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中国《視聴覚的実演に関する北京条約》を批准

 20126月に北京で世界知的所有権機関(WIPO)による第3回視聴覚的実演の保護に関する外交会議が開かれた。会議には150余りの国と、40余りの国際機関の約700名もの代表者が出席し、《視聴覚的実演に関する北京条約》(以下、《北京条約》)が締結された。条約は計30条あり、それぞれ中国語、アラビア語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語で署名された。該条約は主に「視聴覚的固定物」の中の実演に対するもので、実演家の権利を保護するために、国際条約における視聴覚的実演分野の全面的な著作権保護の空白を埋めるものである。
 約40か国が、2012626日の会議閉幕までに条約を締結した。《北京条約》の規定によると、本条約は、30か国の締約国が批准書又は加入書を寄託してから3ヶ月後に発効する。20144月現在、中国を含む72か国のWIPO加盟国が既に《北京条約》を締結した。中国は、シリア、ボツワナに続く3か国目の該条約批准国である。過去の経験によれば、国際条約は調印から発効までおよそ6年から10年の年月がかかるが、中国は該条約の批准後、WIPOと共同で該条約の早期発効を推進している。
 中国は2014424日に開かれた第12期全人代第8回会議で、《北京条約》を承認、批准した。《北京条約》の発効後、中国の実演家は、同様に既に《北京条約》の批准国又は加入国の全面保護を得ることになる。
 中国の国家版権局は、「中国が《北京条約》を批准する意義は大きい。第一に、中国は、《北京条約》の締結地であり、該条約の批准は、外交会議の開催の成功と《北京条約》締結推進を表していることから、知的財産権方面の保護において大幅にイメージアップされる。第二に、《北京条約》が発効した後、実演家はその「視聴覚的固定物」における権利と十分な保証を得ることができる。第三に、実演業界は、ラジオ、テレビ、映画、舞台など種類が幅広く、《北京条約》により多くの人が文化産業に投入される。特に演出産業において、関連産業の発展と、国民の経済水準の向上と、更に多くの人が豊富な精神文化作品を享受できることが予想される。第四に、《北京条約》では「民間伝承芸術を表現する」実演家が保護範囲に加えられたことで、5千年の歴史を持つ中国にとって、民間伝承芸術の発展促進、民間伝承芸術の掘り起しと普及、中国の伝統文化の「海外展開」にプラスとなる。第五に、該条約には「北京」の文字が冠されていることから、北京の国際化都市建設推進に有益である。」と発表した。
 中国の《北京条約》批准は、《中華人民共和国著作権法》(以下、《著作権法》)の改正に影響を与えると学者は見ている。かつて実演家の保護に関する国際条約はいずれも音の固定物における実演についてのみ保護し、視聴覚的固定物における実演については保護していなかった。この度の《北京条約》は初めて視聴覚的固定物における実演にまで実演家の保護を拡大し、実演家の視聴覚的固定物における実演について氏名表示権、同一性保持権、複製権、譲渡権及び提供権(中国では「情報ネットワークによる送信権」と称す)を有することとなった。締約国は、状況に応じて視聴覚的固定物における実演について貸与権、放送及びその他の方法で伝達する権利を規定することができ、それにより実演家が全面的に保護される。
 ただし、《著作権法》(改正草案第二稿)の実演家に対する定義は、《北京条約》と異なり、《北京条約》の実演家の定義が「民間伝承芸術を表現する」実演家にまで拡大されたため、その結果《著作権法》は《北京条約》に規定される「貸与権」に対応できなくなった。また、《北京条約》に規定された「放送権」と「二次使用料を受ける権利」については、中国は国情が異なることから声明を保留している。これらの規定から見て、中国は《北京条約》を批准した後、《著作権法》の関連規定について再度検討することになるだろう。
 
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