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中国 刑法を改正して著作権保護を強化

 2015111日から施行された「中華人民共和国刑法改正案()(以下「刑法改正案」と称す)」に、著作権保護に対する重要な条項が追加された。追加された条項は刑法改正案第287条の1と第287条の2で、条文の内容は次の通りである。

287条の1【情報ネットワーク不正利用罪】

①情報ネットワークを利用して次に掲げる行為のいずれかを実施し、情状が深刻な場合、三年以下の有期懲役若しくは拘留に処し、罰金を併科又は単科する。

(一)詐欺を実施し、犯罪方法を伝授し、禁制物品、規制物品等を製造又は販売する違法犯罪活動に用いるためのウェブサイト、通信コミュニティを設立した場合。

(二)毒物、銃器、猥褻物品等の禁制物品、規制物品の製造若しくは販売に係る情報又はその他違法犯罪に係る情報を発布した場合。

(三)詐欺などの違法犯罪活動を実施するために情報を発布した場合。

②企業が前項の罪を犯した場合、企業に対して罰金を命じるとともに、直接責任を負う管理職及びその他の直接の責任者を第1項の規定に基づき処罰する。

③前二項の行為があり、同時にその他の犯罪を構成する場合、処罰が重い方の規定に基づき罪を確定して処罰する。

287条の2 【情報ネットワーク犯罪活動幇助罪】

①他人が情報ネットワークを利用して犯罪を実施することを明らかに知りながら、その犯罪にインターネットアクセス、サーバーの委託管理、ネットワーク接続ストレージ、通信伝送等の技術サポートを提供し、又は公告、支払・決済等の幇助を提供し、情状が深刻な場合、3年以下の有期懲役刑又は拘留に処し、罰金を併科又は単科する。

②企業が前項の罪を犯した場合、企業に対し罰金を命じるとともに、直接責任を負う管理職及び直接の責任者を第1項の規定に基づき処罰する。

③前二項の行為があり、同時にその他の犯罪を構成する場合、処罰が重い方の規定に基づき罪を確定して処罰する。

 中国は、刑法の二つの条項に新たに追加された規定により、著作権保護を更に強化する。第287条の1は予備行為も処罰の対象とする。例えば、著作権侵害を実施するためにインターネット上で人員募集、情報広告又は海賊版のカタログ情報等を発布する等の行為は、実際には著作権を侵害しておらず、前段階の予備行為に過ぎず、著作権の侵害に対しては未遂の状態であるが、刑法改正案が実施された後は、この種の行為は第287条の13項に基づき「情報ネットワーク不正利用罪」と判断することができる。

 第287条の2は、幇助犯も正犯として処罰するものである。例えば、他人が情報ネットワークを利用して著作権侵害を犯すことを明らかに知りながら、その犯罪にインターネットアクセス、サーバーの委託管理、ネットワーク接続ストレージ、通信伝送等の技術サポートを提供し、又は公告、支払・決済等の幇助を提供する行為は、旧刑法の規定によれば、著作権侵害罪の直接行為が共同犯罪を構成する場合においてのみ、従犯(副次的又は補助的役割)とすることができる。然しながら、刑法改正案施行後は、刑法第287条の2に基づき、直接「情報ネットワーク犯罪活動幇助罪」とすることができる。つまりは、「幇助行為の正犯化」である。

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