2年余り前、日本人の樺島泰貴氏が、香川県讃岐うどん本店で、うどん作りの技術を学び、台湾に来て、台北に讃岐うどん専売店、「土三寒六」を開店したが、台湾企業である南僑食品(株)が、「讃岐」の商標権を侵害している、と警告を発する書簡を送付し、「讃岐」の二字を二度と使用しないよう要求した。日本の地名が台湾で商標として登録され、後に大きな波紋を呼び続けている。そこで、約400の在台湾日本企業が組織する日本商工会は、3月28日に正式に台湾知的財産局に請願を提出し、「讃岐」「青森」および「佐賀」等の名称の商標登録を廃止するよう要求した。
台湾で「土三寒六」うどん店を経営する樺島泰貴氏は、その後、台北で記者会見を開き、台湾の知的財産局に、4月に「讃岐」の商標を廃止するよう正式に要求すると宣言した。樺島氏は「本店こそが、真の手打ちで、本物の讃岐うどんであり、日本の地名が、台湾企業の一社に独占使用されているのは不公平である。」と語った。
日本の地名が台湾で商標として登録されている問題は、日本で既に広域に注意を呼んでいる。台湾の経済界に強い影響力を持つ400社の日本企業で組織される日本商工会も、こうした不合理な現象に関して、既に知的財産局に請願を提出し、台湾企業に登録されている日本の地名、例えば、「讃岐」「青森」「佐賀」等の商標登記を、即刻廃止するよう要求した。また特に、系列の参考リストを提出し、将来、こうした日本の地名が台湾で、再度登録されないよう「予防」を促すよう、知的財産局に要求した。
日本の讃岐うどんが台湾企業に登録されて商標となった事に対し、経済部知的財産局、王美花局長は、台湾の讃岐うどんは、登録されて既に10年になるため、日系企業が商標の廃止を要求するには、十分な証拠を必要とする、即ち、一般商標の登録が5年を超える企業については、悪意の登録であると証明して初めて、その登録を取消す評定がなされる。現在、日本企業がすべき最も重要なことは、十分な証拠の提出である、と述べた。
商標法によると、商標は、商業目的のために存在し、商標使用も又、販売の目的である。「讃岐」は日本の古い地名で、十数年前、台湾の南僑食品(株)が、「讃岐」を登録登記した時、「讃岐」の2文字は、台湾人にとって現在ほど有名でなく、「讃岐」が日本地名であることを理解していなかったため、当初、審査官側は、商標を査定、登録した。南僑食品などの企業が長年にわたって絶え間なく使用し続けたおかげで、「讃岐」の知名度が増し、現在の問題にまで拡大したのである。また、「讃岐」は只の日本の古い地名であり、商標法第23条第11号の「公衆に、その商標またはサービスの信頼、品質または産地を誤認誤信させる虞れ」を生むか否かについて、解釈の余地がある。
しかし、「讃岐」はやはり日本の古くからの地名であり、台湾の一企業による独占は、全く合理的とは言えないと思われる。この件は、すでに単なる一事件ではなく、日本商工会と台湾政府間の紛糾に拡大した。将来どのように処理されるのか、主管機関が、政策上、法律上、賢明な決定をすることが期待される。