中国 杭州インターネット
法院が、ブロックチェーンの電子証拠の
法的効力を初めて認める
【出典:浙江新聞】
中国で、初めてブロックチェーンを証拠とした事件で杭州インターネット法院は、原告の採用したブロックチェーンによる証拠保存方法を承認し、対応する権利侵害の事実を認める一審判決を下した。
新華社の2018年6月29日の報道によると、杭州インターネット法院は6月28日に、情報ネットワーク送信権侵害事件の判決を言い渡した。この裁判で、初めてブロックチェーン技術により保存された電子データの法的効力が認められた。
この事件は、深圳のある会社(被告)が同社の運営するウェブサイトに、杭州のある会社(原告)の有する著作権に関連する著作物を掲載したことをめぐり、原告が訴訟を提起したものである。原告は法院で立証するにあたり、第三者の証拠保存プラットフォームを通じて侵害ホームページの自動キャプチャと侵害ページのソースコードの判別を行い、さらに前記2つの内容及びアクセスログなどのデータをハッシュ値に変換してfactomのブロックチェーンとビットコインのブロックチェーンにアップロードした。このような方法で存在する証拠に法的効力があるのか?杭州インターネット法院は、ブロックチェーン技術をデータ保存に用いる技術原理について、法律に基づいてブロックチェーンの電子データの証拠能力の認定に関する審査を行い、最終的に、この種の電子データは本件の侵害認定の根拠とすることができると認定した。
「ブロックチェーン技術」とは、一種のインターネットデータベース技術で、分散型台帳技術とも呼ばれている。その特徴は、分権化、開放性などである。原理上、保存されたデータは改ざんすることができない。近年、ブロックチェーン技術は急速に発展しており、データの信頼性と完全性を確保できることから、電子証拠の発展において新たな趨勢になっている。
杭州インターネット法院は審理した後、下記の見解を示した。
ü 当該電子データは、信頼性の高い自動キャプチャプログラムによりウェブページのスクリーンショット、ソースコードの判別を行っているので、出所の真実性を保証することができる。
ü 上記電子データは、関連基準を満たすブロックチェーン技術を用いて保存されているので、電子データの信頼性が保証されている。
ü 技術的検証により一致性が確認され、しかも他の証拠とも相互に証明できるという前提で、この種の電子データは本件の権利侵害認定の根拠とすることができる。
また、杭州インターネット法院は、「ブロックチェーンなどの技術的手段によって保存された電子データについては、開放的、中立的なスタンスで個々の事件ごとに分析して認定しなければならない。ブロックチェーンなどの技術自体が現在新型の複雑な技術手段であるという理由で、排除したり、認定基準を引き上げたりしてはならず、また、当該技術に改ざん・削除が困難な特徴があるという理由で、認定基準を引き下げてもならない。電子データに関連する法律の規定に基づいてその証拠の有効性を総合的に判断すべきである」との見解を示した。
参考:
http://zjnews.zjol.com.cn/zjnews/hznews/201806/t20180629_7652672.shtml
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