上海自由貿易区に知識産権局を設立
【出典:国家知識産権局ウェブサイト】
2014年9月26日、中国は上海自由貿易区管理委員会知識産権局を設立した。上海市知識産権合同会議秘書長、知識産権局局長の呂国強氏は、「上海自由貿易区知識産権局は、中国で初めての専利、商標、著作権など知的財産権の「三合一」モデルである。」と述べた。
呂国強局長は、さらに立法の角度から次のように説明している。中国が1982年に商標法を発布してから今日に至るまでの30数年間の間、様々な要因により中国では現行の知識産権管理及び法執行について異なる部門が責任を負っていた。一部の地区では知識産権の行政管理及び法執行ついて専利、商標、著作権の「三合一」及び専利、商標の「二合一」が試行されたことがあるが、地方主義の問題により、何れも限定的であった。この度設立された上海自由貿易区知的財産局は、規模こそ大きくないものの、完全独立の組織体系を持つ知的財産局であり、独立して知的財産権の管理業務を担う。このような専利、商標、著作権の三合一の管理モデルは、中国では初めてのことである。
このほか、ネットワーク経済の発展に伴って、知的財産権の保護は更に深刻な問題に直面している。権利侵害の手段はより巧妙化しており、証拠をつかむのが困難で、幾つかの権利侵害は往々にして同時に複数の知識産権を侵害しており、権利者は多数の法執行部門に対し多くの手続を行って救済を求めなければならず、当事者の権利主張のためのコストが増え、権利侵害の違法行為取締りにはマイナスであった。自由貿易区の知的財産局の設立は、縦割り業務を解消でき、しかも法執行の基準統一を促進でき、権威的且つ効率的な知識財産権行政法執行システムを確立できる。こうした一元管理を行う知識産権局を設立することで、企業や権利者に対して窓口が一体化された知識産権サービスの提供を行うことができる。
これについて上海高院知識産権法廷の丁文聯法廷長は「自由貿易区知識産権局の設立は、法院内部の民事、行政、刑事の3つの部門の機能統合ではなく、行政部門と法執行機関の枠を超えた結合であり、その難度と意義は、法院内部で行われる知識産権審判の「三合一」よりも大きい。」と述べた。
丁法廷長は、「自由貿易区知識産権局の設立は、第一に司法基準を統一することで、過去の民事、行政、刑事の角度から異なる結論の出た事件が統合され、法律適用のレベルが向上する。第二に、人材集約の利点がある。専利、商標、著作権の各方面の人材が集約され、全面的に知識産権が保護される。第三に、部門間の審判矛盾が解消される。」と見ている。
自由貿易区知識産権局の設立前は、自由貿易区法廷が事件を取り扱っていた。自由貿易区法廷は、2013年11月5日に設立してから2014年9月25日まで、自由貿易区に係る知識産権事件を32件受理した。それに上海市第一中級人民法院が受理した11件を加えると、計43件となり、増加率は77%に達する。類型は主に商標権侵害事件である。 |