中国の発改委がクアルコム社を市場独占と認定
中国の国家発展改革委員会(以下、「発改委」と称す)は2013年7月に告発を受け、クアルコム社に対し独占禁止法違反調査を開始した。2014年7月28日、発改委は関連証拠及び調査結果に基づき、クアルコム社の独占事実を確認し、現在、2009年独占禁止法実施以来のクアルコム社の販売資料について、処罰の根拠として更に調査を進めている。
メディアの推計によると、2013年クアルコム社のチップ及びライセンス料の収入は249億ドルに達し、そのうちの49%は中国市場によるもので、ライセンス業務の収入は総収入の30%を占め、ライセンス業務が利益の70%を占めており、チップ製品業務の2倍となっている。今回、発改委の関心を引いたのは、主にクアルコム社が中国以外のサムソン、ノキア等の会社に対するライセンス料の基準が中国の携帯電話メーカーに対するものよりも低いことであった。このため発改委は、クアルコム社が市場支配的地位を濫用し、差別的なライセンス料徴収をしたものと考えている。
実は、2005年からクアルコム社は、ノキア、エリクソン、テキサス・インスツルメンツなどの企業から市場を独占しているとしてEUにおいて提訴されていた。これらの企業はクアルコム社が徴収するライセンス料が高すぎ、競争相手の発展を阻害し、欧州連合の独占禁止法に違反しており、クアルコム社が国際組織に対する約束も果たしていないと指摘した。
調べたところ、クアルコム社は現在、世界の100社余りの通信機器メーカーとライセンス契約をし、世界の全てのブランドの電気通信機器及び家庭用電子機器にその特許が使用されており、その業務範囲は、先端技術であるチップセット、システムソフトウェア、開発ツール及び製品、特許ライセンス等を含んでいる。クアルコム社は、1994年から今に至るまで世界のメーカーに累計で75億枚以上のチップを提供した世界最大のスマートフォン用チップの供給会社である。また、クアルコム社は中国の北京、上海、深圳、西安などの都市に支社を設立している。
発改委が今回、クアルコムに対し市場独占の疑いで大規模に調査を行ったもう一つの原因として、中国移動などのモバイル通信会社が4Gサービスの提供を開始しているが、クアルコム社が4G技術分野で多くの特許を保有しており、中国が独自開発した4G規格でさえ、クアルコム社に対し特許ライセンス料を支払わせることができると自負している状況がある。これに対し、発改委はこれらの背後原因があることを否定し、告発を受けたため調査しただけであると説明している。しかし、発改委は調査において常に積極的で、2014年8月22日の公式サイト上で、クアルコム社の総裁が既に4回にわたって発改委を訪問し、独占禁止調査処理方案及び価格監督検査について独占禁止局と意見交換したことを発表した。
中国の「独占禁止法」では、罰金の範囲を違法企業の『前年度売上高の100分の1以上、100分の10以下』と規定している。発改委がこの規定基づいて実際に処罰すると、クアルコム社の罰金額は、10億ドルを超え、史上最高記録を更新することになる。
クアルコム社の独占行為に対する罰金金額についてどのような裁定を下すか、発改委は韓国に意見聴取を行った。と言うのも、韓国公正取引委員会(KFCT)が、2009年にクアルコム社に対し、「市場支配的地位の濫用」を理由として2億ドルの罰金を科したことがあるからである。但し、今回発改委は韓国とは異なる理由をもってクアルコム社を処罰する予定である。その理由は今回の問題が主としてクアルコム社が中国で徴収しているライセンス料が相対的に高いことにあり、特許ライセンス料の定価が高いということだけではない。価格自体だけの問題ではなく、差別的条項の存在もあってはじめて、独占禁止に該当するのである。
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