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中国大陸の「2013年全国専利事業発展戦略推進計画」

(本文は中国大陸「知識産権報」より全文転載したものである)

この計画は「国家知的財産権戦略綱要」の実施を更に深化させ、「全国専利事業発展戦略(20112020年)」の実践における順次推進及び専利が更に有効的に経済・社会の発展へ融合するよう促進するために制定された。

2013年の専利戦略推進活動に関する基本的な方針は、国のコアコンピタンスの発展及び向上を目標とし、専利制度及び専利資源の運用を手段とし、2012年の専利戦略推進活動における段階的な進展を礎として「全面的推進、重点注目、段階的に実施、実施強化」の四原則を以って専利制度の革新に尽力する。専利制度の運用に関する保障システムを構築することで経済及び社会の発展をサポートしながら、小康社会の全面的実現へ向け強力に支援することを目標とする。

2013年の専利戦略推進活動は「専利制度の革新」、「専利制度の運用に関する保障システムの構築」及び「専利による経済及び社会の発展に対するサポート」の三つの主任務の実施を中心に、具体的な任務を15項及び活動措置を42項定めた。

一、主任務「専利制度の革新」について

(一)専利関連法律法規の整備

活動目標:経済及び社会の発展において専利に対する要求に応じ、専利関連法律法規の改正及び整備を絶えず進める。

活動措置:

1.専利の保護強化及び法律執行力向上のため、積極的に専利法の改正予定案を推進する。

2.「職務発明条例」の立法進度を積極的に加速化させ、職務発明者及び事業者の創作欲を十分に引き出して、職務発明及びその知的財産権の運用並びに実施を推奨する。

3.「専利代理条例」の改正を積極的に推進し、専利代理業界の健全かつ迅速な発展を促進する。

4.地方政府が地域事情に応じた地方法規の立法化を積極的に推進するように指導する。まだ専利条例のない地方は専利条例がなるべく早く地域の法規立法計画に列せられるよう推進し、専利条例がすでに定められた地方は専利条例の実施状況を速やかに評価し、関連法律法規の変化及び現地の実際需要に合わせて適時に改正及び整備作業を基礎から順次行い、必要があれば専利条例の対応措置となる政府規程の基礎からの制定作業をも進める。

(二)専利関連対応措置の完備

活動目標:専利関連法政策と国の経済、科学技術、貿易等に関する法政策とのつながりを更に推進し、関連対応措置の制定、修正及び廃止を行う。

活動措置:

5.「国家投資科学研究プロジェクト管理弁法」、「職務発明者労働移動時発生利益共有弁法」の制定のほか、中小企業の発明創造及び実施化への奨励・サポートに関する指導意見の研究並びに弁法制定を行う。

6.「ハイテクノロジー企業評定」において独占的実施許諾及び専利権譲渡に関する規定の完備化を推進する。

7.各省知識産権局が地域事情を参酌し、専利に関わる関連対応措置システムの構築を推進し、政策を定めると共に政策を確実に施行する。

(三)専利制度の制定に係る科学的な方針決定制度の整備

活動目標:専利制度の基本法則及び関連のある国際ルールを深く研究し、完備な体制及び規範を以って、専利関連政策の策定、執行及び調整の合理性、有効性及び適時性を保障する。

活動措置:

8.専利の重要な政策決定の事前調査・研究制度を確立し、理論研究から実証研究を経て初めて政策を制定するような決定体制を漸次的に形成する。

9.政策研究プロジェクトの企画及び管理を強化する。主に年間及び長期的な専利政策の研究計画を立て、専利政策に対する研究構想と主な内容に関するマクロ的な基本枠組みを予め定める。また、マクロ政策研究プロジェクトの統合及び管理を強化し、研究が重複しないよう要点を踏まえた研究を行う。

10.専利関連法律法規及び重要規程・政策の評価作業を実施する。重要な法律法規については推進すると共に立法機関に合わせ実施後の35年間に実施状況を全面的に評価し、重要部門規程は実施後の35年間以内の実施状況を全面的に評価する。また重要政策については公告実施後の35年間、政策の制定部門または執行部門により実施状況を全面的に評価する。

11.専利政策研究チームを持続的に発展させる。まずは国家知識産権局発展研究センターの研究力を更に充実させ、他の政府部門・委員会及び大学や科学研究院、研究所との研究提携を強化する。また、条件を備えている地方政府が知的財産権研究機構を設立したり、または地方大学や研究院、研究所と長期提携関係を確立するように導くこと。すでに設立済の研究機構に対しては更に研究要員を充実させ、国レベルから地方レベルへと、専門度と研究レベルが高い学際的な専利政策研究チームを漸次形成する。

二、主任務「専利制度の運用に関する保障システムの構築」について

(四)専利の質保障システムの構築

活動目標:審査効率を向上させ、審査の質を改善すると共に専利の質を高める。

活動措置:

12.全国的な専利の質促進政策を制定し、国家の専利に対する奨励方向を更に精確にすることで専利の質の向上を促す。

13.正常でない専利(訳注:中国語原文では「非正常専利」で、既登録専利と同じ内容で出願された専利や同じ内容で複数出願された専利を指す。)に対する管理弁法を制定し、処理方法、処理の流れ及び正常でない専利の処理における各級知的財産権管理部門の職責を明確化するとともに、正常でない専利の出願人信用記録制度を確立する。

14.専利審査の質を継続的に改善し、特許、意匠及び実用新案を含む三種専利権の査定の質を高め、専利審査期間の短縮及び審査基準執行の一致性を保証する。審査官と出願人とのコミュニケーション体制をいっそう完備化させる。

(五)専利制度の運用に関する保障システムを構築

活動目標:専利の新しい共同実施パターンを探求して確立し、多彩な専利投融資サービスシステムの確立を推進し、専利の実施推奨を加速させる。

活動措置:

15.企業主導下の専利運用システムの構築を更に強化し、「政産学研金介用」(訳注:府官庁、業界、校や究機構がお互いの資源を活用しながら協力しあって成果を出すとともに、融界の資本支援をして成果を実化させることの略)のような高度統合した専利共同運用パターンの組織を確立させ、専利保有量の増加と実際使用を推進する。

16.多彩な専利投融資サービスシステムの確立を推進する。このため、知的財産権の担保・融資活動の深化及び発展を行い、専利価値分析指標システムの運用を推進する。また、約20個の知的財産権投融資サービスプラットフォームを構築することでサービス体制を強化する。なお、専利保険の試行範囲を順次拡大し、専利保険の種類を完備し専利保険市場の育成及びそれに対する規範の完成を加速させる。このほか、専門チームを組織して大型の重要展示会に参入し専利投融資サービスを提供する。

(六)専利法の行政上における法執行・保護システムの構築

活動目標:専利法に関する主務官庁の法執行制度、メカニズム及び能力養成を更に強化し、迅速摘発、簡単手続という行政上における法執行の長所をアピールすることで、権利に対する保護力を増強させ、良好な市場環境を作り上げる。

活動措置:

17.「専利法の行政上法執行能力向上プロジェクト」を実施することで法執行能力を大幅に強化する。また、「526工程」と名付けられた法執行強化プロジェクトの一環として、執行チーム、専利権侵害判断相談センター及び専利の行政上法執行作業調整センターの設立を推進する。また、省級知識産権局の実際執行者及び一部の市級知識産権局の実際執行者が交代制で研修に参加することより、専利法執行要員の能力を高める。この他、「専利法の行政上法執行能力の強化に関する決定」の実施に関する具体意見を作成して、法執行の時の目標責任制度を確立し、専利法の行政上法執行能力の向上を推進並びに保障する。

18.知的財産権即時保護センターの設立を推進する。重点地域や重点産業を中心とする知的財産権迅速保護センターを設立することで迅速な権利保護体制を確立し、企業・産業に効率的なサービスを提供する。また、業界に健全的な知的財産権保護自主規制体制を確立させ、業界協会が知的財産権保護活動を進められるようにサポートする。

19.法執行・権利保護の作業遂行状況について評価を行い、地方の法執行・権利保護活動の方向に対する指導を強化する。また、各省において各地域と各市における活動の評価実施を推進し、全方位的な専利法の行政上法執行制度と体制の構築を推進する。

(七)専利行政管理システムの構築

活動目標:全国知的財産に関する一連の機構の更なる健全化、人員配置の更なる充実化、及び作業機能の強化を推進する。

活動措置:

20.省級、市(地方)級の知的財産権管理機構の設立を推奨し、経済が発達している地域の県級知的財産権機構の初歩的な健全化を図る。また、知的財産体制に属する事業単位や管轄下にある社会団体を発展させる。

21.専利に対する管理機能を強化し、知的財産権に対するマクロ的な調整・コントロール、専利の実施と産業上の活用、及び知的財産権の価値評価など諸機能を発展及び強化する。

(八)専利サービスシステムの構築

活動目標:全国専利情報公共サービスシステムの構築及び専利代理業界の発展を加速させ、国家の経済建設及び一般公衆の需要に対応できるようにする。

活動措置:

22.全国専利情報公共サービスシステム構築計画の実現を加速させるほか、地域的専利情報サービスセンターの設立を推進する。また、全国の専利情報の伝達に用いられるマクロ的な管理及び業務指導システムを開発し、国家級専利情報伝達利用基地プロジェクトを継続的に推進する。「地方専利情報サービス能力向上プロジェクト」及び「全国専利情報活動指導プロジェクト」を開始し、積極的に専利情報の伝達・利用・相談協力システムを構築する。この他、「企業専利情報流通促進プロジェクト」を実施すると共に、「専利競争情報サポートプロジェクト」を始動させる。重点産業の専利情報活用による優良業界協会育成プロジェクトを継続的に実施する。

23.専利代理業界の発展を加速させる。まずは専利代理業界発展の中長期企画に関する研究・策定作業を開始して、専利代理管理制度の整備を強化する。引き続き専利代理人資格試験制度を完備すると共に、専利代理業界のサービス標準化作業に関する研究をする。また、優良専利代理人評価制度の設計に関する研究を行うほか、「専利代理業発展促進プロジェクト」の実施規模を拡大させ、試行作業を逐次的かつ加速的に推進する。このほか、専利代理人資格試験前及び実務技能の養成活動体制を完備し、2000名の専利代理人を養成する。

(九)専利人材体制の構築

活動目標:専利事業の発展促進のために、十分な人数、最適の人員構成、適正な配置及び素養の高い専利人材チームの加速育成で人的資源において強力な保障及びサポートを与える。

活動措置:

24.知的財産権の人材養成計画の実践を推進すると共に、研究を経て知的財産権の人材に関する政策・措置を立案する。専利代理のハイエンド人材育成案を定め、専利代理業界のハイレベルな人材チームを組織する。また、企業の知的財産権人材評価システムの構築を推進するほか、企業の知的財産権人材チームの設立に更に力を入れる。

25.知的財産権人材関連プロジェクト及び計画の実施を通して知的財産権人材システムの構築を強化する。また、「百千万知的財産権人材プロジェクト」、「国家知的財産権教育拠点建設プロジェクト」、「知的財産権人材情報システム計画」などの人材養成及び知的財産権のリーダー的人材等の育成計画を実施し、縦でリーダー的人材を始め、百名のハイエンド人材、千名の中堅人材及び万名の専門人材の四層を構成し、横で行政管理及び法執行、専利審査、サービス業、企業、大学及び科学研究院所の五種類の知的財産権人材に分け、合理的な分類及び多様な分野をカバーする知的財産権人材チーム体制を構築すること。

三、主任務「専利による経済及び社会の発展に対するサポート」について

(十)専利で企業の転換を支援

活動目標:「企業知的財産権管理規範」の公布を以って知的財産権優良企業育成プロジェクトを展開し、かつ35年間実施することにより、中央企業及び省・市のリーディングカンパニーで構成される1000社の知的財産権優良企業及び5000社の知的財産権適格企業が数万社の企業の知的財産権能力の向上を導くような形にすること。

活動措置:

26.「企業知的財産権管理規範」の公布及び実施を行う。全国各省の知識産権局の相互協力の元で「企業知的財産権管理基準」の推奨を行い、各省の推奨活動の実態に合わせて15省を重点として選出して支援を行い、重点支援省ごとに少くとも30社の知的財産権適格企業を育成する。

27.「知的財産権優良企業育成プロジェクト」を始める。全国で統一的に適用される「知的財産権(専利)優良企業認定弁法」を制定し、知的財産権優良企業の育成に尽力する。なお重点となる省を10省選び出し、知的財産権優良企業を50社育成する。

28.大学及び科学研究機構の知的財産権管理システム研究を開始し、大学と科学研究機構の知的財産権管理基準の立案及び作成を推進する。

(十一)専利で産業のレベルアップを牽引

活動目標:専利の産業における活用を推進し、重要経済・科学技術活動の知的財産権評価作業を進め、産業パテントプール促進計画の実施で国家重点産業及び戦略的新興産業の発展を促進する。

活動措置:

29. 専利の産業上の活用を推進する。専利分析と産業活用に関する決定の深い融合のほか、専利の活用を以って産業運営効果に対する高度なサポート体制を確立し、専利の活用で産業のレベルアップ及び更なる発展を促進する新たなモデルを探求及び形成する。

30.戦略的新興産業の育成と発展を推し進める。国務院弁公庁による「戦略的新興産業の知的財産権活動強化に関する若干意見」を徹底的に実行し、完備な推進体制の確立と共に推進に関する段階的要点をまとめた上、地方における関連活動の実施を指導する。また、戦略的新興産業の知的財産権クラスター管理の試行地点を選ぶ。

31.重要な経済科学技術活動に対する知的財産権評価審議作業を継続的に推進する。また、試行範囲及び分野を拡大し、重要経済科学技術活動の知的財産権評価審議作業の試行作業を更に推進する。

32.「産業パテントプール促進計画」を実施する。現時点においてわが国の産業発展のニーズに適した約20の産業パテントプールを指導して確立させ、プールごとに10件以上の必須専利を擁するようにする。

(十二)専利で国際貿易をサポート

活動目標:国際的専利規則の締結により生じた影響力を更に向上させ、重点的国家知的財産権環境報告を公布することで、わが国の企業の国際貿易の発展をサポートする。

活動措置:

33.世界知的所有権機関など知的財産権に係る国際組織との交流及び提携を強化し、多国間に係る知的財産権国際事務において積極的な役割を果たし、国際社会での発言権を高める。また、積極的に国際間の協力活動に参与し、専利業務のチャレンジに対応する。

34.渉外知的財産権事務の統合調整を強化し、地方の渉外知的財産権活動の指導を強化し、渉外専利情報の交流体制を完備する。この他、渉外専利事務における全面的、戦略的な政策研究を強化し、世界中知的財産権制度の発展趨勢に応じ、適時専利に関する国際協力政策を調整する。

35.海外の知的財産権環境研究を継続的に進行させ、すでに三回にわたって発表された海外知的財産権環境報告を更新して完備する共に、「南アフリカの知的財産権環境研究」及び「世界主要国家(地域)税関による知的財産権保護環境研究」の成果を公布し、バイオ・医薬分野及び主な自由貿易地域に関する知的財産権環境の研究を組織的に開始する。

(十三)専利で重点地域の発展を支援

活動目標:国家地域発展の総体的戦略の実行を徹底させ、重点地域での専利事業の発展に対するサポートを強化することで、養成に力を入れ専利優良地域を形成し、周辺地域との共同発展を促す。

活動措置:

36.省と部会の協議メカニズムにより、重点とされる省の知的財産権活動に対する指導を強化する。また、省と部会双方面の資源を併せてサポートを強化し、分類指導を要として専利制度を活用し、地域の経済及び社会発展のニーズを満たことを目標として協力に関する協議を行う。

37.試行モデル活動で都市知的財産権プロジェクトに対する指導を強化する。また、国家知的財産権モデル都市の知的財産権総合能力が全面的に向上するよう推進し、モデル都市としての影響力及び先導的役割を十分に発揮させる。なお試行都市を分類して指導を行い、国家知的財産権試行都市の特色及び優位性を発揮させ、特定の活動テーマを主題として重点的に探求及び革新を推奨する。

38.「強県プロジェクト」を通じて県内の知的財産権活動への指導を強化する。また、「強県プロジェクト試行モデル県評定管理弁法」を定め、強県プロジェクト試行県の規則制度の確立、宣伝教育への尽力、企業に対するサポート及び現状打破を推進のポイントとし、強県プロジェクトモデル県の戦略上の牽引力、運用力、産業に対するサポート力及び全面的発展力により、県内経済社会の発展をサポートするという知的財産権活動の役割を十分に発揮させる。

(十四)知的財産権代理業務を発展させる

活動目標:知的財産権代理業務の発展促進政策及び措置を制定し、知的財産権代理機構の支援及び育成を行うことで、知的財産権代理業務の集約的発展に導き、社会全体に対しハイレベルな知的財産権代理サービスを提供する。

活動措置:

39.健全な知的財産権代理業務発展の統計、監視及び情報公開システムを確立する。また、知的財産権代理業務標準化システムの構築の推進のほか、地方での知的財産権代理ユニオン試行活動をサポートする。この他、知的財産権代理業務の新しいモデルの牽引及び育成を行い、未発達地域の知的財産権代理能力発展プロジェクトを実施する。

40. 知的財産権代理業のクラスター発展及び代理機構の試行モデル活動を実施する。更に国家知的財産権代理業のクラスター発展試験エリアを建設すると共に、新規試験エリアの増設を以って育成及び指導を行う。また、知的財産権代理モデル機構の創設作業を継続的に展開するほか、知的財産権代理機構自体のブランドイメージの構築を推進し、国際的な規模を有する専門的専利代理機構の支援及び育成を行う。

(十五)知的財産権文化を創造する

活動目標:知的財産権文化の創造強化に関する若干意見を作成し、知的財産権教育の実施及び展開を推進して社会における知財意識を向上させる。

活動措置:

41. 知的財産権文化の創造強化に関する若干意見を作成し、知識及びイノベーションを尊重し、信用と法律を遵守するというムードを積極的に作り出す。

42.大学において知的財産権関連課程を開設し、知的財産権教育を大学生の素養教育システムに組み込むよう推進する。また、小・中・高等学校の教育課程に知的財産権関連内容を組み込むよう推進し、3から5箇所の小・中・高等学校に知的財産権宣伝教育試行基地を創設する計画を立てる。

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