中国 馳名商標の認定及び保護に関する規定が可決
【出典:国家工商行政管理総局商標局】
「馳名商標の認定及び保護に関する規定」は既に国家工商行政管理総局局務会議の審議を経て可決されたので、ここに公布する。公布の日から30日後に施行される。
局長 張 茅
2014年7月3日
馳名商標の認定及び保護に関する規定
(2003年4月17日国家工商行政管理総局令第5号発布
2014年7月3日国家工商行政管理総局令第66号に基づき改正)
第一条
馳名商標の認定業務を規定し、馳名商標所有者の合法的な権益を保護するため、「中華人民共和国商標法」(以下、商標法と略称する)、「中華人民共和国商標法実施条例」(以下、実施条例と略称する)に基づき、本規定を制定する。
第二条
①馳名商標は、中国において関係する公衆に熟知された商標である。
②関係する公衆とは、商標が表示された特定の商品又は役務を利用する消費者、前記商品を生産し又は前記役務を提供するその他の経営者、及び流通経路において関係する販売者及び関係者を含む。
第三条
商標局、商標評審委員会は、当事者の請求及び審査、事件処理上の必要性に基づき、商標登録審査、商標紛争処理及び工商行政管理部門による商標法違反事件の取締り過程において、馳名商標の認定及び保護を行う責任を負う。
第四条
馳名商標の認定は、個別案件認定、受動的保護の原則に従う。
第五条
当事者が商標法第三十三条の規定に基づき異議の申立をし、且つ商標法第十三条の規定に基づき馳名商標の保護を請求するときは、商標局に対し馳名商標保護を書面で請求し且つその商標が馳名商標に該当する証拠資料を提出することができる。
第六条
当事者が商標拒絶査定復審事件及び無効宣告請求事件において、商標法第十三条の規定に基づき馳名商標の保護を請求するときは、商標評審委員会に対し馳名商標保護を書面で請求し且つその商標が馳名商標に該当する証拠資料を提出することができる。
第七条
馳名商標保護に係る商標違法事件は、市(地、州)級以上の工商行政管理部門が管轄する。当事者が工商行政管理部門に違法行為の取締りを請求し、且つ商標法第十三条の規定に基づき馳名商標の保護を請求する場合、違法行為が発生した市(地、州)級以上の工商行政管理部門に苦情を提出し、且つ馳名商標保護を書面で請求し、その商標が馳名商標に該当する証拠資料を提出することができる。
第八条
当事者は、馳名商標保護を請求するときには、信義誠実の原則に従い、且つ事実及び提出した証拠資料の真実性に対し責任を負わなければならない。
第九条
①次に掲げる資料は、商標法第十四条第一項の規定を満たす証拠資料とすることができる。
(一)関係する公衆の当該商標に対する認知度を証明する資料。
(二)当該商標の使用、登録の履歴及び範囲など、当該商標の継続使用期間を証明する資料。当該商標が未登録商標である場合には、その継続使用期間が5年を超えることを証明する資料を提出しなければならない。当該商標が登録商標である場合には、その登録期間が3年を超えること又は継続使用期間が5年を超えることを証明する資料を提出しなければならない。
(三)過去3年間の広告宣伝及び販売促進活動の方法、地域範囲、宣伝媒体の種類及び広告投入量など、当該商標の宣伝活動の継続期間、程度及び地理的範囲を証明する資料。
(四)当該商標が、中国又はその他の国家及び地域において馳名商標として保護を受けたことがあることを証明する資料。
(五)当該商標を使用する主な商品の過去3年間の売上高、市場占有率、純利益、納税額、販売地域など、当該商標が馳名であることを証明するその他の証拠資料。
②前項にいう「3年間」、「5年間」とは、被異議申立商標又は被無効宣告請求商標の登録出願日前の3年間、5年間、及び商標違法事件取締りにおける馳名商標保護請求日前の3年間、5年間をいう。
第十条
当事者が本規定第五条、第六条の規定に基づき馳名商標保護を請求した場合、商標局、商標評審委員会は、商標法第三十五条、第三十七条、第四十五条の規定に基づき期間内に速やかに処理しなければならない。
第十一条
当事者が、本規定第七条に基づき工商行政管理部門に商標違法行為の取締りを請求した場合、工商行政管理部門は、苦情資料を確認審査し、「工商行政管理機関行政処罰手続き規定」の関連規定に基づき立件するか否かを決定しなければならない。立件を決定した場合、工商行政管理部門は、当事者の提出した馳名商標保護請求及び関連証拠資料が商標法第十三条、第十四条、実施条例第三条及び本規定第九条の規定を満たしているか否かについて、初歩的な確認及び審査を行う。初歩確認審査の結果、規定を満たしている場合は、立件した日から30日以内に馳名商標の認定伺と事件資料の写しを併せて上級の工商行政管理部門に送付しなければならない。審査の結果、規定を満たしていない場合、「工商行政管理機関行政処罰手続き規定」に基づき速やかに処理しなければならない。
第十二条
省(自治区、直轄市)の工商行政管理部門は、その管轄区内の市(地、州)級の工商行政管理部門が送付した馳名商標認定関連資料が商標第十三条、第十四条、実施条例第三条及び本規定第九条の規定を満たしているか否かについて確認及び審査を行わなければならない。確認審査の結果、規定を満たしている場合は、馳名商標認定関連資料を受け取った日から30日以内に、馳名商標認定伺と事件資料の写しを併せて商標局に送付しなければならない。審査の結果、規定を満たしていない場合は、関連資料をもとの立件機関に返送し、「工商行政管理機関行政処罰手続き規定」の規定に基づき速やかに処理しなければならない。
第十三条
①商標局、商標評審委員会は、馳名商標を認定するときは、商標法第十四条第一項及び本規定第九条に挙げる各項要素を総合的に考慮しなければならない。ただし、全ての要素を満たすことを前提としない。
②商標局、商標評審委員会が馳名商標を認定するときに、地方工商行政管理部門による関連状況の確認が必要な場合、関連の地方工商行政管理部門は協力しなければならない。
第十四条
①商標局は、省(自治区、直轄市)の工商行政管理部門が提出した馳名商標認定関連資料を審査した結果、馳名商標に該当すると認定する場合、認定伺を提出した省(自治区、直轄市)の工商行政管理部門に対し回答をしなければならない。
②立件した工商行政管理部門は、商標局が認定回答をした日から60日以内に法律により処理し、且つ行政処罰決定書を所在の省(自治区、直轄市)の工商行政管理部門に送付しなければならない。省(自治区、直轄市)の工商行政管理部門は、送付された行政処罰決定書を受け取った日から30日以内に事件処理状況及び行政処罰決定書の写しを商標局に送付しなければならない。
第十五条
各級の工商行政管理部門は商標の登録及び管理業務において、馳名商標の保護を強化し、権利者及び消費者の合法的な権益を保護しなければならない。商標の違法行為が犯罪に関わる場合は、当該事件を司法機関に速やかに移送しなければならない。
第十六条
①商標登録審査、商標紛争処理及び工商行政管理部門による商標違法事件取締り過程において、当事者が商標法第十三条の規定に基づき馳名商標の保護を請求するときは、当該商標が中国において馳名商標の保護を受けたことがある記録を提供することができる。
②当事者が請求する馳名商標の保護範囲と、既に馳名商標として保護を受けている範囲とが基本的に同一であり、且つ相手方が当該商標の馳名性に対し異議がなく、又は異議があるものの、異議理由及び提供した証拠、証明が明らかにその異議を十分に裏付けるものでない場合、商標局、商標評審及び商標違法事件立件部門は、当該保護記録に基づき、関連証拠を合わせて、当該商標に馳名商標の保護を与える。
第十七条
商標違法事件において、当事者が虚偽を弄し又は虚偽の証拠資料など不正な手段により馳名商標の保護を詐取した場合、商標局は事件に係る商標に下された認定を取消し、且つ馳名商標認定伺を送付した省(自治区、直轄市)の工商行政管理部門に通知する。
第十八条
地方工商行政管理部門が、本規定第十一条、第十二条の規定に違反して馳名商標の認定に関する資料に対し確認及び審査の職責を履行しなかった場合、又は本規定第十三条第二項の規定に違反して協力せず若しくは確認の職責を履行しなかった場合、又は本規定第十四条第二項の規定に違反して期間が満了しても商標違法事件を処理せず若しくは期間が満了しても処理状況を報告しなかった場合、1級上の工商行政管理部門より通達がなされ、改善が命じられる。
第十九条
各級の工商行政管理部門は、馳名商標認定業務の健全化のための監督検査制度を構築しなければならない。
第二十条
馳名商標の認定と保護の関連業務に携わる職員が、職務を怠慢し、職権を乱用し、私情により不正を働き、違法に馳名商標認定関連手続を行い、当事者から賄賂を受け取り、不正に利益を貪った場合、関連規定に従って処理される。
第二十条
本規定は公布の日から30日後に施行される。2003年4月17日に国家工商行政管理総局が公布した「馳名商標の認定及び保護に関する規定」は同時に廃止される。
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