中国 『反不正競争法』初めての改正で、
インターネット関連条項を増設
【出典:中国経済参考報】
中国の『反不正競争法』の初めての改正が最後の段階に入り、全国人民代表大会財政経済委員会及び法制工作委員会は、『反不正競争法(改正草案)』に対する意見募集を行った。改正『反不正競争法』では初めてインターネット関連の反不正競争条項を増設し、インターネット分野に現れた新しい不正競争行為、例えば、事業者がインターネット技術を利用してユーザーの選択に影響を与えたり、他の事業者の正常な経営を妨げたりするなどの行為について、法律の監督管理の範囲に入れることを規定した。
『反不正競争法』は「市場経済憲法」と呼ばれ、1993年9月2日に中国第8期全国人民代表大会常務委員会第3回会議で可決され、1993年12月1日に施行されてから、いままで改正されたことがなかった。2017年2月に『反不正競争法(改正草案)』が正式に全国人民代表大会常務委員会に提出され審議された。改正は現行法33条のうち30条が対象となり、うち7条が削除され、9条が新設されて、計35条となった。
また、『独占禁止法』の公布と『広告法』及び「知的財産権法」の改正に伴い、関連する法律条項に矛盾などの問題が発生し、体系的解決の必要性が出てきた。
今回の『反不正競争法(改正草案)』の主なポイントは、初めてインターネットに関連する不正競争条項を増設したことである。ここ2年、新手のインターネット不正競争行為に係る事件の件数が爆発的に増えた。模倣盗作、ドメイン名先駆け登録、ソフトウェアのインストール実行妨害、ソフトウェアの誘導的又は悪意によるアンインストール、検索表示順位、悪意あるプラグインのインストール、虚偽広告、情報窃取、商業の中傷及び中間者攻撃など悪質な競争・不正競争の手段はインターネット分野の事業者間の不正競争主な焦点になっている。最近中国のある有名な携帯メーカーが自身の携帯商品にポップアップウィンドウを利用して、ユーザーが特定のソフトウェアを選択するのを妨げ、ダウンロードされたソフトウェアの正常なインストールを妨害し、別のサイトへジャンプするよう誘導するなどし、不正競争が疑われて、他の携帯アプリケーションソフトウェアメーカーから提訴された。
現行の法律には、インターネット競争に関する規定がないことから、『反不正競争法』のインターネット分野での適用を疑うインターネット会社もある。法執行部門の話では、これまで、各級工商機関はインターネット技術に関連した不正競争問題の苦情を受けてきたが、現行の法律には明確な規定が無いため、行政法執行部門の機能を効果的に発揮することができなかった。この10年、少なくとも400件以上のインターネット分野の不正競争事件では関連する条項がないために、裁判官の自由裁量の幅が大きすぎて、学界では大きな議論となっていた。
改正草案では、競争者は技術手段を利用して、インターネット分野でユーザーの選択に影響を与えてはならず、その他の事業者の正常な事業活動を妨げる行為をしてはならないと規定し、また、具体的に禁止すべき行為も規定することによって、行政法執行によるインターネットの不正競争行為の取り締りの役割を強化する。
現在改正中のインターネット不正競争条約には、検討が必要な制度も依然ある。例えば、関連条項にあげられた違法行為の類型化が完全かどうか、妥当性の程度は適切かどうか、技術手段で回避される可能性があるかどうかである。これ以外に、改正草案ではすべての市場主体に対して、「互換」義務が新設されており、中小企業のイノベーションにとっては不利である。改正草案では、初めてインターネットの条項が増設された以外に、商業賄賂の範囲も適切に拡大され、各種悪意ある模倣行為も細分化され、さらに行政法執行権も整備され、検査、押収、差し押さえ、調査などの強制措置が追加され、不正競争行為に対する民事賠償責任も追加される。
現在、改正は既に最後段階に入っており、今回の改正で、解決が必要とされる問題は以下の通りである。
- 明確に一般条項を追加する。定義付けすることで一般条項の前提条件を構築するだけではなく、一般条項の適用手続きを設定して、一般条項が乱用されるのを防止する。
- 一般条項が、罰則がないために機能しないということを防ぐために、一般条項に違反した際の違法責任を規定める。
- 事業者に対する「営利性」要件の削除を提案して、過去の法執行と司法実務の一致性を維持し、「事業者」の概念とその他の法律との一致性を維持するとともに、不正競争法の適用範囲が不適切に減縮されるのを防ぐ。
- 消費者の利益を守る具体的なメカニズムの追加を提案する。消費者の合法的権益は既に本法の立法目標に入れられているが、権利救済の部分において、消費者が本法を利用して、自身の権益を守るメカニズムがない。
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