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労工委員会が労資間の争議に対する競業禁止条約の改正を計画

鴻海が他社に転職した該企業元経理(マネージャークラスの役職)を競業禁止争議により訴訟した件について、台湾台北地方裁判所は、20107月、鴻海の競業禁止条項による制限範囲が広すぎる上、その内容も苛酷であり、公平の原則および公序良俗に反するとして、雇い主である鴻海の敗訴の判決を下した。行政院労工委会は、こうした案件は頻繁に起こっており、競業禁止条項は明確には規定されていないので、雇用される側は離職すると元の雇用主に、競業禁止条項により訴訟されるのではないかとずっと恐れていなければならない。よって、労委会は、裁判所の判決を参照し、競業禁止期間を最長2年に制限するとし、関連条文を追加して迅速に対応すると発表した。

本件の事実の略説:鴻海は、2004年に該マネージャーを中国の子会社に赴任させたが、2008年に彼は離職した。しかし、離職後、該マネージャーが鴻海の子会社にとって競合する他企業に就職し、しかも離職前と同じ職に就いたため、鴻海は該マネージャーを競業禁止条項に違反するとして控訴し、以前に与えた賞与、株選択権、株による配当などを返還、賠償するよう求めた。

競業禁止条項は、台湾では電子分野等のハイテク産業で一早く使用されるようになり、雇用契約や就業規則の形式に現れていた。ハイテク産業は、以前から大量の資金を投入して人材教育を行い、研究開発を進めることから、特に厳重に営業機密を保護する必要性があり、重要技術の人材を引き止めるために、社員に対し特別こうした競業禁止条項にサインをさせることにより、従業員が転職後営業機密を漏らして同業間に悪質な競争が生まれるのを防いでいる。従業員は、競業禁止条項にサインすると、もし関連規定に違反すれば、雇用主がこの条項に基づき違約金を賠償するよう要求する。違約金の計算方法は、企業が重要技術の特許や商品売り上げ価値を計算基準とすることが多く、そのせいで破格の賠償を請求される場合もある。労働者側にとっては、もし競業禁止条項がその他の関連措置を伴わなければ十分に不公平である。

目下のところ、台湾では、競業禁止条項が明確には規定されておらず、審判は実務上民法の規定に従い、労資双方が自ら労働契約を結び、私的な角度から、両者が始めに設けた条件を審査することになる。

本件において、台北地方裁判所が鴻海の敗訴とした件で、主な原因は、鴻海の業務範囲が広すぎて、該離職者が従事するのを禁止した職業が広範囲に渡り、該マネージャーの生計にさえ影響を与えていることである。裁判所は、私法自治原則を尊重し、また商業機密を保障しなければならないことにも同意する。民法第562条、会社法第32条など条項に競業禁止の規範以外にも、企業と従業員が競業禁止条項にサインするのは容認するが、これら条項も民法の規定により制限されるべきである。もし雇い主の提出した競業禁止条項が苛酷すぎる、たとえば従事を禁止する職業設定が広域過ぎたり、あるいは賠償金が従業員の任職期間中の賞与、持ち株利益、株選択権利に及ぶ場合は、民法規定の公序良俗に違反する虞があり、該労働契約条項は無効とみなされるべきである、とした。

労工委員会は、こうした類の労資争議は、実際多く見られ、労工委員会は対策を考え、解決しないわけにいかず、目下労工委員会は、雇用主が従業員に競業禁止条項にサインをするよう要求する場合は、以下の4大原則に合致している必要があるとした。

1. 雇用主は保護を受ける利益を有する。

2. 従業員はその職務、あるいは仕事が営業上の機密に触れることがある場合だけサインする必要がある。

3. 競業禁止条項が禁止する期間、区域の職業対象は、合理的な範囲に留まらなければならない。

4. 従業員は、約定した後競業禁止条項を遵守し、雇用主もまた合理的な補償をするべきである。

 

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