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知識産権を濫用して競争行為を排除し、

制限する禁止規定を中国国家工商行政管理総局発布

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 市場の公平競争を保護すると創造革新を激励するため、経営者が知識産権を濫用して競争行為を排除し、制限することを制止するため、<中華人民共和国反独占法>(独占禁止法)(以下<反独占法>と称す)に基づいて、この規定を制定する。

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 反独占(独占禁止)及び知識産権の保護は共同の目標を有し、即ち競争及び創造革新を促進し、経済の運営効率を高め、消費者の利益及び社会の公共利益を防護することである。

 経営者は知識産権に関する法律、行政法規の規定に基づいて知識産権の行為を行使し、<反独占法>を適用しない。ただし、経営者が知識産権を濫用して競争を排除し、制限する行為は<反独占法>を適用する。

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 この規定にいう知識産権を濫用して競争を排除し、制限する行為とは、経営者が<反独占法>の規定に違反して知識産権を行使し、独占協議を実施し、市場の支配地位等を濫用する独占行為(価格独占行為を除く)をいう。

 この規定にいう関連市場とは、関連商品市場及び関連地域市場を包括し、<反独占法>及び<国務院反独占委員会が関連市場の定義に関する指南>に基づいて定義を行い、併せて知識産権、創造革新等要素の影響を考慮する。知識産権の許諾等反独占法の施行中、関連商品市場には技術市場であることもよく、特定知識産権を含有する産品市場であることもよろしい。関連する技術市場とは知識産権の行使に関わる技術及び相互代替できる同類技術の間に相互競争して構成された市場を指していう。

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 経営者の間は知識産権を行使する方法を利用して<反独占法>第13条、第14条に禁止する独占協議に達成してはならない。ただし、経営者は達成した協議が<反独占法>第15条の規定に合致することを証明できるときは除く。

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 経営者が知識産権を行使する行為に、次に掲げる事情のいずれがある時、<反独占法>第13条第1項第6号と第14条第3号に禁止する独占協議と認められないことができる。ただし、当該協議が競争を排除し、制限する効果を有することを証明する反対証拠がある場合は除く。

1)競争関係を有する経営者がその行為によって受けた関連市場における市場の割り当量合計は百分の二十を超えない。若しくは関連市場においては少なくとも四つ以上の合理的コストで得たその他独立してコントロルする代替性技術。

2)経営者と取引相手が関連市場における市場の割り当量は共に百分の三十を超えない。若しくは関連市場においては少なくとも二つ以上の合理的コストで得たその他独立してコントロルする代替性技術。

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 市場の支配地位を有する経営者は知識産権を行使する過程中、市場の支配地位を濫用し、競争を排除し、制限してはならない。

 市場の支配地位は<反独占法>第18条及び第19条の規定に基づいて認定及び推定を行う。経営者が知識産権を有することをその市場の支配地位の認定要素の一を構成することができるが、但し、経営者が知識産権を有することだけで関連市場において市場の支配地位を有することと推定してはならない。

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 市場の支配地位を有する経営者が正当な理由なしに、その知識産権が生産経営活動に必須な施設を構成する状況の下で、その他の経営者に合理的な条件で当該知識産権の使用を拒絶し、競争を排除し、制限してはならない。

 前号の行為を認定するとき、下記の要素を同時に考慮しなければならない。

1)当該知識産権が関連市場において合理的に代替されることができず、その他の経営者が関連市場の競争に参与することに必須であるもの。

2)当該知識産権の許諾の拒絶はまさに関連市場における競争または創造革新に不利な影響を受けることに導き、消費者の利益又は公共利益を損害する。

3)当該知識産権の許諾は当該経営者に不合理な損害を引き起こさない。

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 市場の支配地位を有する経営者が正当な理由なしに、、知識産権を行使する過程中、下記限定取引行為を実施し、競争を排除し、制限してはならない。

1)取引相手が彼のみと取引できることに限定する。

2)取引相手が彼の指定した経営者のみと取引できることに限定する。

9

 市場の支配地位を有する経営者が正当な理由なしに、その知識産権を行使する過程中、同時に下記条件に合致する抱き合わせ販売行為を実施し、競争を排除し、制限してはならない。

1)取引慣例、消費習慣等に違背し、若しくは商品の効能を無視し、異なる商品を強制に縛って販売しまたは組み合わせて販売する。

2)抱き合わせ販売行為の実施によって当該経営者をして彼が抱き合わせ販売商品の市場における支配地位を被抱き合わせ販売商品の市場に引き伸ばして、その他の経営者が抱き合わせ販売商品又は被抱き合わせ販売商品の市場における競争を排除し、制限してしまう。

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 市場の支配地位を有する経営者が正当な理由なしに、その知識産権を行使する過程中、下記不合理な制限条件を付加する行為を実施し、競争を排除し、制限してはならない。

1)取引相手に対し、その改良する技術について反対に独占的許諾(Grant-back)を要求する。

2)取引相手に対し、その有する知識産権の有効性について質疑を提出することを禁止する。

3)取引相手に対し、許諾期限満了後、知識産権を侵害しない状況の下で、競争的商品又は技術の利用を制限する。

4)保護期間が既に満了し、または無効と認定された知識産権について継続的に権利を行使する。

5)取引相手が第三者と取引を行うことを禁止する。

6)取引相手に対し、その他不合理な制限条件を付加する。

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 市場の支配地位を有する経営者が正当な理由なしに、その知識産権を行使する過程中、条件が同じの取引相手に対し、差別待遇を実行し、競争を排除し、制限してはならない。

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 経営者が知識産権を行使する過程中、特許連合経営(Patent Pool)を利用して競争を排除し、制限する行為に従事してはならない。

 特許連合経営(Patent Pool)のメンバーが特許連合経営を利用して生産量、市場の分割等競争に関する敏感な情報を交換して<反独占法>第13条、第14条に禁止する独占協議に達成してはならない。但し、経営者が達成した協議が<反独占法>第15条の規定に合致するときは除く。

 市場の支配地位を有する特許連合経営(Patent Pool)管理組織が正当な理由なしに、特許連合経営を利用して下記市場支配地位を濫用する行為を実施し、競争を排除し、制限してはならない。

1)連合経営のメンバーが連合経営のほかに独立許諾者として特許の使用を許諾することを制限する。

2)連合経営のメンバー又は被許諾者が独立して若しくは第三者と連合して連合経営の特許と互いに競争する技術の共同研究開発を制限する。

3)被許諾者をしてその改良又は研究開発の技術を独占的に特許連合経営(Patent Pool)管理組織又は連合経営のメンバーに反対に許諾することを強迫する。

4)被許諾者に連合経営の特許の有効性について質疑を提出することを禁止する。

5)条件が同じの連合経営のメンバー又は同一関連市場の被許諾者に対して取引条件上差別待遇を実行する。

6)国家工商行政管理総局の認定するその他市場の市場地位を濫用する行為。

 この規定にいう特許連合経営(Patent Pool)とは、二つ又は二つ以上の特許権者がある種の形式を通じてその各自が所有する特許を共同で第三者に使用許諾する協議案配をいう。その形式はこの目的のために成立する専門の合資会社にするか、若しくはある連合経営のメンバーまたはある独立の第三者に委託して管理させることもできる。

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 経営者が知識産権を行使する過程中、標準(国家技術規範の強制的要求を含み、以下同じ)の制定と実施を利用して競争を排除し、制限する行為に従事してはならない。

 市場の支配地位を有する経営者が正当な理由なしに、標準の制定及び実施過程中、下記競争を排除し、制限する行為を実施してはならない。

1)標準の制定に参与する過程中、故意に標準制定組織にその権利情報を披露せず、若しくは明確にその権利の放棄をするが、但し、ある項の標準が当該特許に係るあとに、却って当該標準の実施者に対してその特許権を主張する。

2)その特許が標準に必要な特許(Essential Patents)になったあと、公平、合理と無歧視原則に違背し、拒絶許諾、抱き合わせ販売または取引時その他の不合理な取引条件を付加する等競争を排除し、制限する行為を実施する。

 この規定にいう標準に必要な特許(Essential Patent)とは、当該標準の実施に必要不可欠の特許をいう。

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 経営者が知識産権を濫用して競争を排除し、制限した行為に関して嫌疑を掛けられたとき、工商行政管理機関は<反独占法>及び<工商行政管理機関が独占協議、市場の支配地位の濫用事件を調査処理する手続き規定>に基づいて調査を行う。

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 経営者が知識産権濫用の嫌疑で競争を排除し、制限した行為について分析・認定するには、下記プロセスを採ることができる。

1)経営者が知識産権行為を行使する性質及び表現形式を確定する。

2)知識産権を行使する経営者の間に相互関係の性質を確定する。

3)知識産権の行使にかかわる関連市場の限界を定める。

4)知識産権を行使する経営者の市場地位を認定する。

5)経営者が知識産権を行使する行為が関連市場の競争に対する影響を分析する。

 経営者の間の関係の性質を分析・認定するには、知識産権を行使する行為自身の特点を考慮しなければならない。知識産権の許諾に関連する状況の下、元来競争関係を有する経営者の間に、許諾契約の中では、取引関係であるのに、許諾者と被許諾者は共に当該知識産権を利用して産品を生産する市場においてまた競争関係である。但し、若し当事者の間が許諾協議を締結した時に競争関係ではなく、協議締結した後初めて競争関係を発生したとき、元来の協議に実質的な変更を発生しなければ、やはり競争者間の協議としてみなされない。

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 経営者が知識産権を行使する行為が競争に対する影響を、分析・認定するには、下記要素を考慮しなければならない。

1)経営者と取引相手の市場における地位。

2)関連市場の市場集中度。

3)関連市場に進出する難易度。

4)産業の慣例及び産業の発展段階。

5)生産量、生産区域、消費者等方面について制限を行う時間及び効力の範囲。

6)創造革新の促進及び技術の押し広めるに対する影響。

7)経営者の創造革新能力及び技術変化の速度。

8)知識産権を行使する行為が競争に対する影響と関係あると認定されるその他の要素。

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 経営者が知識産権を濫用して競争を排除し、制限する行為が独占協議を構成するとき、工商行政管理機関により違法行為の停止を命令し、違法所得を沒収し、並びに前一年度売上高の百分の一以上百分の十以下の罰金に処する。達成した独占協議をまだ実施しなかった場合は、50万元(人民元)以上の罰金に処することができる。

 経営者が知識産権を濫用して競争を排除し、制限する行為が市場支配地位の濫用を構成するとき、工商行政管理機関により違法行為の停止を命令し、違法所得を没収し、並びに前一年度売上高の百分の一以上百分の十以下の罰金に処する。

 工商行政管理機関が具体的な罰金額を確定するとき、違法行為の性質、事情、程度、持続的時間等要素を考慮しなければならない。

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 この規定は国家工商行政管理総局によって責任をもって解釈する。

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 この規定は201581日より施行する。

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