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著作権法一部条文改正草案並びに
第98条改正草案を 行政院院会(閣議)で可決

 台湾行政院は2016811日第3510回院会(閣議)で著作権法一部条文並びに第98条の改正草案を可決した。今回著作権法第98条改正草案の提出は、主に「中華民国刑法」及び「中華民国刑法施行法」の一部条文改正はすでに201671日から施行され、施行日以前に制定されたその他の法律で没収、追徴、追加納付、弁償に関する規定は、二度と適用されないためである。但し、現行著作権法第98条但し書きに定める「光ディスク公訴罪」を犯した場合に没収できる物(例えば海賊版光ディスク又は焼き付け器)はもし刑法の新しい規定(第38条)を適用した場合、それらが犯罪行為者の所有に属さないとき、法執行機関はそれらが正当な理由ないことで提供又は取得されたことを証明した場合、初めて裁判所に没収を申し立てることができる。これで法執行機関の挙証及び認定手続の負担が増加している。恐らく挙証の困難によって海賊版物品が再び市場に流通し、引き続き著作財産権を侵害する虞があるため、「光ディスク公訴罪」を犯した場合に没収できる物に対し、著作権法は特に職権に基づいて没収できると定め、保護を強化し、刑法の適用を排除したものである。


このほかわが国の法制度を「環太平洋連携協定(
Trans Pacific Partnership Agreement, TPP)」に適応するため、著作権法の一部条文の改正草案を提出し、将来立法手続きを完成後、我が国の知的財産の環境と国際調和を加速させ、我が国産業の長期的競争力を向上し、我が国のTPP第二ラウンドの交渉への推進についてもポジティブな効果がある。改正草案の要点は下記4点に要約される。


1.
営利を意図し、または営業の使用としてコピー防止措置の保護規定に違反するものに対し刑事責任を科する。例えば、企業は合法的ソフトを購入せずに、非合法的ソフトを備え付けてシリアル番号を入力した後に使用する行為、刑事責任を負う。また、電子的権利管理情報に関する規定に違反する行為は、刑事責任を負い、その構成要件をコピー防止措置の保護規定と一致するよう改正した。(改正条文第96条の1


2.
著作権侵害の非親告罪の範囲を調整する。(改正条文第91条、第91条の1及び第100条)

1)改正後著作権法第91条第2項(販売の意図又は貸与の目的としてデジタル形式への複製行為)、第91条の12項(営利を目的としてデジタル形式海賊版を頒布する行為)に違反する罪は非親告罪に改正する。又デジタル科学技術の発展によってネットワーク海賊版の急増に対応するため、著作権法第92条公開伝送権侵害罪をも非親告罪に改正する。権利者の訴追を待たず、法執行員が自発的に権利侵害事件を捜査することが可能で、デジタル環境における著作権侵害行為を効率的に阻止することを期待するものである。

2)重大でない侵害行為が国家公権力に訴追される虞れを軽減すると同時に権利者の市場利益を保護するため、非親告罪が適用される利用形態は著作全体の原作のままの利用(例えば許諾を得ずに音楽、小説又は映画などの全部コンテンツをネットワークにアップロードすること)であり、かつ、侵害対象は著作財産権者が有償で提供する著作物であり、かつ権利者に新台湾ドル100万元以上の損害をもたらした場合に限られる。

3)非親告罪の適用条件に達していない著作権侵害行為でもやはり親告罪を適用することがある。知財局としては零れ幸いの心理のない、違法行為を行わないようアピール。


3.
衛星及びケーブル信号業者の合法的権益を保護するため、不法の視聴行為について信号提供者に経済投資の回収不能をもたらし、合法的視聴者が不法視聴者の費用の支払いを肩代わりするという不公平な状況をもたらしていることから、不法視聴行為を食い止めるため、暗号化された衛星信号については民事・刑事責任を、ケーブル信号については民事責任を負う規定を増設。(改正条文第104条の1~第104条の4


4.
改正草案の施行日を明文化(改正条文第117条)

1)上記コピー防止措置の保護規定、暗号化された衛星信号及びケーブル信号の保護等改正規定は、著作財産権の保護及び関連産業の発展に寄与することから、立法院で三読通過し、総統公布後に施行する。

2)非親告罪の範囲調整は社会に対する衝撃が比較的大きいため、将来我が国のTPP加入のスケジュールに合わせ、立法院の三読通過後に、行政院が改正条文の施行日を指定する。

 

ついでに、著作権保護期間の70年に延長する部分については、現在我が国の法制度は50年で、TPPとは依然落差があるがTPPの第一次締約国の一部が著作権保護期間の70年への延長について2年~8年の過渡期が享有できることを考慮した。著作権保護期間の我が国文化産業に対する影響と調和を考慮し、将来TPP交渉の過程においてこの議題について過渡期を勝ち取るよう、また、合わせて関連する法改正を行う必要があることから、この議題を今回の改正草案に盛り込まないこととした。

 

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