海峡両岸商標の協調処理に関する作業処理手続
2011年10月19日に台湾知的財産局(TIPO)が作成公布した「海峡両岸商標の協調処理に関する作業要点」(以下「作業要点」と略称)は、中国2014年5月1日付改正商標法の改正施行に合わせるため、台湾知的財産局は「作業要点」を「海峡両岸商標の協調処理に関する作業処理手続」(以下「作業手続」と略称)に改正し、かつ、2015年3月2日に公告施行した。
「処理手続」の重点は下記の通り。
一、適用する対象
この商標協調処理手続を通じて協力を求める台湾地区の政府機関、法人、団体、個人及び大陸地区の台湾資本企業。
二、協調処理を求める要件
(一)既に大陸地区の法令に従って救済手続きを行った。
(二)事件はなお中国工商総局に所轄する機関に係属している。
若し事件は既に審結し、または既に人民法院に上訴している場合は、協調処理することができる事件ではない。協調処理できる事件は下記6類。
1.登録出願及び拒絶査定不服審判事件。
2.異議申立及び登録を与えない決定不服審判事件。
3.取消事件及び取消決定不服審判事件。
4.無効宣告事件及び無効宣告不服審判事件。
5.権利維持管理及び不正競争行為違反管理事件。
6.その他事件又は行政不服審判事件:その他事件とは工商総局の職掌にかかわる上記1ないし5以外の事件、例えば変更、更新、移転登録申請、商標使用許諾契約の登録申請及びその他商標登録関連事項。行政不服審判事件とは、中国大陸行政不服審判法令の規定に基づいて商標登録または保護を請求できる不服審判事件。
(三)請求者が不合理及び不公平の待遇に遭い、特に手続事項の処理が公平正義の原則に違反するとき。
(四)工商総局の所轄する機関の処理が中国大陸法令の規定に違反する(例えば、中国大陸の法令規定によらずまたは違反して決定又は裁定を行う)とき。
(五)工商総局の所轄する機関の処理が、中国大陸の商標審査及び審理基準に違反するとき。
三、協調処理を請求する手続:
(一)請求の主体:商標の所有者本人が望ましい。
この処理手続を適用する事件は、共に中国大陸地区に発生する事件で、かつ、海峡両岸の合作協議の枠組の下にある特別手続。協調処理する事件は緊急に属し、若しくは企業が中国大陸へ投資計画に属する者。一般の商標代理人が知っている又は通常処理する事務ではない。協調処理するメカニズムの機能を発揮するため、商標所有者本人が協調処理の請求を提出し、同時に十分な情報を提供して知的財産局に斟酌させて協調処理の通報を行うか否かを決める。本人を代理して知的財産局に協力を求める者は、代理人の委任状を添付するとともに本人への連絡方法及び電話番号を提供しなければならない。財団法人海峡交流基金会により請求者および大陸地区の台湾資本企業へ転送する場合も又同じ。
(二)請求の方式
書面又は電子メールの方式で行うことができる。工商総局への通報を利するため、書面で請求するものは請求書類物件及び関係証拠資料の電子ファイルを添付しなければならない。
(三)請求の書類物件:
理由及び関連証拠を備え、協調処理を請求する事項をはっきりと記明し、事件の事実及び不合理、不公平な待遇に遭うことを説明し、若しくは大陸の法令又は商標審査及び審理基準の適用原則に違反する理由及び具体的事実証拠、若しくはその他協力を要する事項、並びに事件の申請書、裁定(または決定)書、通知受理、中国商標ネットの商標情報等関連事項を添付して書面で知的財産局へ送付し、若しくは電子メールで知的財産局の指定したメールボックスに送る。もし電子メールで送信した場合、送信後改めて電話で送達したかどうかを確認することが望ましい。
四、補正通知
知的財産局は協調処理を請求する書類を受け取ったあと、不備の書類に対し、協調処理を請求する要件に合致せず、理由の論述がはっきりしないときは、電話で補正または釈明を通知し、必要があれば、請求者に知的財産局に出頭して説明させることを通知することができる。
五、協調処理の通報:
(一)知的財産局から大陸工商総局へ通報
協力を請求する事件が知的財産局の確認を得たあと、協調処理のメカニズムを発動して、電子メール、電話で大陸工商総局に通報して処理させる。
(二)大陸方面が協調処理を求める書類受領後の回答
工商総局が協調処理通報を受け取ったあと、二作業日内に電子メール、電話又はその他行える方式で協調処理書類の受領を回答する。
(三)協調処理受理日及び関連事項の伝達通知
工商総局の協調処理の受理回答を受け取ったあと、知的財産局はまさに電子メールまたは電話で協調処理の受理日及び関連事項を請求者に伝達通知する。
(四)協調処理結果の伝達通知
工商総局よりの協調処理結果の通報を受け取ったあと、知的財産局はまさに電子メールまたは電話で、決定または裁定結果を請求者に伝達通知する。
六、協調処理通報をしない。
商標所有者が他人に委託して協力請求及び関連事項連絡を代理させるが、代理人委任状を欠く;協力請求事項が不明確または事件の詳細関連する事実証拠の補正をせずに判断できない;協調処理メカニズムの処理範囲を越え;不公平不合理の待遇を受けたか否か若しくは大陸の法令又は商標審査及び審理基準の適用原則の審査に違反する等状況を十分に認定する関連事実がない、若しくは両岸協調処理メカニズムで協力できる事項に属さない場合は受理されない。
協調処理通報しない案件について知的財産局はまさに書面、電子メールまたは電話で協調処理通報しない理由を回答する。知的財産局は法律の協力を提供する必要があると認めたとき、まさに大陸の関連法令又は審査及び審理基準等に基づいて請求人にその商標権益の維持保護を利する情報を提供する。例えば、もっと援引に適する法律条文又は案例があるか否か。及びいかに事実証拠を添付提出すべきかを提供して参考とする。
知的財産局の協調処理通報しない回答は単に事実陳述の観念通知だけで、行政処分でなく、請求者が不服の場合、行政救済を提起できない。 |