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営業秘密法の保護を強めるため、知的財産局は改正草案を見直し中

ここ数年台湾の産業界は厳重な営業秘密の侵害事件が起きており、例えばMedia Tek Inc.を離れた従業員が営業秘密資料を盛り込んだファイルを新しく就職する会社に持参してNT$100億の損失を蒙った。また、TSMCの前任の研究開発部門のチーフが韓国のSamsung Electronics社にスカウトされて営業秘密に関わっているため、TSMCがやむを得ずに裁判所に「仮の地位を定める仮処分」を申し立てた。

これら一連に発生した営業秘密漏洩事件が産業の重要な研究開発成果を酷く侵害しているにも拘わらず、現行の営業秘密法第12条第1項に僅かに民事賠償責任を定めている。仮令行為が背信、秘密妨害にかかわっている場合に、刑法第317条(業務上知りまたは保持している商工業の秘密を漏洩する罪)、第318条(職務上知りまたは保持している商工業の秘密を漏洩する罪)及び第359条(他人のコンピュータまたは関連設備の電磁記録を変更する罪)を引用することができるが、しかし、刑法第317条及び第318条の刑罰はそれぞれ一年以下及び2年以下の懲役に止まり、刑法第359条の刑罰は5年以下の懲役に処することができるとは言え、営業秘密違反の構成要件においては成立が難しい。言い換えると、これらの条文規定は、営業秘密侵害の違法行為を食い止めることができない。

従って、知的財産局は昨今営業秘密の漏洩に対する処罰に焦点を絞って見直しをしている結果、次の点に新増又は改正を行う方針。①不法手段(例えば窃盗、詐欺など)で営業秘密を取得、使用又は漏洩。②従業員が営業秘密について許諾を得ずに再生、外部へ持ち出し、若しくは削除・焼却すべくと告知されたあとにも拘わらず、依然それを隠匿し、又は削除・焼却しない。③従業員が秘密保持義務に違反して営業秘密を使用し、漏洩する。④第三者が悪意に営業秘密を取得、使用又は漏洩する行為に対しては刑事罰を増設。営業秘密を外国へ持ち出して使用する意図を持つものに対して処罰を重くすると共に罰金を高める。それから、違法行為の構成要件を明確に定め、法人に対する両罰規定を増設等。

現在まで知的財産局の見直された営業秘密法改正草案を刑事責任と民事責任の二つの部分に大別すると、刑事責任を増設する部分には、現行刑法第317条など関連規定の処罰を重くし、5年以下の懲役に高め、罰金額はNT$50,000から50,000,000まで大幅に高め、営業秘密を外国へ持ち出して使用する意図を持つものに対して処罰を重くすると共に罰金を高める。民事責任については、損害賠償額の計算が容易でないことに鑑み、法定損害賠償額をNT$100,000からNT$50,000,000までに特に増設し、裁判所のケースバイケースの認定の参考に供する。この他、法人の被雇用者による刑事処罰に抵触する罪については、雇用者が共に処罰される。但し、既に行為の防止に尽くしていたものに対しては処罰されない。

公権力が商業行為に不当に介入することを避けるため、知的財産局は営業秘密侵害の罪を親告罪とする考え、必ずや当事者が告訴して検査官が始めて受理する。司法手続きに入る前に、双方が調停手続きを通じて解決することができる。

 

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