中国　知的財産権を『中医薬法』に盛り込む

【出典：中国製薬網】

　中国製薬網は2017年6月27日に、『中医薬(漢方薬)法』が2017年7月1日より施行されることを発表した。これは中国が初めて伝統中医薬を振興するために制定した法律であり、この法律の特別な点は、知的財産権を中医薬の発展、保護手段としているところである。この『中医薬法』中で、知的財産権と関連している条文は下記のとおりである。

第8条

国は中医薬の科学研究及び技術開発をサポートし、中医薬の科学技術革新を奨励し、中医薬の科学技術成果の応用を普及させ、中医薬の知的財産権を保護し、中医薬の科学研究のレベルを向上させる。

第23条

国は、道地中薬材（一定の自然条件、生態環境で生育した良質な生薬）の評価体系を構築し、道地中薬材の品種の選択的育成を支援し、道地中薬材の生産基地建設をサポートし、道地中薬材の生産基地の生態環境保護を強化し、地理的表示で商品を保護する等の措置による道地中薬材の保護を奨励する。

第25条

国による薬用野生動植物資源の保護については、薬用野生動植物資源に対し動態的な観測と定期的な全面調査を行い、薬用野生動植物資源のジーンバンクを設立し、人工栽培・繁殖の発展を奨励し、法律により貴重で、絶滅の危機に瀕した薬用野生動植物資源の保護、繁殖及びその関連研究をサポートする。

第29条

国は中薬新薬の研究開発及び生産を支援し奨励する。

第38条

国は、科学研究機関、高等教育機関、医療機関及び製薬企業などが現代科学技術及び伝統中医薬研究方法を用いて、中医薬の科学研究の展開、中医（東洋医学）と西医（西洋医学）の統合的な研究の強化、中医薬理論と技術方法の継承及び革新の促進を奨励する。

第40条　

国は、中医薬の特徴に合った科学技術の革新体系、評価体系及び管理体制を構築、整備し、中医薬の科学技術の進歩及び革新を推進する。

第42条

重要な学術的価値を有する中医薬の理論及び技術方法に対しては、省級以上人民政府の中医薬管理部門が、当行政区域内の中医薬学術継承項目及び継承者の選出に取組むとともに、継承活動に必要な条件を提供しなければならない。選出された継承者は継承活動を実施して、後継者を育成し、関連の学術資料を収集整理し、適切に保管しなければならない。無形文化遺産の代表的な項目に属すものについては、「中華人民共和国無形文化遺産法」の関連規定に基づいて、継承活動を実施する。

第43条

国は、中医薬の伝統的知識保護データベース、保護リスト、保護制度を構築する。中医薬の伝統的知識の保有者はその保有する中医薬の伝統的知識に対して伝承及び使用する権利を享有し、また、他人によるその保有する中医薬の伝統知識の取得、利用に対して、同意したり利益共有したりするなどの権利を享有する。国は、法律に基づいて国家機密と認定された伝統中薬の処方、組成及び生産技術に対しては特別な保護を実施する。

第50条

国は、中医薬基準の体系構築を強化し、中医薬の特徴に応じて、統一する必要のある技術的要件に対して基準を制定するとともに適時改正を行う。国は中医薬の国際基準体系の構築を推進する。