中国工商総局
悪意の抜け駆け商標登録は法律によって拒絶
中国市場では、信義誠実原則に反する行為、悪意で他人の商標の名声・信用にただ乗りする行為、知名度の高い商標を抜け駆け登録する行為、他人の既存権利を侵害する行為、公共資源を独占する行為、繰り返し抜け駆け登録する行為などの商標の悪意の抜け駆け登録行為が増えてきた。
これに対し、中国工商総局商標局は、「商標の悪意の抜け駆け登録行為が日増しに大規模化、専門化していることに対処するため、商標局は審査分類プロセスを最適化して、悪意の抜け駆け出願の典型的なタイプ及び関連する事例を一括管理する。審査において、明らかに主観的悪意があると思われる商標出願に対しては、厳しく審査し、直接拒絶査定を下す。以下の4種類の状況については、一律に直接拒絶査定を下す」と発表した。
一、悪意による他人の名声・信用へのただ乗り、知名度が高い商標の抜け駆け登録する出願
例:威海地素貿易有限会社が登録出願した300件余の商標には、既に他人により登録された知名度が高い商標が完全に含まれていた。自然人である林浩が登録出願した200件余の商標は、華為、微信などの知名度が高い商標に非常に類似しており、同一又は類似の商品・役務が含まれていた。英国アーサーブランド管理有限会社(UK ARTHUR BRAND MANAGEMENT CO., LTD.)が出願した400件余の商標は、基本的にどれも非類似の商品・役務において独創性が強く、知名度が高い他人の商標を完全に模倣したものであった。
上記の状況は、何れも他人の名声・信用にただ乗りする不正な意図を有しており、信義誠実原則に反し、社会に悪影響を及ぼす虞があるため、商標局は法律により拒絶査定を下した。
二、普通名称、業界用語などを大量に抜け駆け登録するなど公共資源を不正に独占する意図を有する商標出願
例:上海雋暢情報技術有限会社及び関連の利益共同体は、県級以下の行政区名称を商標として約5000件の登録出願をした。これらの出願は、公共資源を不正に独占する意図があり、正常な商標登録秩序を乱し、社会に悪影響を及ぼす虞があるため、商標局は法律により拒絶査定を下した。
三、有名人の氏名を商標として登録出願するなど他人の既存権利を侵害する悪意の商標出願
例:晋江市マグレディ靴服貿易有限会社はバスケットボールの元スター選手、トレイシー・マグレディの氏名を本人の許可または授権を得ずに、中国語に音訳して商標登録しようとした。これは、社会公衆に商品または役務の出所について誤認を生じさせる虞があるため、商標局は厳しく審査し、直接拒絶査定を下した。
四、同一企業の悪意による繰り返しの抜け駆け登録出願、連続先駆け登録出願などの商標出願については、厳しく審査し、先行の異議申立や、無効宣告の事例を参考にして拒絶査定を下す
例:自然人である王樹本が多数の区分の商品について「美的公主」、「容声家宝」など、多くの著名商標と類似する商標を登録出願したことは、明らかに他人の知名度が高い商標を故意に複製、模倣する意図があり、主観的な悪意をもって商標を大量に登録する行為に属し、登録商標があるべき正当性を有さず、公序良俗の原則に反するため、当該商標は商標評審委員会によって法律に基づき無効宣告された。その後、当該出願人は完全に同一の商標を再び登録出願した。商標局は審査時に、これを同一企業による悪意のある繰り返しの抜け駆け登録行為に属すると認定し、先行の無効宣告理由を参考にし、当該出願行為は商標登録秩序を乱し、公序良俗に反すると判断して、拒絶査定を下した。
また、商標局は、悪意により大量に他人の名声・信用にただ乗りする商標出願案件を集中的に処理し、信義誠実原則に反する悪意の登録行為を抑止した。
例:広州天一坊皮具有限会社は、ファッション業界の有名企業の商標文字や図形と同一の商標を大量に出願登録し、その指定商品は多数の区分に及んだ。広州四三三九九情報科技術有限会社は9000件余の商標を登録出願したが、異なる権利者から210件の異議申立が提出され、商標局は異議申立された39件について一括して処理した。
上記会社の出願行為は信義誠実原則に反し、正常な商標登録の管理秩序を乱した。商標局は上記会社を被異議人とした商標異議事件を一括処理し、商標法の関連する規定に基づき、被異議人の複数の商標について不登録とする決定を下した。
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