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中国が産業高度化推進のための戦略行動計画を発表

【出典:国家知識産権局ウェブサイト】

中国経済の成長速度の減速、製造業コストの上昇に伴い、中国はハイテクノロジー分野の成長拡大を望んでいる。201514日に中国国務院は「知的財産権強国建設」の新たな目標を掲げ、今後15年の国家知的財産権戦略行動計画を発表した。2015年に知的財産権「十三五」計画(第135カ年計画 2016-2020年)を策定して、知的財産権と経済社会発展の密接な発展を推進し、「量的戦略、質的勝利」で、専利数の安定的成長、質の持続的向上を推進するとともに、各地域の競争力のある産業及び資源特性に応じて、専利の地域的戦略、産業的戦略及び海外戦略を進めていく。

中国は2013年に629,612件の専利を発表した。これは米国より20万件多く、1万人あたり4件の特許を保有していることになるが、中国はまだ不足であると考えている。国務院がウェブサイトで発表した最新の「知識産権局等の部署に伝達する国家知的財産戦略徹底実施に関する行動計画(2014-2020年)」通知の中に「知的財産権は益々中国の戦略資源及び競争力の重要な要素となっている。(中略)知的財産権の管理及び保護に関しては、外国企業からは中国の関連法律は自国企業寄りであるとの不満の声がある。そのため、2020年までに中国は更に知的財産権保護及び管理に関する法的環境を整備する。」と記載されている。

また、知的財産局の申局長は次のように述べている。「2015年には更に伝統産業の高度化、戦略的新興産業の成長加速化、新常態下における経済発展の成長点形成を促進する必要がある。具体的には、知的財産権の行政法執行を強化するため、知的財産権法院の設立を推進し、行政法執行と司法保護が互いに補い合う保護モデルの形成に努める。こうしてはじめて、透明な法治と市場環境が実現できる。外国に対しては更に知的財産権の国際交流協力を強化し、積極的に国際事務に参加し、知的財産権の国際ルールが互恵的で許容可能な方向に発展するよう努めて、企業の「海外進出」をサポートする。」

2013年の中国の専利の平均審査期間は、22.3ヶ月であったが、北京では現在専利出願及び商標出願の審査期間の短縮に努めており、2020年には専利が20.2ヶ月、商標が9か月に短縮されるようになることが望まれている。

 

「国家知的財産権戦略徹底実施行動計画(2014-2020年)」の要点は以下のとおりである。

 

一、主な目標

1. 知的財産権創造の顕著なレベルアップ:知的財産権の「量」を増加させ、構造の明確な合理化や、コア専利、著名ブランド、著作権関連商品及び優良植物品種を大幅に増加させて、知的財産権において優位性のある企業を育てる。

2. 知的財産権の活用効果の顕著な強化:知的財産権の活用で市場競争力を大幅に向上させ、知的財産権への投融資額の大幅な増加を図り、知的財産権の市場価値が十分現れるようにする。GDPに占める知的財産権集約型産業の割合を顕著に向上させて、知的財産権サービス業の急速な成長を図る。

3. 知的財産権保護状況の顕著な改善:保護システムを更に整備し、司法主導で保護し、行政法執行機能及び市場管理監視レベルを大幅に向上させる。繰り返し行われる権利侵害、グループによる権利侵害、悪意のある権利侵害などの行為に対しては、厳しい制裁を加える。

4. 知的財産権管理能力の顕著な強化:審査能力を先進的な国際水準にまで引き上げ、国家科学技術重要プロジェクト及び科学技術計画において知的財産権実用化のプロセス全体を管理する。重点大学や研究機関において知的財産権管理制度の構築を普及させ、企業の知的財産管理レベルを大幅に向上させる。

5. 知的財産権の基礎的な能力の全面的向上:国家知識財産権基礎的情報公共サービスプラットフォームを構築し、知的財産権人材チームの規模の充実、構造の最適化、合理的な配置、資質の向上を図る。国民の知的財産権意識を顕著に高める。

 

2014-2020知的財産権戦略実施作業の主な予測目標

    

2013年

2015年

2020年

人口1万人あたりの特許保有数(件)

4

6

14

「特許協力条約」に基づく専利出願数(万件)

2.2

3.0

7.5

国内特許の平均維持年数(年)

5.8

6.4

9.0

著作権登録数件)

84.5

90

100

コンピュータソフトウェア著作権登録数(万件)

16.4

17.2

20

全国技術市場に登録された技術の取引総額(兆元)

0.8

1.0

2.0

知的財産権担保融資の年間金額(億元)

687.5

750

1800

排他的権利のライセンス料及びロイヤリティの輸出収入(億米ドル)

13.6

20

80

知的財産権サービス業営業収益の年平均成長率(%

18

20

20

知的財産権保護社会満足度(点)

65

70

80

特許出願の平均実体審査期間(月)

22.3

21.7

20.2

商標登録出願の平均審査期間(月)

10

9

9

 

二、主な実施方針

1. 知的財産権の創造、活用を促進し、産業の転換、高度化を支援する。

(1) 知的財産権集約型産業の成長推進:産業イノベーションを導入し、キーテクノロジー分野において専利ポートフォリオを形成する。パテントプールを推進し、産業的特色を備えた全国専利産業化サービスプラットフォームを構築し、活発な専利取引市場システムを形成する。地域的特色、文化的領域を発展させるビジネスモデルイノベーションを奨励し、文化創造産業の中核的競争力を強化する。

(2) 近代的農業の発展支援:植物新品種、農業技術専利、地理的表示及び農産品商標の創造、活用を強化し、農業の近代化を促進し、農産品の知的財産権付加価値を高め、地理的表示の共同認定メカニズムを構築し、農家、発展の拠点地区、大手企業に地理的表示と農産品商標が密接に結合した農産品ビジネススタイルの普及促進をする。

(3) 近代的サービス業の発展促進:知的財産権サービス業を発展させ、同業組合の自律を強化し、銀行、証券、保険、信託などの機関が広範に知的財産権金融サービスに参与できるようサポートし、融資プラットフォームを整備し、国家科学技術成果実用化誘導基金を通して科学技術成果の実用化に対し融資してリスク補償をし、知的財産権保険の種類を増やすとともに保険市場の規範化を図る。

2. 知的財産権保護を強化し、良好な市場環境を構築する。

(1) 知的財産権行政法執行情報の公開及び審査を強化し、悪意のある権利侵害行為を社会信用評価システムの評価基準に加える。

(2) 行政法執行を強化し、複数の区域に跨ったり、大規模で社会的反響の大きい権利侵害事件を重点的に調査する。法執行への協力、権利侵害の判定相談及び迅速な調停業務を強化する。クロスボーダー電子商取引サービスに係る知的財産権の監督管理を強化し、オーディオビジュアルコンテンツ、文学、ゲームサイト、インターネット取引プラットフォームなどの著作権の監督管理を強化し、インターネット及び物品輸出による海賊版の取引を厳重に取り締る。

(3) ソフトウェアの正規版化の推進:国有企業のソフトウェア正規版化とソフトウェア資産管理、経費予算の監査監督を推進し、年次検査、評価及び責任追及を実行する。

(4) 知的財産権の刑事法執行及び司法保護の強化:取締りプロジェクトを常態化された法執行に徐々に組み入れ、罰金刑を重くし、権利侵害者の再犯の能力及び条件を奪い、民事及び行政の審判業務を強化する。

(5) 知的財産権紛争の社会的予防及び調停業務の推進:公証方法によって証拠を保管し、先使用、権利侵害などの証拠保全のための公証業務を強化し、調停メカニズムを整備する。

3. 知的財産権の管理を強化し、管理機能を高める

(1) テクノロジーイノベーションの知的財産権管理の強化:大学及び研究機関の保有する知的財産権の実用化を促進し、完了後の目標評価制度を構築し、参加機関の利益共有メカニズムの構築を試みる。

(2) 知的財産権審査の強化:専利の加速審査ルートを整備し、商標審査のグリーンチャンネル及びソフトウェア著作権の加速登録ルートを構築し、植物新品種権の審査制度を整備する。

(3) 重大経済活動における知的財産権評議の実施:重大産業計画、政府の重大な投資展開における知的財産評議について、知的財産権主管部門と産業主管部門間の意思疎通、協力を強化する。

(4) 企業に対し知的財産権管理強化を促す:知的財産権管理基準認証制度を構築し、企業に対し管理規範の徹底化を促し、知的財産権価値分析基準及び評価方法を構築し、会計基準及び資産管理に関する制度を整備する。

(5) 国防に関する知的財産権の管理を強化する:国防に関するテクノロジーの生産及び調達の各段階における知的財産管理の導入を推進し、知的財産権の権利帰属及び利益分配を規範化する。

4. 知的財産権の国際協力を拡大し、国際競争力の向上を促進する。

(1) 外国に係る知的財産権業務の強化:知的財産権を公平公正に保護し、主要国との二国間又は多国間交流を発展させ、専利審査国際業務の受け入れ能力を向上させ、国際税関間の知的財産権に関する法執行協力を促進する。

(2) 対外貿易関連の知的財産権ルールを整備:貿易エリアの各種知的財産権交渉プロセスを追跡し、公平な貿易ルールを推進し、輸入製品の権利侵害及び不正競争を調査する。

(3) 企業の海外進出を支援:主要貿易先の知的財産権関連情報を即時公開し、海外支援メカニズムを拡大させ、企業の海外権益保護連盟設立を奨励する。

 

三、基礎プロジェクト:

1. 知的財産権情報サービスプロジェクト:各種知的財産権基礎情報公共サービスプラットフォームによる情報交換を推進し、無料又は低コストで一般に公開する。

2. 知的財産権調査統計プロジェクト:知的財産権産業統計制度を構築し、知的財産権サービス業統計制度を整備し、統計範囲を明確化し、修正された国民経済計算システムに知的財産権の内容を反映させる。

3. 知的財産権人材チーム設立プロジェクト:人材育成拠点及び共同イノベーションセンターを設立し、知的財産宣伝教育モデル校を設立し、急ぎ必要とされる知的財産権ハイエンド人材を誘致し、知的財産権人材バンクを構築し、専門技術人材の評価制度を整備する。

 

四、保障措置

1. 組立、実施の強化:国家知識産権戦略実施作業部門間の合同会議が行動計画の組立、実施を担当し、地方の産権局に対する指導支援を強化する。地方の各級政府は、地方の総合計画に知的財産権戦略実施作業を組み入れる。

2. 検査、監督の強化:合同会議は戦略実施の監視、評価を強化し、重要事態は国務院に速やかに報告する。

3. 財政支援の強化:中央部門の予算に知的財産権戦略実施作業支援資金を計上し、資金投入によって、テクノロジー成果の権利化を促進する。

 

法律規範の整備:法改正作業を推進し、権利侵害を厳罰化し、反不正当競争法、知的財産権税関保護条例、植物新品種保護条例などの改正を検討し、知的財産権の濫用を防止する規範的文書を策定する。

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