中国国家工商総局 商標権侵害の
処罰に関する情報を企業信用情報公示システムで公開
【出典:中国工商総局公式サイト】
中国国家工商総局は、2017年5月17日に『商標ブランド戦略の徹底実施による中国ブランド構築の推進に関する意見』(以下『意見』と略称)を公布した。『意見』には、商標登録の利便化、登録商標の専用権の保護強化などの措置を引き続き推進し、中国ブランドのマドリッド協定議定書に基づく国際登録出願を奨励することなどが示された。
『意見』では具体的な措置として、地方の商標受理窓口の増設、商標のオンライン出願の推進を挙げ、商標の文書業務のオンライン化を推進し、電子登録証の使用を普及して、市場参加者が自身の商標を登録、使用するにあたって更に多くの利便性を提供することが示された。
2016年から、工商総局は地方の商標受理窓口の増設を始めた。商標オンライン出願も、その対象を商標出願代理機構に限っていたのを、全ての出願人に広げた。現在、全国27の省市で56の商標受理窓口が設けられているが、6月中下旬から更に20の窓口が正式に業務を開始する。
商標の保護において、『意見』には、馳名商標、地理的表示、渉外商標、老舗企業の名称の一部が登録された商標を重点的に、商標の行政保護を強化し、特にインターネット上の商標権侵害、模倣などの違法行為を厳しく取り締まることが示された。今後、商標権侵害、模倣行為、違法な商標の代理行為が原因で行政処罰を受けたなどの情報は、国家企業信用情報公示システムにより公開し、商標の信頼喪失行為に対する監視管理及び共同懲戒に役立てる。商標に関する法律執行は、「双随機、一公開(検査対象と検査官の双方をランダムに選択し、検査状況と処理結果を随時社会に公表する)」で監視管理し、総局のランダムな抽出検査項目リストに基づき、商標の違法行為の検査を強化する。
商標ブランド資産運用について、『意見』には、企業、特に中小零細企業の融資問題解決に役立てるために、地方の登録商標の質権設定登録の受理機関設置を推進すること、登録商標の使用を促進するために、登録商標の三年連続不使用に対する取消審判を更に強化すること、商標の悪意の先駆け登録及び転売による利益獲得を防止するために、商標取引の監視管理の強化し、商標の取引行為を的確にルール化し、取引のルール設定及び監視管理の制度設計を強化することが示された。
現在、中国全国24の省市にある30の工商及び市場監視管理局は既に、地方の登録商標の質権設定登録受理機関を設置しており、企業は直接地元で融資を受けるための商標の質権設定手続きをすることができる。2017年1~3月の、商標質権設定登録は計178件で、関連の被担保債権の総額は68.1億人民元であった。そのうち30の地方受理機関が受理した質権設定登録は90件、企業への融資額は33億人民元で、件数では50.1%、金額では48.4%を占めた。このことは、現地の経済構造に基づいて、小・零細企業への商標質権設定登録による小額融資を素早くサポートするという地方の受理機関の業務特徴を表している。
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