中国 知的財産権の
質権担保融資が爆発的に成長
【出典:経済参考報】
中国国家知識産権局の最新の統計データによると、2017年の上半期、全国で新たに増加した専利の質権設定による担保融資(質権担保融資)額は、前年度に比べ92%成長し、318億人民元に達した。質権担保の件数は、前年度に比べ41%成長し、1,493件となり、中国の専利の質権担保融資規模が急速に成長していることが窺える。2017年8月29日に開催された「中国知的財産権横琴フォーラム」で、国家知識産権局は、「現在、既に10の省で知的財産権質権担保融資リスク補償基金が設立され、最初の募集資金額は40億人民元以上に達し、4つの省の知的財産権質権担保融資リスク補償基金の設立を支える。ここ5年、中国の専利質権担保融資の総額は2,057億人民元に達し、年平均33%の成長を遂げ、効果的に一部の中小企業の融資問題を解決した」と述べた。
2017年8月30日に開催された国務院常務会議では、中小零細企業のイノベーション支援を拡大させ、中小企業のために「ワンストップ式投融資情報サービスシステム」を構築して、主要なリーダー的企業又は大型企業から得る売掛金を担保として、関連企業に融資を提供するために、ローン、保険、財政リスク補償がセットになった専利質権担保融資の新モデルの発展を支援し、金融によるイノベーションサポートの柔軟性と利便性を高めることなどを決定した。これにより、「知本(知識の財産)」が「資本」になり、知的財産権が中小企業にとって資金調達のための新しい手段となる。
国家知識産権局が先日公布した「『十三五』国家知的財産権の保護及び運用計画」の重点任務の分業計画には、2020年には年間の知的財産権質権担保融資金額が1,800億人民元に達することが明確に示された。中細軟知識産権研究院の「2017-2020知的財産権市場規模の予測報告」では、20%という慎重な成長率予測によると、2017年の商標の質権設定登録件数は1,692件で、金額は780億人民元に達し、2020年の商標の質権設定登録件数は2,924件で、金額は1,348億元に達すると予測された。また、2017年の全国の専利権の質権担保額は累計で559億人民元に達し、2,333社がその恩恵を受け、2020年には全国の専利権の質権担保額が706億人民元に達し、2,939社がその恩恵を受けると予測された。
知的財産権の質権担保融資以外に、2017年8月28日に開催された第12期全国人民大会常務委員会第29回会議で『中小企業促進法(改正草案)』の第三回審議が行われた。改正草案の第3審稿では、第16条に「国家は各種金融機関が中小企業の特徴に適した金融商品とサービスを開発し提供することを奨励する」との規定が追加された。
全国人民大会常務委員会ではグループ審議において、改正草案の融資促進の章で知的財産権担保融資に関する内容を増やすことが提案された。陝西省人民代表大会でも金融機関が中小企業向けに提供する担保融資の担保物件として「商標、専利など」一定の価値を有する無形資産を組み入れることが提案された。
中国の人民大学商法大学院は、「担保融資は大きい概念であり、質権担保融資は小さい概念である。担保には、抵当権、質権、保証、手付金などが含まれる。知的財産権融資担保を法案に組み入れた場合、知的財産権融資規模の再拡大が見込まれ、中小企業の資金調達が困難、資金調達コストが高い、資金調達が不便などの問題を解決する上で、より大きな効果が発揮される」との見解を示した。 |