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智財裁判所、業者が譲渡を証明できない場合、著作権は原作者が所有と判決

 

 

智財裁判所2010年度民著訴字第37号民事判決

【事実】
中華民国60年代(1970年代)に「月亮代表我的心」等ロマンス流行歌を創作した作詞家の甲は、20093月に台北地方裁判所の地検署による、レコード会社が他会社に権利侵害されたと告訴した案件についての調査に協力するため、台湾に帰国し証言をした。そうしたところ、該レコード業者は甲が創作した百あまりの歌曲の著作権を勝手に移転して、該業者の所有にし、しかもその会社は、甲により著作権譲渡証明書にサインをしたものを提示したことが発覚して、たいへん驚いた。そこで甲は、著作権譲渡書にサインをしていないと主張したが、レコード業者側は、民事訴訟法第247条第1項の規定により、智財裁判所に、甲により創作された百あまりの歌曲に対する著作権は存在しないとの訴訟を起こした。

【判決結果】
智慧財產裁判所2010年度民著訴字第37號民事判決により、レコード業者は、それらの歌詞の著作権をすでに譲り受けたことが証明できず、また、これらの歌詞は業者が作詞者である甲に出資して創作を依頼して成ることが証明できないことから、甲の主張は理由があると判決し、また、本案は上訴できるとした。

【理由】
(1) 甲の百あまりの歌詞は全て1992610日以前の創作であり、当時の著作権法第10条の規定により、出資して創作を依頼して成る著作は、当事者双方が別の約定を結んでいる場合を除いて、著作権は原則上、出資者に帰する。
(2) 作詞者甲が、これらの歌詞はレコード業者の依頼により創作されたことを否認することから、該レコード業者は創作を依頼したとの証拠が確かに存在するとの証拠を示す責任がある。
(3) これらの歌詞、歌曲は、全て該レコード業者によりレコード(CD)を発行しているが、歌詞を創作したことと、出資して創作を依頼したこととは、必然的関係性を全く有さない。
(4) レコード業者は、著作権が譲渡され、その証明書にサインがされたとの信憑性を証明することができない。

【法律根拠】
著作権譲渡の関連規範では、著作権法第36条第1項、第2項などの規定により、著作財産権は全て、もしくは部分的に、他人に分譲した、または、他人と共有するとき、被譲渡人が譲渡範囲内で著作権権利人の地位により権利を行使できる。また、該法第37条第4項の規定により、専属授権の被授権者が、被授権範囲内に、著作財産権人の地位に基づいて、権利行使をすることができ、且つ、自己名義で訴訟行為を行うことができ、これに対して、著作権利人は、専属授権の範囲内では、権利行使できない。同法第79条第1項、第4項の規定を参照すると、著作財産権がない、または著作財産権が消滅した書物、あるいは美術著作について、製版者により著作がコピー、印刷、あるいは類似する方法で複製コピーが発行され、法により、登記人が、製版権を所有し、製版権を譲与することができ、登記をしない限り、他の第三者に対抗できない。

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