2016年中国の
音楽産業の総規模が3,253億人民元超
【出典:中国知識産権情報網】
2017年11月3日、北京で「2017 第4回音楽産業ハイエンドフォーラム」が開催された。フォーラムでは、「インターネット+」時代における音楽産業の発展と変革の新局面に焦点を当てて議論が行われた。フォーラムでは『2017中国音楽産業発展報告』(以下『報告』という)が発表された。『報告』によると、2016年中国の音楽産業の総規模は前年度比7.79%増の約3,253億人民元に上った。その成長率は同時期のGDP成長率よりも1.09%高く、デジタル音楽産業に代表される新モデルが、中国の音楽産業全体の急速な成長の主な原動力となっていることが分かる。同時に、中国の政策と資本のサポートのもと、伝統的な音楽産業と新興音楽産業の融合が加速し、継続的な産業チェーンの再構築、ビジネスモデルの革新、消費の刺激により、中国の音楽産業は正式に急成長の新時代に突入した。
∮音楽産業全体の急速な成長
2016年、中国の音楽産業の中核層(注:音楽創作に関連する産業)の売上高は、703.98億人民元で、全体の21.64%を占めており、前年度より減少した。これは音楽創作を主とした中核層産業の新旧モデルの転換の重要な節目にあり、伝統的で物理的な音響映像産業(例えば、CD、DVD….)が更に減少し、デジタル音楽産業は、人口ボーナスの減退とユーザー増加率の鈍化により、現有のユーザーを深く開拓する時代に入ったことを示している。しかしながら、音楽ライブパフォーマンスの台頭、デジタル音楽の有料ユーザーの急速な成長及びビジネスモデルの革新が、中核層産業の急速な成長を後押ししている。
2016年、関連層音楽産業(注:音響、楽器製造などの周辺産業)の売上高は1,612.33億人民元で、前年比10.72%増となった。物理的な製品の製造、販売を主とする関連層産業は、マクロ経済に大きく影響されるが、音楽産業の関連製造整備市場の急増と「中国製造」から「中国創造」への変換の恩恵を受けて、関連層のうちの楽器産業、専門音響産業はいずれも2桁の成長を遂げ、企業利益は安定している。
2016年、展開層音楽産業(注:KTVなどの娯楽産業)の売上高は936.91億人民元で、前年比4.5%増となった。展開層の大部分を占めるカラオケ業界は、伝統的な娯楽産業とインターネット時代の娯楽産業の融合発展の岐路にある。オンラインKTVとオフラインミニKTVの将来市場は大きな可能性を秘めており、将来的に急速成長することが予想される。
Ø 音楽の分野ごとの発展が順調
音楽著作権ブローカー及び管理に関して、2016年の中国音楽著作権協会の著作権ライセンス収入は、1.84億人民元に達し、前年比8.2%増となった。2016年の中国音響映像著作権集中管理協会の総収入は1.83億人民元に達し、前年比18.06%増となり、急速な成長傾向を示した。
デジタル音楽分野では、2016年の中国デジタル音楽産業規模は529.26億人民元に達し、前年比6.2%増となった。そのうち、PC端末とモバイル端末の総売上高は、143.26億人民元に達し、前年比39.36%増となった。その主力は急速に成長した有料ユーザー群である。電信会社の音楽付加価値サービスの売上高は約386.66億人民元で、前年比3%減となったが、4G音楽のマルチメディア事業が新たに増え、デジタル音楽プラットフォームの多様化した利益モデルが当年度のハイライトになった。
ラジオやテレビの音楽分野では、2016年の音楽ラジオの広告費が約15.27億人民元で、前年比2.1%増となった。2016年の音楽関連のテレビバラエティ番組と動画サイトの自作の音楽関連バラエティ番組は引き続き人気があり、番組の数と種類は安定した成長を見せ、テレビの音楽関連バラエティ番組の広告総収入は前年比53.4%増の46億人民元を超えた。市場は多くの可能性を秘めているものの、産業化の発展メカニズムは依然として改善が必要である。
カラオケ分野では、2016年のカラオケ業界の総売上は869億人民元に達し、前年度比2.7%増となった。伝統的なKTVは持続的に縮小し、ビジネスモデルの転換及び革新が必要である。オンラインカラオケはオーディションバラエティ、VR/ARライブ配信などと組み合わせる形式で広範囲なエンターテインメント時代に突入した。また、オフラインミニKTVの出現により、資本が大量に流入して、業界全体の資産価値が高まることとなった。
映画、ドラマ、ゲーム、アニメの音楽分野では、2016年の中国の映画、ドラマ、ゲーム、アニメ音楽の総売上高は約6.64億人民元で、前年比17.7%増となった。そのうちゲーム音楽収入は約1.3億人民元、アニメ音楽収入は約1.4億人民元、映画、ドラマの音楽産業の総売上額は約3.94億人民元で、前年比34%増となった。VR、ARなどの新技術は、ゲームやアニメ産業に新たな活力をもたらした。映像とゲームの連動、アニメとゲームの連動、アニメと娯楽の連動などの革新のモデルが絶えず出現していることも、産業連動の発展に大きな可能性をもたらしている。
2016年の中国国家音楽産業基地の総資産は234.34億人民元に達し、前年比31.37%増となった。売上高は119.34億人民元で、前年比49.18%増となった。主な事業収入は112.72億人民元で、前年比57.23%増となった。基地園区の主な営業利益は18.46億人民元であった。
2016年中国国家新聞出版広電総局は基地園区建設からの「退出メカニズム」の管理弁法』を発表し、中国国家音楽基地園区の運営と発展を規範化した。各基地は、園区の建設において「音楽+アイデア」産業の統合と転換のレベルアップを積極的に推進し、産業クラスター効果を高めるべく基地間の連携を強化し、音楽産業のバリューチェーンを全面的に深く広げた。これにより、2016の年中国国家音楽産業基地園区の売上高が急速に成長した。
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