宝島眼鏡が中国大陸で「馳名商標」と認定

　認定基準並びに保護の強度などから、中国大陸の商標に対する保護は「中国馳名商標」、「中国著名商標」、「中国知名品牌（ブランド）」、「中華老字号（老舗）」及び「中国名牌（有名ブランド）」の五種類に分けられる。台湾企業は中国大陸で約15万件の商標登録出願をし、約10万件も登録したが、馳名商標と認定されている商標はわずか12件しかない。ここからも中国大陸の馳名商標に対する認定の難しさを実感できる。

　中国大陸で馳名商標に認定された12商標は金門高粱酒、旺旺（ホテル運営、観光業などに進出している大手食品メーカー）、自然美（大手化粧品メーカー）、名典（台湾資本の連鎖コーヒーショップ）、宏碁（Acer）、BenQ、哥弟（台湾資本の大手服飾メーカー）、統一（コンビニ事業などに進出している大手食品メーカー）、捷安特（GIANT、大手自転車メーカー）、正新（大手タイヤメーカー）、慈済（有名宗教法人）及び宝島眼鏡である。そのうち、慈済は中国大陸で馳名商標に認定された最初の非営利法人である。

　台湾の「事業リーダーブランド企業連盟」の副召集者である頼文平博士の話によると、中国大陸の馳名商標は認定基準が非常に厳しい。台湾の著名商標は大陸でも必ずしも有名ではない。例えば大同社（台湾の大手電化製品メーカー）は台湾において高い知名度を有するが、大陸では「馳名商標」と認定されない。

　中国大陸の「国家工商行政管理総局の馳名商標認定に関する作業細則」では馳名商標の認定要素を下記の通りに定めた。（一）当該商標の関連公衆に知られている程度；（二）当該商標の持続使用時間；（三）当該商標の宣伝工作の持続時間、程度及び地理的範囲；（四）当該商標が馳名商標として保護された記録；（五）当該商標が馳名と認められるその他の要素。

　中国大陸の馳名商標に認定される具体的条件は上記要素から判明することができないが、実務上の統計によれば、馳名商標の商品販売範囲は10ヶ省・市以上でなければならない。そして宝島眼鏡も5年の努力の末に、ようやく馳名商標に認定された。

馳名商標はその高い付加価値により侵害されやすいが、馳名商標の認定の難しさにより、中国大陸の商標法においては馳名商標に対し最高程度の保護を与えている。企業の商標が馳名商標に認定されると、他の同一や類似商標を排除することができる。

　なお馳名商標は世界的に通用されている概念で、世界中に保護されていることも重点である。中国大陸の主務官庁に認定・保護されている馳名商標が世界知的所有権機関若しくは世界貿易機関のいかなる加盟国において侵害され、かつ馳名商標の商標権者が保護の請求を提出するとき、当国の主務官庁はパリ条約並びにTRIPS協定に基づき、当該商標の知名度を斟酌する際には中国で馳名商標として保護を受けた記録をも考えいれなければならない。

　但し馳名商標の原則である「各案に認定、受動的に保護」にも注意しなければならない。馳名商標に認定されたとしても永久的に保護されるわけではない。「馳名商標認定に関する作業細則」に合致するために、企業は間断なく各種の広告宣伝品における使用、産品の販促及び使用記録の保存に力を入れなければならない。しかも今後再び商標に関する争議が発生したとき、各案の状況に基づき再認定する必要がある。

　この数年間、台湾企業が中国大陸で事業展開していくときの、最大の問題は自社商標が既に無断登録されてしまったことである。商標が中国馳名商標に認定されれば、台湾商の大陸における発展の大きな保護になる上、中国大陸を経由して自社ブランドを世界に広めることもできる。