2017中国知的財産権10大事件
【出典:人民網】
1、燧石文学賞に「今年度の盗作作品」へ贈る「白蓮花賞」を設立
2017年2月に11名のネット小説の原作者が『錦繍未央』の原著作者を著作権侵害で訴えた。証拠によると、11名の小説家の11作品中、『身歴六帝不衰』の1作品だけでも、540の文章、97のエピソードが『錦繡未央』において盗用された。11名の作家は被告に権利侵害行為の停止と謝罪、経済的損失の200万人民元の賠償を求めた。また、ネットユーザーの統計によると、270万字の『錦繡未央』は、200以上の小説から盗用しているという。
第1回の燧石文学賞の授賞式が北京で行われ、作品、作者を奨励する賞のほかに、今年度の盗用作品のための「白蓮花賞」も設立された。ノミネート作品は『三生三世十裡桃花』、『錦繍未央』及び『英雄連盟之王者栄耀』で、ネットユーザーによる選考を経て、『錦繍未央』が受賞した。
2、網易(Net Ease) が、YYプラットフォームの『夢幻西遊2』のオンラインゲームライブ配信は権利侵害であると主張し、賠償金2千万人民元を獲得
広州網易コンピュータシステム有限会社(以下「網易」という)は、広州華多インターネットテクノロジー有限会社(以下「華多」という)がYYゲームライブ配信サイトなどのプラットフォームを通じて、『夢幻西遊2』のゲーム内容をライブ配信、録画配信、中継配信していることを発見した。交渉したが合意に至らなかったため、2014年11月24日に訴訟を提起した。
2017年11月13日に、広州知的財産法院はこの事件について、華多が網易の著作権を侵害したと認定し、華多に対しオンラインゲーム『夢幻西遊2』の関連画像のライブ配信を停止し、網易の経済的損失の2000万人民元を賠償することを命じる一審判決を下した。
3、584枚の画像の著作権侵害---「視覚中国」が「煎蛋網」に25万人民元の提携案を提示
2017年4月20日に、「煎蛋網」の代表者Seinが、ウェブサイトに「視覚中国による画像著作権の賠償金請求は、受け入れがたい」と題する文章を発表した。その文章には、この一週間、画像使用による著作権侵害の疑いで、ゲッティイメージズ(Getty Images)の中国代理店から賠償金を請求されているとの内容が書かれていた。Seinは背景調査を詳しく行った後、4月17日に「視覚中国」に文書を送付した。4日後、「視覚中国」は返信するとともに、「煎蛋網」に対し、25万人民元を支払うことで、画像の継続使用を認めるとしたパッケージ提携案を提示した(下表参照)。
上表の提携案の画像価格は1枚60人民元で、「煎蛋網」はこれを受け入れたが、最終的に「視覚中国」は侵害に係る画像の価格を1枚200人民元に変更した。「視覚中国」側は、「侵害された画像の価格は、通常のダウンロード価格よりも高いのが普通であり、また「煎蛋網」が微信(WeChat)及び微博(Weibo)で既に削除した画像は、以前公証した部分であり、許諾を得ない無断利用はいずれにせよ侵害に該当するため、損害賠償すべきである」と説明した。
4、「騰訊(テンセント)」が「網易雲音楽(NetEase Cloud Music)」の権利侵害を主張、多数の歌曲が削除される
「網易雲音楽」は何度も音楽著作権を侵害したことがあり、侵害された音楽作品には「騰訊」が独占的に有する呉亦凡の有料アルバム《6》などの歌曲も含まれていたため、「騰訊」は、「網易雲音楽」との一部内容の利用許諾協力を一時停止するとともに、「網易雲音楽」に対し侵害問題の解決並びに関連の法的責任を負うことを求めて、深圳法院に訴訟を提起した。
その後、「網易雲音楽」は『著作権に関するお知らせ』と題して、今回、削除した歌曲は「網易雲音楽」の音楽ライブラリの1%に過ぎず、また、「騰訊」と著作権の利用許諾について交渉中であるが、現時点で交渉がまとまっていないため、この部分の楽曲を暫く削除する必要があり、一部歌曲を利用できない間、利用者の方には迷惑をかけることとなり、心より謝罪するとの旨を発表した。
5、五年の「赤缶の争い」、最終的に「王老吉」と「加多宝」が包装の権利を共有
「王老吉」と「加多宝」の5年に亘る「赤缶の争い」は、2017年8月16日に最高人民法院が、「広薬グループ」と「加多宝」は他人の合法的利益を害しないという前提で、「赤缶王老吉涼茶」の包装を共同使用することができる。両当事者とも互いを侵害していないため、賠償金もない」との判決を下して、終結した。
6、「央視動画(CCTVアニメーション)」が「広州大頭兒子」の著作権侵害を主張し、28万人民元の賠償金を獲得
2017年8月18日、北京市朝陽区人民法院は、『大頭兒子和小頭爸爸(大きな頭の息子と小さな頭のお父さん)』の著作権紛争に対して一審判決を下し、「央視動画」が勝訴を勝ち取った。法院は、「広州大頭兒子」が授権生産、授権販売するおもちゃのキャラクターと「央視動画」が権利を主張する係争アニメのキャラクターとを比較した結果、両者は明らかに一致しているため、「広州大頭息子」は、「央視動画」の作品の著作権を侵害したとして「広州大頭兒子」及び「時代佳麗」に対し、授権生産、授権販売を停止し、「央視動画」に経済的損失及び合理的支出の計28万人民元の賠償金を支払うことを命じる判決を下した。
7、ニューバランスが中国での商標訴訟で勝訴 1千万人民元の賠償金を獲得
2017年8月24日、蘇州中級人民法院は、「New Boom」ブランドで靴を製造する製造業者3社に対し、「N」マークを侵害したため、ニューバランスに侵害の賠償金及び訴訟費用の計150万ドル(約1千万人民元)を支払うことを命じる判決を下した。
8、アップルストアのアイコンが中国企業を侵害した疑い
2017年12月、北京躍世当紅文化伝播有限会社(KONの商標権者:以下、「北京躍世」という)は、北京市東城区人民法院に、アップル電子産品商貿(北京)有限会社(以下、「アップル社」という)が自社の美術作品の著作権を侵害したと訴えた。「北京躍世」は、「アップル社」が販売するiPhone、iPadなどのシリーズの電子製品にあるアプリストアのアイコン(iOS11バージョン)が、「北京躍世」の創作した美術作品の主な内容、構造、図形レイアウトなどの主要な要素においてほぼ一致しているとして、「アップル社」の著作権侵害行為の即時停止、そのアイコンを使用した電子製品の販売停止、並びに全国的なメディアを通じた謝罪、影響の排除を求めるとともに、経済的損失に相当する賠償金を原告へ支払うことを求めた。
9.『奇葩説』商標の盗用で、200万人民元の賠償金を請求
『奇葩説』は、2014年に愛奇芸(動画サイト)が配信したインターネットバラエティ番組である。北京雪領インターネットテクノロジー有限会社(以下北京雪領という)は、無断で「行銷奇葩説」という番組を製作し、「行銷奇葩説」の微信(WeChat)の公式アカウントを作成したため、愛奇芸は、商標権侵害と不正競争にあたるとして、法院に訴訟を提起し、北京雪領に対して200万人民元の賠償金を請求した。2017年12月18日、北京海澱法院は、北京雪領の行為は、『奇葩説』の登録商標権を侵害しただけではなく、『不正競争防止法』にも違反しているとして、その訴えを認めた。
10、華為(HUAWEI)がサムスンを特許侵害で訴えた裁判 一審判決で勝訴 8千万人民元の賠償金を獲得
深圳中級人民院は、華為がサムスンを特許侵害で訴えた特許侵害紛争事件について、サムスンによる権利侵害を認め、被告サムスンに対し製造販売と許諾販売の方式で華為の特許権を侵害する行為の即時停止、華為への8,050万人民元の賠償金支払い、23機種のサムスン携帯電話の製造及び販売の停止を命じる一審判決を下した。
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