中国の特許は数で勝負
することより質を向上することに転換
【出典:中国経済日報】
中国の企業は移動通信、電子情報技術、化学工業などの分野で急速に成長しているが、光学、医療技術、エンジン、視聴覚技術、輸送などの5分野では、外国の特許出願者が保有する中国特許の保有数は、中国国内の特許出願者が保有する数より遥かに多い。
10年以上維持されている特許の保有数では、中国は29分野において外国より保有数が少ないため、上記の分野で高付加価値のコア特許の育成に力を入れる必要がある。
先日、中国国家知識産権局は2017年中国特許関連状況と企業の特許査定ランキングを発表した。2017年中国の特許出願量は138.2万件であり、前年度に比べ14.2%増加した。特許の査定件数は合計42.0万件で、そのうち、中国国内の特許査定件数は32.7万件で、前年度に比べ8.2%増加した。
u イノベーション能力は日に増して強化
中国企業は特許出願件数と及び査定件数において素晴らしいパフォーマンスを見せる。2017年、中国の国内特許出願数と保有数における企業の割合は、それぞれ63.3%と66.4%であり、2016年に比べ1.6%と0.9%成長した。
2017年、中国特許査定件数の上位10位の企業(香港・マカオ・台湾を含まない)において、華為、中石化(中国石油化工株式会社)、中興、京東方のような「常にランキングインする」会社の他に、オッポのような始めてトップ10にランキングインする会社もある。グリーエレクトリック株式会社、レノボ、国家電力グループ会社のような歴史のある企業もあれば、中芯国際集積回路製造有限会社のような新しい企業もある。中国のイノベーション発展戦略は多様性を見せ始め、中国の特許の持続的なイノベーション潜在力は益々大きくなることが分かる。
中国国内企業の特許査定件数のランキングにある華為、中興通信、京東方、オッポ、レノボは何れも通信、電子情報技術が中心のテクノロジータイプの企業であり、上位10位に5席を占めた。WIPOが発表した『2017年世界イノベーション指数』に、100社のイノベーション企業がPCT出願査定件数のランキングにおいて、中興通信、京東方、華為ももちろんランキングインしている。中国企業はこれらの分野で徐々に主導の役割を担うこととなってきた。
また、研究開発密集型企業の代表といえる中芯国際集積回路製造(上海)有限会社は、862件の特許査定件数で上位10位にランキングインした。これは、企業がイノベーションを重視し、特許の保護と運用を強化すれば、歴史のある企業を追い越すこともできる例である。
2016年の中国国内(香港・マカオ・台湾を含まない)企業の特許査定件数に比べると、この2年間上位5位の企業は同じである。これは、専利創出、出願、査定などの作業はイノベーションの発展リズムに密接に関係しているからである。これらの企業は知的財産権戦略を企業発展のコア位置におき、創出から特許、特許から利益を獲得という良い循環を創ったからである。
u 質を高めることに更に重視
今回中国国家知識産権局は国内企業の特許査定件数のランキングのみ発表し、国内企業の特許出願件数のランキングを発表していないことは、数で勝負することを避け、特許の品質を更に高めるため、特許統計指標のイノベーション志向効果をより発揮できるように期待しているから。
2017年末までの中国国内(香港・マカオ・台湾を含まない)の特許保有件数は計135.6万件であり、人口1万人当たり特許保有件数は9.8件に達した。中国共産党第18回全国代表大会以来、国家知識産権局は「品質で勝負、件数で戦略を」という理念を提出し、特許品質を高めるプログラムを実施してきた。一連の措置の推進で、中国はWIPOが区分した35の技術分野のうち、2017年に中国国内特許保有数が外国の特許出願者が保有する中国特許の保有数よりも多い分野は30分野に達した。
u 一部の分野は強化する必要
中国企業は移動通信、電子情報技術、化学工業などの分野では急速に成長しているが、一部の分野の特許戦略において未だ外国との差が大きい。現在、光学、医療技術、エンジン、視聴覚技術、輸送などの5分野では、外国の特許出願者が保有する中国特許の保有数が中国国内特許保有数より多い。10年以上維持されている特許の保有数では、中国は29分野において外国より保有数が少ないため、中国は高付加価値のコア特許の育成に力を入れる必要がある。
移動通信、電子情報技術などの産業に研究開発を大量に投資すれば、短期間に技術成果を見せることができるが、ハイエンド製造業で進展を求めるなら、ベアリング、歯車、減速機、伝動装置などのコア技術に長期的に投資する必要がある。中国では、光学、輸送、エンジンなどの分野でイノベーションの蓄積が足りないから、ハイエンド設備に関する特許戦略が不十分との意見が出ている。
専利の存続期間が短いことの主な原因について、特許自身の品質が高くないこと、運用価値が低いこと、技術市場の需要が縮小したことなどが挙げられる。したがって、中国企業は将来研究開発への投入を増やす場合、技術発展の方向に基づいた専利戦略を事前に計画することと、イノベーションに良い技術を投入することと、専利産業化レベルを向上することが必要である。 |