国家知識産権局と中国人民財産保険公司が北京で知識産権保険戦略に関する協力協定を締結
2011年から国家知識産権局は、中国財産保険股份公司（以下、財産保険公司と称す）に委託して知識産権保険業務を試験的に実施しており、段階別に専利執行保険、専利代理人職業責任保険及び専利権侵害保険の3種類専利保険商品を販売し、全国27地区において試験的に実施している。2014年6月末の時点で、専利執行保険は既に全国34地区で業務の地域化が完成し、専利執行保険のリスク保障で支払われた額は累計で9,505万元になり、企業744社の2,496件の専利に対しリスク保障及び保険サービスが提供されている。
2014年7月21日、国家知識産権局と財産保険公司は更に北京において、双方による全方位的な戦略協力関係の構築及びメカニズム連携の平常化と、知識産権保険の健全で迅速な発展をさらに促進させることを目的に「知識産権保険戦略に関する協力協定」を締結した。
国家知識産権局の賀化副局長は、「中国の知識産権の数量と品質の急速な向上及び保護の絶え間ない強化に伴い、知識産権の持つ経済価値は益々顕著になり、企業は知的産権の価値実現と効果的な運用を重視するようになってきた。特に中小企業にとっては、知識産権リスクの効果的なコントロールと分散が切実に求められている。」と述べた。
知識産権保険は、知識産権の特性と保険制度の長所を組み合わせることができ、保険を利用することで、知識財産権の運用におけるリスクを効果的に防いで、知識産権の利用によって収益を増やし、企業のイノベーション力を刺激し、市場における公正な競争環境を構築することができ、イノベーション主導型発展戦略の実施、経済発展の質の向上、産業高度化に対し積極的な促進作用を発揮する。
今回の戦略協力協定の締結は、国家知識産権局と財産保険公司とが、イノベーション主導型発展戦略及び国家知識産権戦略を徹底して実施するための重要な取組であり、双方の協力が新たな段階に入ることを意味している。
財産保険公司側は、「ここ数年来、財産保険公司は、現代の金融手段でもって科学技術イノベーションと知識産権保護を促進し、国家知識産権保護システムの健全化及び完全化に協力し、科学技術成果の転換を推進し、中国の経済発展方法の高度化を推進してきた。知識産権保険戦略に関する協力協定の締結は、双方が知識産権保護分野において、更に新たな段階に入ったことを意味している。」と述べた。
今後、財産保険公司は保険資源を利用して知識産権保護システムの構築を促進し、製品イノベーション、業務拡張及びプラットフォーム構築など各種業務を実施し、効果的に知識産権リスクを回避し、企業発展における後顧の憂いを解決する。
協定によれば、双方は今後知識産権保険業務強調促進メカニズムを構築し、知識産権保険の政策措置を整備し、良好な政策環境をつくる予定である。企業のニーズに基づいて、知識産権保険商品体系を充実させ、サービスモデルを刷新し、保険加入から賠償金支払いまでの流れを整備し、専門人員育成を加速化し、サービス品質を向上させる。また、知識産権リスクの周知啓発活動を強化し、企業の知識産権リスク意識及び総合的な管理水準を向上させ、同時に知識産権リスクコントロール及び分散メカニズムを構築し、知識産権保険の市場化運用モデルを完全なものにする。
中国は知識産権保護の取り掛かりが遅かったものの、知識産権保険制度の発展は、遥かに台湾を超えている。専利権に係るリスクを保険で負担できるなら、企業は本業の発展により集中でき、更に高い価値を創造できるだろう。海外の専利保険制度は既に20数年の歴史があるが、残念ながら台湾には現在に至るまで類似の保険がない。その原因は主に、中国政策は知識産権保険制度を支援しており、保険会社の権利侵害に対する保険の賠償金には政府の後ろ盾があり、政府も専利代理人に職業責任保険への加入を要求し且つ関連措置の整備などを行っているため、自然に保険制度が発展していくのである。一方、台湾の専利事務所は、パートナー制など非有限責任組織の形態を採っているため、専利業務を行う者は無限責任を負うことになり、これも保険会社が二の足を踏む原因の一つとなっている。また、専利保険の保険料が専利出願人に転嫁されれば、余分な負担になってしまうことも、台湾の知的財産保険制度の発展を困難にしている原因の一つとなっている。
【出典：国家知識産権局】
|