中国「専利手続きのための生物材料の寄託弁法」が2015年3月1日から施行
中国の国家知識産権局は、2015年1月16日に「専利手続きのための生物材料の寄託弁法」を発表した。2015年3月1日から施行する。
「専利手続きのための生物材料の寄託方法」
第一章 総則
第一条
専利手続きのための生物材料の寄託及び試料分譲の手続を規定するため、「中華人民共和国専利法」及び「中華人民共和国専利法実施細則」(以下、専利法実施細則と称する)に基づき、本弁法を制定する。
第二条
生物材料の寄託機関は、専利手続きのための生物材料の受託及び試料を取得する権利を有する機関又は個人に対し寄託された生物材料の試料を分譲する責任を負う。
中国に常居所又は営業所のない外国人、外国企業又は外国のその他の組織が本弁法に基づいて関連事務を行う場合、法律により設立された専利代理機関に委託して手続きを行わなければならない。
第二章 生物材料の寄託
第四条
専利出願人は、専利法実施細則第二十四条に従って生物材料を提出し寄託する場合、寄託機関に当該生物材料を提出し、且つ下記事項を明記した寄託請求書を添付しなければならない。
(一)寄託を請求する生物材料は、専利手続きのためのものであり、本弁法第九条に規定された寄託期間内に当該寄託を取下げないことを保証する。
(二)専利出願人の氏名又は名称及び住所
(三)当該生物材料の培養、寄託及び生存試験に必要な条件を詳細に記載する。2種類以上の生物材料の混合培養物を寄託する場合、その組成及び各組成の存在を検出できる少なくとも1種類の方法を説明する。
(四)専利出願人が当該生物材料に付した識別番号、当該生物材料の分類名又は科学的描写。
(五)生物材料の健康又は環境に危害を及ぼす又は及ぼす可能性のある特性を明記し、又は当該生物材料がこの種の特性を有することを専利出願人は知らない旨を明記する。
第五条
寄託機関は、寄託請求された生物材料の生物学的特性について再確認する義務を負わない。専利出願人が当該生物材料の生物学的特性及び分類名について再確認検査を請求する場合には、生物材料を寄託する際に寄託機関と別途契約を結ばなければならない。
第六条
寄託機関は生物材料及び寄託請求書を受領した後、専利出願人に寄託機関の捺印と責任者の署名のある書面による受託証明書を発行しなければならない。受託証明書には、次に掲げる各事項が含まれる。
(一) 寄託機関の名称及び住所
(二) 専利出願人の氏名又は名称及び住所
(三) 生物材料を受領した日
(四) 専利出願人が付した生物材料の識別番号及び科学的描写
(五) 寄託機関が付した受託番号
第七条
次に掲げる事情のいずれかに該当する場合、寄託機関は生物材料の寄託を受けないとともに、専利出願人にその旨を通知しなければならない。
(一) 当該生物材料が、寄託機関が寄託を受け付ける生物材料の種類に属さない。
(二) 当該生物材料の性質が特殊なため、寄託機関の技術条件では寄託することができない。
(三) 寄託機関が寄託請求を受領した時に、当該生物材料を受領することができないその他の理由がある。
第八条
寄託機関は生物材料及び寄託請求を受領した後、速やかに生存試験を行うとともに、専利出願人に寄託機関の捺印及び責任者の署名のある書面による生存証明書を発行しなければならない。生存証明書には当該生物材料が生存しているか否かを記載するとともに、次に掲げる事項を記載しなければならない。
(一) 寄託機関の名称及び住所
(二) 専利出願人の氏名又は名称及び住所
(三) 生物材料を受領した日
(四) 寄託機関が付した受託番号
(五) 生存試験を行った日
寄託期間内において、専利出願人又は専利権者が随時提出した請求により、寄託機関は、当該生物材料に対し生存試験を行うとともに、寄託機関の捺印及び責任者の署名のある書面による生存証明書を発行しなければならない。
第九条
専利手続きのための生物材料の寄託期間は少なくとも30年とし、寄託機関が生物材料を受領した日から起算する。寄託機関が寄託期間満了前に、生物材料の試料分譲請求を受領した場合には、請求日からさらに少なくとも5年保存しなければならない。寄託期間内において、寄託機関は、必要な措置を講じて寄託された生物材料の生存及び汚染防止を維持しなければならない。
第十条
寄託された生物材料に係る専利出願の公布前において、寄託機関はその寄託された生物材料及び関連情報について守秘義務を負い、当該生物材料の試料及び情報を第三者に提供してはならない。
第十一条
寄託期間内において生物材料に死滅又は汚染などの状況が発生した場合、寄託機関は速やかに専利出願人又は専利権者に通知しなければならない。専利出願人又は専利権者が前記通知を受け取った日から4か月以内に元の寄託された生物材料と同一の生物材料を再寄託する場合、寄託機関は引き続き保存しなければならない。
第三章 生物材料の試料分譲
第十二条
寄託期間内において、生物材料を寄託する専利出願人又は専利権利者又はその承諾を得た全ての機関又は個人の請求により、寄託機関は当該生物材料の試料を分譲しなければならない。
専利出願権又は専利権が譲渡される場合、生物材料の試料を分譲請求する権利及び他人に生物材料の試料取得を許可する権利は一括して譲渡される。
専利出願権又は専利権が譲渡される場合、譲受人は速やかに寄託機関に当該専利出願権又は専利権の譲渡情況を通知しなければならない。
第十三条
「特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約」に加盟する特許庁にて審査中の専利出願又は既に付与された専利権が寄託機関に寄託された生物材料に係るものであり、当該特許庁がその専利手続き上の目的で寄託機関に当該生物材料の試料の分譲を請求する場合、寄託機関は分譲しなければならない。
第十四条
国家知識産権局は、請求人が専利法実施細則第二十五条に基づいて提出した請求を受領した後は、次に掲げる事項について事実確認をしなければならない。
(一)当該寄託された生物材料に係る専利出願が既に国家知識産権局に提出され、且つ当該出願の主題に当該生物材料又はその用途が含まれている。
(二)前記専利出願が既に公開され又は専利権が付与されている。
(三)請求人が既に専利法実施細則第二十五条の規定に基づき保証をしている。
国家知識産権局は当該請求及び関連文書の副本を専利出願人又は専利権者に転送し、請求人に試料を分譲することに同意するか否かについて意見を指定期間内に提出するよう要求しなければならない。専利出願人又は専利権者が請求人に試料を分譲することに同意しない場合、理由を説明し且つ必要な証拠を提出しなければならない。期間を過ぎても意見を提出しない場合は、請求人に試料を分譲することに同意したものとみなす。
国家知識産権局は、事実確認した状況及び専利出願人又は専利権者が提出した意見を総合的に考慮して、生物材料の試料の取得権を有する旨の証明書を請求人に発行するか否かを決定しなければならない。
第十五条
本弁法第十二条及び第十三条に規定された状況を除き、生物材料の試料の分譲請求をした機関又は個人が、試料分譲請求書及び国家知識産権局が本弁法第十四条に基づき発行した証明書を寄託機関に提出した場合、寄託機関は生物材料の試料を分譲しなければならない。
第十六条
寄託機関が本弁法に基づき生物材料の試料を分譲し、生物材料の試料を取得した者が生物材料の試料を使用する場合、生物安全や出入国管理などに関する法律法規の規定を遵守しなければならない。
第十七条
寄託機関は本弁法に基づいて専利出願人又は専利権者以外のその他の機関又は個人に生物材料の試料を分譲する場合、速やかに専利出願人又は専利権者に通知しなければならない。
第十八条
本弁法第九条に規定された寄託期間満了の日から1年以内に専利出願人又は専利権者は、寄託された生物材料を引取ることができ、又は寄託機関と当該生物材料の処置について協議することができる。専利出願人又は専利権者が当該期間内に引取りもせず処置も行わなかった場合は、寄託機関が当該生物材料を処置する権利を有する。
第四章 附則
第十九条
寄託機関は確定した寄託を受ける生物材料の種類及び料金基準について公布するとともに、国家知識産権局に届け出なくてはならない。
第二十条
本弁法は2015年3月1日から施行する。1985年3月12日に中華人民共和国専利局第8号公告により発布された「中国微生物菌種寄託管理委員会普通微生物センター専利手続き上の微生物寄託弁法」及び「中国培養物モデルセンター専利手続き上の微生物寄託弁法」は同時に廃止する。 |