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商標の抜け駆け登録が深刻化、
中国は商標の使用状況を法律に盛り込むことを検討

  

【出典:人民網】

 中国には、現在、有効な登録商標が1,700万件以上あり、商標用語の限界に近づいている。企業にとって新しい漢字をみつけて商標登録をすることは非常に困難なこととなっている。

 201896日、中国全国工商業連合会は商標の抜け駆け登録の問題について、「「王陽明」に関する商標は既に抜け駆け登録されつくされており、王陽明は最も忙しい古代人との笑い話にもなっている。ダブル・ミーニングやスラングも抜け駆け登録されている。例えば、「微軟(訳註:マイクロソフトの中国語訳)」は生理用品について登録され、「星光大道(訳註:中国のテレビ番組名)」は木製床板について登録され、「神舟五号(訳註:中国の有人宇宙船)」は園芸用品について登録されている。これらの抜け駆け登録の目的は、自身の使用ではなく、将来高い値段で売却することにある。」といった議論が行われた。そこで、中国全国政協委員は、関連部門が商標の登録、使用、取消制度について改革すべきであると提言した。

 統計によると、2017年末現在、中国の商標出願件数は累計で2,784.2万件に達し、商標登録件数は累計で1,730.1万件に達している。これは世界全体の40%を占めている。有効な登録商標件数は1,492万件で、17年間連続世界一位となり、名実ともに商標大国である。しかしながら、この大量の商標は全て使用されているわけではなく、「放置」されているものもある。実際、中国では非常に大量の商標が登録されているが、遊休状態にある商標も多い。これは、多くの商標所有者が「登録重視、使用軽視」の考え方を持っていることを表している。中国全体の登録商標の遊休率は30%に達し、一部の区分では商標遊休率が50%にも達している。高額で譲渡する目的で、自己の商品又は役務に使用しない商標を大量に登録し、溜め込む企業や個人が少なくない。このような行為は商標法の立法趣旨に反している。

 中国の商標法は「先使用」ではなく「先願」の原則に基づいているため、使用の有無にかかわらず、先に登録すれば、商標権を取得することができる。そのため、先に登録しておき、あとは商標訴訟でお金を稼ぐといった抜け駆け商標登録を専門に行う者もいる。それで、事業者のなかには、中国の商標法にはある程度このような投機行為を促進している面があるため、商標の使用を必要とする者が商標登録できるように、遊休商標の取消要件を引き下げるよう商標法を改正すべきであると考える者もいる。これは、中国の商標取消制度に関連している。

 これについて学者は、「中国では商標取消について、ある程度困難性がある。取消が成功したとしても、他の商標出願人に先に登録されてしまう可能性があるため、商標取消請求人が結局利益を受けられない可能性がある。」との見解を示した。

 それでも、中国全国政協委員は、中国工商行政総局による特別な商標併存審査制度の構築を期待して、現行の商標政策の改革の必要性を訴えている。また、商標の盲目的な抜け駆け登録、繰り返しの抜け駆け登録、悪意による抜け駆け登録の問題を真に解決するためには、強制的な商標使用制度を設けることが重要である。例えば、3年ごとに使用証明を提出することを義務付けるなどである。

政協委員の提言について、中国工商行政総局は、「商標の抜け駆け登録は、長い間関心を寄せている問題であり、現在、商標の使用状況を法律規範の範囲に盛り込むことについて検討が始まっている。これが実現すれば、将来、商標の抜け駆け登録の問題は解消されるかもしれない。」と述べた。

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