中国 最高人民法院による
技術調査官の知的財産権事件訴訟活動の
参加に関する若干規定
出典:中国最高人民法院
文書発行番号:法解〔2019〕2号
公布日:2019年4月26日
最高人民法院による技術調査官の
知的財産権事件訴訟活動の参加に関する若干規定
(2019年1月28日最高人民法院審判委員会第1760回会議において可決、2019年5月1日から施行)
中華人民共和国最高人民法院公告
『最高人民法院による技術調査官の知的財産権事件訴訟活動の参加に関する若干規定』は2019年1月28日に最高人民法院審判委員会第1760回会議において可決された。ここにこれを公布し、2019年5月1日から施行する。
最高人民法院
2019年3月18日
技術調査官の知的財産権事件訴訟活動の参加を規範化するために、『中華人民共和国人民法院組織法』『中華人民共和国刑事訴訟法』『中華人民共和国民事訴訟法』『中華人民共和国行政訴訟法』の規定に基づき、審判の実務を考慮して、本規定を制定する。
第1条 人民法院が専利、植物新品種、集積回路配置図設計、ノウハウ、コンピュータソフトウェア、独占など専門性・技術性が高い事件を審理するとき、技術調査官を任命して訴訟活動に参加させることができる。
第2条 技術調査官は審判補助人員に属する。
2 人民法院は、技術調査官の日常管理を担当し、知的財産権事件の訴訟活動へ参加し、技術的アドバイスを提供する技術審査官を任命する技術調査室を設置することができる。
第3条 知的財産権事件の訴訟活動に参加する技術調査官が確定し又は変更となった場合、3日以内に当事者に告知し、また法律により技術調査官の忌避を申立てる権利があることを当事者に告知しなければならない。
第4条 技術調査官の忌避については、刑事訴訟法、民事訴訟法、行政訴訟法などその他の人員の忌避に関する規定を参照して適用する。
第5条 審判手続きにおいて事件訴訟活動に参加したことのある技術調査官は、当該事件のその他の手続きの訴訟活動に参加してはならない。
2 差戻しで再審議となった事件について、それが第一審の法院が判決を下した後に第二審の手続きに入ったものの場合、元の第二審手続きで訴訟に参加した技術調査官は前項の規定の制限を受けない。
第6条 知的財産権の訴訟活動に参加する技術調査官は、事件に関する技術問題について、下記の職責を履行する。
(一)技術的事実の争点及び調査範囲、順序、方法等について意見を提出する。
(二)調査と証拠収集、検証、保全に参加する。
(三)審問、口頭審理、開廷前会議、開廷審理に参加する。
(四)技術調査意見を提出する。
(五)裁判官に協力して、鑑定人、関連する技術分野の専門家を組織し意見を提出する。
(六)合議廷の評議など関連する会議に出席する。
(七)その他の関連業務を遂行する。
第7条 技術調査官が調査と証拠収集、検証、保全に参加する場合、事前に関連する技術資料を閲覧し、調査と証拠収集、検証、保全の方法、手順と注意事項について意見を提出しなければならない。
第8条 技術調査官は、審問、口頭審理、開廷前会議、開廷審理活動に参加するとき、裁判官の同意を得て、事件に関する技術問題について当事者及びその他の訴訟参加者に質問することができる。
2 技術審査官の法廷での座席の位置は、裁判官助手の左側とし、書記官の座席の位置は裁判官助手の右側とする。
第9条 技術調査官は事件の評議前に、事件に関する技術問題について技術調査意見を提出しなければならない。
2 技術調査意見は、技術調査官が単独で作成して署名し、一般には公開しない。
第10条 技術調査官は、事件評議に出席する場合、その提出された意見は評議記録に記入し、署名をしなければならない。
2 技術調査官は事件の判決結果について評決権を持たない。
第11条 技術調査官が提出した技術調査意見は、合議廷が技術的事実を認定する際の参考とすることができる。
2 合議廷は技術的事実の認定について、法律により責任を負う。
第12条 技術調査官が知的財産権事件の訴訟活動に参加する場合、判決書に署名しなければならない。技術調査官の署名位置は裁判官助手の下で、書記官の上である。
第13条 技術調査官が審判業務に関連する法律及び関連する規定に違反して、賄賂を受け取り、個人的な利益のために不正を働き、故意に虚偽、誤認又は重大な遺漏がある事実でない技術調査意見を提出した場合、法的責任を追及しなければならない。犯罪に該当する場合は、法律により刑事責任が追及される。
第14条 事件審理の必要に応じて、上級人民法院は本管轄区内の各級人民法院の技術調査官を派遣することができる。
2 人民法院が本規定第1条の事件を審理するとき、上級人民法院に訴訟活動に参加する技術調査官の派遣を申請することができる。
第15条 本規定は2019年5月1日から施行する。本院が以前発表した関連規定と本規定が一致しない場合は、本規定に従うものとする。 |