「防御性ブランド保護戦略」とは、企業が普遍的に施行する一種のブランド企画および保護制度であり、国外では既に数年にわたり実施しており、最も早くは、商標の保護分野に引用されてきた。該制度の重要点は、「商品が、市場にまだ出ていないブランドがすでに登録され、無名のブランドが既に完全に保護されている」こと、つまり、ブランドの保護が、企画を始めた時やブランドが発表される前から始まっていて、各種防御的手段を採用して、ブランドの完全性、統一性、および集中度を確保している事である。統計によると、欧米企業がブランド保護に関する投資額を見ると、企業のブランド推進用資金の5%から10%をブランド保護が占めているが、これは又、法律およびマーケティングの方面から、十分考慮した方法であるといえる。
中国のいくつかの知名企業は、「防御性ブランド戦略」もすでに採用しており、例えば、「娃哈哈(WAHAHA)」の創始者は、「娃哈哈」ブランドが有名になる前に、「娃娃哈」、「哈娃娃」、「哈哈娃」等、混同されやすい商標を登録し、将来、他者に利用されるのを防いでいる。
商標だけでなく、「防御性ブランド戦略」は、ネットのドメイン名の保護にも応用されている。近日閉幕した北京オリンピックが開幕したとき、中国の国家体育総局は、すでに、まだ登録していない国内の参加選手を国家「中国」のドメイン名称で先に登録させ、オリンピックメダリストのネット上における権益保護に努めた。中国は、こうして、四千万の中国企業にネット上でもブランド企画を保護する意識を高め、将来、中国の中小企業が、ネット上で電子ビジネスの適切な準備ができるよう願っている。
モルガンスタンレーの報告によると、米国企業の情報化は、既に応用段階に達しており、60%の小企業、80%の中堅企業、および90%以上の大企業は、既にネットにより広域な電子ビジネスの活動を行っている。一方、2007年6月末までに、中国の中小企業数は、既に4200万個余りに達したが、2008年6月末における中国企業のネットアドレス数は、191、9万個のみである。
言い換えれば、中国の9割以上の中小企業は、伝統的商業方式でビジネスをしていて、ネットビジネスを展開する準備ができていない。しかし、アメリカなど先進国の経験を参照すると、中国の中小企業は、将来迅速にネット交易に参入するであろうから、中国は予め「防御性ブランド戦略」を企画、推進する必要があるといえる。
「防御性ブランド戦略」の効用以下の三つである。
1、 企業ブランドを使用したいとき使用できなくなるのを有効に阻止する。
2、 商標の観点から見て、ライバルが悪意により自身のブランドを使用し、企業の名声を損なうのを防ぐ。
3、 インターネットの観点から見て、その他の企業が、相似または容易に混同するネットドメインの名称を登録し、潜在的な顧客の流出を招くのを避ける。
2008年6月に閉幕したICANNパリ年会が、重要な決議を通過させたところで、中国語等を含むその他の言語をネットのドメイン名として使用することを許可したことで、将来「中国」に掛かるドメイン名が、大規模に応用され、中国語を使用する企業に注目する価値があると言える。