違反しているか。
三、 判決の主旨
1.会社名称が会社の組織および種類を表彰するのは、事業主体としての識別であり、会社の営業により提供される商品またはサービスなどの商品の使用とは、異なる概念に属する。会社のホームページの左上方に、商品の写真の傍らに会社名称の主要部分である「迅馳科技」とだけ標示するのは、単なる会社名称の標示であり、該会社名称の主要部分を商品、サービスまたは関連物件、もしくは媒介物等の商品にセールス目的で使用するのではなく、関係消費者が該会社名称の主要部分をその商標であると認識するに足りない。したがって、迅馳が「迅馳科技」を使用するこのようなやり方は、商標法または公平取引法が称するところの商標使用に属さないので、商標侵害の問題ではない。
2. 次に、商標法第62条において、商標権を侵害すると見なすものとして、「他人の著名な登録商標と明らかに知りながら、同等のまたは近似の商標を使用する、または該著名商標中の文字を自己の会社名称、商号名称、ネットドメイン名またはその他の営業主体もしくは出所を表彰する標識として使用するのは、商品またはサービスに関係する消費者の混同誤認に至る。」と規定している。即ち、商標権を侵害する行為となるには、商標登録がなされた後であるのが必須条件である。本案は、被上訴人迅馳は2003年6月16日に、設立、登記を査定されているため、明らかに商標法第62条に適用しない。
3.被上訴人迅馳は、設立登記の際、上訴人インテルの関連商標が「関連事業または消費者が普遍に認知している商標」ではなく、その上、迅馳が「迅馳科技」を使用する方式は商標使用の態様ではなく、公平法第20条第一項第1号の要件に合致しない、とした。また、公平法第24条は、事業が「取引の秩序に影響するに足る」、「詐欺または明らかに公平さを喪失した」行為を有する事業を禁止するのが主旨であり、迅馳はインテルの商標登録以前に、既に会社登記しており、「迅馳科技」を商標として使用していないので、「上訴人の知名商標を高度に剽窃」しているとは言えない、と規定している、とした。 |