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中国 北京市高級人民裁判所による
知的財産権侵害及び不正競争事件の
損害賠償確定に
関する指導意見及び
法定賠償の裁判基準が公布・施行

  

 【出典:新京報網】

北京市高級人民裁判所は2020421日に、《知的財産権侵害及び不正競争事件の損害賠償確定に関する指導意見及び法定賠償の裁判基準》(以下、《指導意見》という)を公布した。《指導意見》は計八章、附則を含む110条からなる。第一章は「基本規定」で、第二章から第八章は、文字作品、音楽作品、美術作品、写真作品、ビデオ類作品及び製品、商標権侵害並びに不正競争行為の分類に応じて、この7種類に係る事件に法定賠償を適用する際の基本的な裁判基準及び賠償の倍数を情状に応じて増減する考慮要素が規定されている。

《指導意見》の第一章「基本規定」は計30条あり、全体の約1/3を占めている。以下に第一章の内容をまとめた。

1.1【損害賠償の確定原則】には、「…補填原則に従い、補償を主とし、懲罰を補助とする損害賠償の司法認定メカニズムを反映させる。被告は過失により他人の知的財産権を侵害し又は不正競争行為を行って損害を与えた場合、損害賠償責任を負わなければならない」と明確に規定されている。1.2【賠償算定の方法及び順序】には、「当事者は権利者が受けた実際の損失、権利侵害者が得た利益、利用料、法定賠償の順に従って、具体的な賠償の算定方法を提出しなければならない」と規定されており、1.3【賠償の算定方法の挙証】には、対応する賠償額について挙証しなければならないと規定されている。

また、挙証責任の合理的な配分及び証明妨害の法理の適用などの詳細は、1.71.26及び1.27に定められており、1.7【実際の損失及び権利侵害により得た利益の確定】には、賠償額を確定する際には「証拠規則を用いて、優勢の証拠基準を採用しなければならない」と規定され、適用範囲については、1.26【証明妨害の適用範囲】に「知的財産権を侵害する又は不正競争事件」にこれを適用できると明確に定められ、適用条件については、1.27【証明妨害の適用条件】に規定されている。

更に、《指導意見》の1.13及び1.14には、懲罰的賠償の適用条件及び適用方法が定められている。そして1.151.16及び1.17には、それぞれ【懲罰的賠償における“悪意”の認定】として9種類の態様、【商標権侵害における“重大な情状”の認定】として6種類の態様、及び【営業秘密侵害における“重大な情状”の認定】として7種類の態様が詳細に規定されている。懲罰的賠償額の認定及びそれを行政刑罰の罰金と相殺できるかについては、1.181.19及び1.20に説明されている。

また、《指導意見》の附則には、「本意見は公布日から施行し、《北京市高級人民裁判所による著作権侵害賠償責任の確定に関する指導意見》(京高法発[2005]12号)は同時に廃止する」と規定されている。

この《指導意見》が公布された後は、北京市の知的財産権侵害事件及び不正競争事件の賠償基準の統一化が促進され、知的財産権侵害事件及び不正競争事件の裁判の品質と効率がより向上し、中国で長年にわたって批判されている知的財産権侵害に対する「賠償額が低過ぎる」問題が解決すると見られている。

 

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