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中国 技術調査官制度の現状

【出典:中国企業知識産権網】

 専利、コンピュータソフトウエア、ノウハウなどのコアな知的財産権に対する司法保護を強化するために、中国では北京、上海、広州の三箇所において知的財産の専門審判機関(知的財産法院)が設置された。実際の運営において、技術系の案件の審理を充実させるために、技術調査室を相次いで開設し、技術調査官を配置して、案件の事実の調査作業に参加させた。北京知的財産法院のデータからわかるように、技術調査官が配置されてからこの一年間、当法院の技術系の案件の結審率は昨年の同時期に比べ87%上昇し、且つ審判の質が明らかに向上した。

201510月に技術調査室が設立されてから、北京知的財産法院が任命した技術調査官は既に250件の知的財産権案件に関する技術的事実の調査作業に参加し、128件の裁判に出廷し、技術審査意見書を100件以上作成した。技術調査官が訴訟活動に参加することにより、当事者と技術的な問題について討論することができ、コア技術に係る問題についてもより深く把握できるようになった。しかも、技術調査官は専利法、著作権法、営業秘密法の法的基準についてもある程度の予備知識があるため、技術問題の最も核心的な部分を見つけ出すことができる。そのことによって審判がより効率的になり、争点が明確化するようになった。

技術調査官の主な任務は、合議廷の技術翻訳、技術アシスタント及び技術アドバイザーとしての役割を遂行することであり、案件に係る専門技術用語を合議廷の裁判官の理解できる内容に解釈しなければならない。次いで、案件に係る技術内容がどのような技術方案についてのものなのか、どのような技術手段を採用したか、技術中のどのような問題を解決したか、どのような技術的効果を達したかについて、合議廷の理解を助ける。最後に案件に対する全体理解を通して、合議廷のために案件に係る技術問題のポイントを整理するとともに調査の提案を提出する。

現在、北京知的財産法院は主に高等教育機関、科学研究機関、国家専利機関等の研究員から技術調査官を合計39名選出し、その分野は、光電、医薬、通信、生化学、材料、機械、コンピュータなど審理の実務上よく関わりのある専門的な技術分野を網羅している。最高人民法院の関連規定によると、技術調査官は司法補助員であり、より高い専門性を有する案件の場合、法院は技術審査官を指定して、審判に協力させることができる。

世界的には多くの国が類似の技術調査官を配置しており、アメリカでは知財裁判官には技術問題の解決をサポートする何名もの技術アシスタントがおり、ドイツでは職業裁判官と同等の評決権を有する技術系裁判官が配置されている。また、日本、韓国、台湾にも技術調査官制度がある。

現在、最高人民法院は中国の国情に沿った技術調査官制度の確立に向けて、関連の司法解釈及び職務規範の研究・制定に取り組んでいる。

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