中国 新商標法改正要点
中国は《商標法》第三次改正案について、2011年10月8日を期限として、社会各界に意見を求めた。この度の改正主旨は三方面の問題を解決することにある。第一は、商標権の帰属確認手続きが煩雑である問題と、商標出願登録の審査時間が長すぎる問題を解決する。第二は、異議申立て手続きが濫用される問題を解決する。第三は、商標権侵害行為に対する処罰が不十分である問題を解決する。
改正要点の要旨は以下の通り。
一、「音、色、デジタル」商標の追加
新法は商標登録のタイプについて、国際ルールに合致するよう、「音」商標の出願を許可する。如何なる自然人、法人又はその他組織の商品と他人の商品とを区別できる、文字、図形、記号、デジタル、立体標識、色及び音、またその要素の結合を含む標識はいずれも商標として登録出願できる。
二、商標権侵害防止を厳格化
二つに分けて説明する。一つは違法及び権利侵害行為の発生を予防する。現行の商標法の規定では、何人も商標の異議申し立てができていたが、今回の改正では異議申し立ての主体を「先に出願登録した権利人又は利害関係人」に限定し、異議申し立て手続きの濫用を防ぐ。
改正案はまた、2つの規定を追加した。「出願人は当該他人と契約、業務上の取引、地縁又はその他関係により当該他人の商標の存在を知っていた場合には、登録することができない。」と「登録出願した商標が非同一又は非類似の商品において、比較的著名且つ一定の影響力を持つ他人の登録商標を複製・模倣したもので、容易に混同を生じさせるものは、登録することができない。」である。
改正案は、「近似商標」の判断は一般の人の認識度を基準とし、これらはいくつかの比較的顕著な先取り登録行為と商標権侵害行為を防止できることを強調する。
二つ目は違法、権利侵害行為の取り締まりを強化することである。現行の商標法は商標権侵害人に対する処罰が比較的軽かったが、改正案第64条は「5年以内に2回以上の権利侵害を行った場合、罰を重くする。」という規定を追加し、第67条は法定賠償金額の上限を、現行の「50万元以下」から「100万元以下」に引き上げる。これらの改正は商標権人の合法権益の保護に役立つ。
三、商標の専用権をさらに全面的に保護
現行法では、ある違法権利侵害行為については民法及び権利侵害責任法を引用して法的根拠とする必要があった。改正案では関連部門が責任追及を行う時、既にある法律において、直接法的根拠を探すことが出来る。例えば、故意の権利侵害行為で、倉庫、運輸などの条件を提供した場合も権利侵害に当たる。
このほか、商標登録人の行為に関する関連規定もさらに明確になった。例えば、第44条から46条までそれぞれ次のように「商標登録人の名義又は住所を変更する場合、商標登録人はその全ての登録商標も併せて変更しなければならない。」、「登録商標を移転する場合、商標登録人は同一種又は類似の商品に登録した同一又は近似の商標についても併せて移転しなければならない。」、「登録商標の専用権を移転する場合、登録商標の専用権人は同一種又は類似の商品において登録の同一又は近似の商標を併せて移転しなければならない。」と規定する。「併せて」を明確に要求することで、商標の専用権と商標使用の混乱を避けることができ、管理がしやすくなる。 |