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北京高院が《インターネット上の
知的財産権案件審査指南》を発表

【出典:北京法院ウェブサイト】

インターネット・サービス・プロバイダー(以下、ISP と略称する)はネットワークサービスを提供する際に、オンライン販売者に商標権侵害を起こさせる教唆行為又は幇助行為があった場合、当該オンライン販売者と連帯責任を負わなければならない。これについて、北京市高級人民法院(以下、北京高院と称する)は413日に《インターネット上の知的財産権案件審査指南》を発表し、インターネット上の知的財産案件の審査について規範化を行った。

今回発表された《審査指南》は、三つの部分、計42条からなり、主にインターネット上の著作権、商標権及び不正競争紛争における判断が難しい法律問題に関するものとなっている。北京高院によると、2015年に全市法院が新たに受理した一審の知的財産権民事案件は、昨年に比べて24.1%増加し、そのうち、インターネットに係る知的財産権案件が比較的高い割合を占めている。インターネットに関する新技術、新たなモデル及び新しい物事の発展に伴い、従来の分野と異なった新たな現象が数多く生じ、社会にもインターネット上の知的財産権の司法保護に対する新たなニーズが生じて、知的財産権の司法保護は新たな課題に直面している。北京高院はこのような紛争を適切に解決するために、2014年に特別チームを発足させ、インターネットに係る知的財産権紛争における重要な争点、問題を全面的に整理し、調査研究を行い、専門家などから広く意見を聴取ると同時に複数のルートを通じて意見を公募し、10回の調整や修正を経て、この《審査指南》を完成させた。

インターネットを利用した商品販売は既に普及したビジネスモデルとなっているが、ISP の行為の性質や責任についての判断は常に司法実務上の難題となっている。インターネット上の商標権部分に関して、《審査指南》ではこの種の案件の審理は「利益均衡原則」及び「合理的予防原則」を適用すべきであるとしており、ISP の行為が直接商標権侵害を構成したか否かの挙証責任、「有効な通知」の認定及び「誤った通知」の法的効果、ISP の「知る」についての判定要素や、アプリケーションソフトウェアの商品又はサービスの類否判断等を規定している。知的財産権の保護を強化し、権利侵害行為を効果的に取り締まるために、《審査指南》では、ISPがオンライン販売者の具体的な情報について挙証責任を負うことが規定されているとともに、権利者の「通知」方法、内容、法的効力、「誤った通知」による法的効果等についても詳細に規定されている。

ISPが故意に言葉、(販売促進や集客方法などの)技術サポートの推薦紹介、ポイントサービス、優遇サービスを提供する等の方法により、オンライン販売者に商標権を侵害させるよう誘導し且つ扇動した場合、当該ISPが当該販売者の権利侵害行為を教唆したと認定できる。ISPが、オンライン販売者がネットワークサービスを利用して他人の商標権を侵害したことを知りながら、そのリンクを削除、遮蔽、切断する等の必要な措置を取っていない、又は依然として技術やサービス等のサポートを提供した場合は、当該ISPが当該販売者の権利侵害行為を幇助したと認定できる。この2種の行為をしたISPはオンライン販売者と連帯責任を負わなければならない。

オンライン販売者がネットワークサービスを利用して商標権を侵害したことをISPが「知っていた」か否かの判断については、《審査指南》では「知る」について「明知(明らかに知っていた)」及び「応知(知っていたはず)」を含むと規定されており、「知る」ことに属するものの例として、権利侵害の疑いのある取引情報がサイトのトップページ、サブページのトップ画面又はその他明らかに見える位置に掲載された、ISPが権利侵害の疑いのある取引情報に対して編集、選択、整理、順位付け、推薦又は修正等を自発的にした、ISPが権利者からの通知により、当該ネットワークサービスを通じて権利侵害の疑いのある取引情報又は取引行為が拡散又は実施されたことを充分に知らされた、明らかに不合理な価格で有名商品又は役務が販売又は提供された等が挙げられている。裁判所は権利侵害か否かを認定する際、それを総合的に考慮して判断する。

 商標権の外に、《審査指南》ではインターネットに係る著作権及び不正競争紛争の関連問題についても規定されている。インターネット上の著作権部分では、主に著作権者とISPの挙証責任の分担、ISPの行為性質の認定、「分業協力」の判定方法、権利侵害要件と免責要件の適用関係、ウェブページの「キャッシュ」の合理的な使用、ネットによる放送行為の法的適用に関する主な六つの問題について規定されている。インターネット上の不正競争部分では、この種の紛争の基本的な判定規則、「公認の商業道徳」の認定、反不正競争法第2章に規定された虚偽宣伝行為及び営業誹謗行為に関する具体的な認定要件、「有料検索エンジン登録(Paid Placement)」行為の法的規制、損害賠償額の算定などの五つの問題について規定されている。

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