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中国の最高人民裁判所が北京、上海、広州知的財産権法院の事件管轄に関する規定を発表

 中国の中央全面深化改革指導グループ第3回会議で「知的財産権法院の設立に関する方案」が審議、可決された。2014825日に開幕した第12期全国人民代表大会常務委員会第10回会議では、最高人民裁判所が審議を請求した「北京、上海、広州における知的財産権法院の設立に関する決定(草案)」について審議が行われた。

 2014113日、最高裁判所は「北京、上海、広州知的財産権法院の事件管轄に関する規定」(以下、「規定」)を発表した。今後、技術性、専門性、地域性の高い特許などの知的財産権事件については、さらに集中的に管轄されることになり、裁判業務の基礎が比較的確立している北京、上海、広州に知的財産権法院が設立される。「規定」は全部で8条あり、その要点は以下のとおりである。

 一、専属管轄

 北京、上海、広州の知的財産権法院は、第一審事件を専属管轄し、それには、国務院部門による特許権の付与や特許権の帰属確定等の裁定(決定)を不服とした行政事件だけでなく、知的財産権に係る行政処罰、行政強制措置などが原因で提起された一般行政事件も含まれる。

 二、上訴管轄

 知的財産法院の管轄区域内において、基層人民法院の第一審知的財産権民事事件又は行政事件の判決(裁定)に対し提起された上訴事件は、その第一審事件が基層人民法院の知的財産審判法廷で審理されたものなのか、行政審判廷で審理されたものなのかを問わず、何れも知的財産権法院が管轄する。また、知的財産権法院は、所在する市基層人民法院の第一審の著作権、商標などに係る知的財産権民事事件及び行政事件の判決(裁定)に対する上訴事件も管轄する。

 三、二審管轄

 知的財産権法院がした第一審民事事件及び行政事件の判決(裁定)に対して提起された上訴事件は、高級人民法院知的財産権審判廷と行政審判廷が各自で審理するのではなく、全て知的財産権法院の所在地の高級人民法院知的財産権審判廷が審理する。

 四、広域管轄

 北京、上海、広州の知的財産権法院は、所在省(直轄市)の特許及び植物新品種、集積回路の回路配置図設計、ノウハウなどの知的財産権民事事件及び行政事件について区域を跨いで広域的に管轄する。

 五、一審管轄

 国務院行政部門の裁定(決定)を不服として提起された第一審知的財産権行政事件は、北京知的財産権法院が統一審理する。

 全体的に言うと、「規則」により、知的財産権法院とその所在地の高級人民法院の民事事件及び行政事件の審判の「二合一(一体化)」の理念が実現し、知的財産権法院とその所在地の高級人民法院知的財産権審判廷により、知的財産権に係る全ての民事及び行政事件が統一管轄され且つ審理されることになる。

 知的財産権法院審判廷の設置に関しては、最高法院が事件の種類及び件数によって定める。知的財産権法院の院長、副院長、裁判長、裁判官及び審判委員会委員などは、何れも所在地の市人民代表大会常務委員会が任免する。

 北京、上海、広州の知的財産権法院の審級は現地の中級人民法院と同じである。知的財産権法院は設立後、所在地の市人民代表大会常務委員会に対し責任を負い且つ監督を受ける。同時に、知的財産法院の裁判業務は所在地の高級人民法院の業務指導及び審判監督を受ける。知的財産権法院は事件の審理について、同級又は上級の人民検察院の法的監督を受ける。

知的財産権裁判は専門性の高い裁判業務である。したがって、今後、裁判官定員制度の設立を試みるとともに、司法の公開措置の全面的な実行、担当裁判官責任制度の確立と、職業保障の改善などの改革を順次推し進める予定である。この度発表した「規定」は、中国の知的財産権裁判体制の大きな変革であり、重要な意味を持っている。

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