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台湾 立法院の三読会で202359日に可決された

 

「商標法」の一部条文改正草案が524日に公布

【出典:知的財産局ウェブサイト】

台湾の立法院(日本の国会に相当)が202359日に三読会で可決した「商標法」の一部条文改正草案は、同年同月24日に総統令華総一経字第11200043251号により公布された。改正後の商標法の施行期日は、後日行政院が定める。改正後の商標法には、商標の早期権利化を希望する台湾の企業のニーズに柔軟に対応できる「加速審査制度」及び商標出願人の権益を保障する「商標代理人制度」が導入されただけでなく、司法実務における判断原則と一致させるために、権利侵害の虞にならない指示的合理使用も明確に定められた。

今回の商標法の改正ポイントは、下記のとおりである。

一、商標登録出願案の加速審査制度を新設

近年、商標登録出願件数は持続的に成長しており、改正前の審査能力では企業が登録商標を取得するまでに時間がかかり、企業の商標ポートフォリオに影響を与える可能性があったため、産業界の商標早期権利化の要望に応え、国際基準に合わせるために、商標登録出願案の加速審査制度を新たに導入することにし、改正後の商標法第19条、第94条及び第104条に、商標登録出願案の加速審査の根拠及びその適用範囲を明確に規定した。今後、出願人は、権利侵害訴訟における商標権の確認や市場で販売されている商品への対応などの特殊なニーズにより、迅速に商標権を取得する必要がある場合、事実と理由を陳述し、加速審査請求費を納付した上で、商標主務官庁に加速審査を申請することができる。ちなみに、「加速審査」に関する施行細則や料金の基準については、知的財産局がそれを定めて公布する予定である。

二、商標代理人の管理制度を構築し、商標代理業務に従事する者の既存の労働権益を保護

改正前の商標法では、台湾国内に住所を有していれば、商標代理業務を行うことができたため、専門的な商標知識を備えていない者が廉価で代理業務の誘致を行ったり、見境なく代理を行ったりしたとしても、法律でそれを管理することができないという問題があった。そこで、商標出願人と商標権者の権益を保護するために、今回の法改正では、「商標代理人制度」が導入され、改正後の商標法第6条第3項に、商標代理人は商標主務官庁主催の商標専門能力認定試験に合格した者、又は一定期間商標審査の業務に従事したことがある者でなければならず、しかも登録を行って毎年実地研修を修了した後、はじめて商標代理業務を行うことができることを明確に規定した。第6条には、商標代理人の管理措置、例えば、商標代理人としての登録条件及び提出すべき書類、実地研修の方式及び時間数、廃業の申請などについて、商標主務官庁に弁法制定の権限を付与すると規定した。また、情報の透明性を高め、一般公衆が簡単に照会できるようにし、商標出願人の権益を完全に保障するために、改正後の商標法第12条に、商標代理人名簿を備え置き、しかも、当該名簿の設置は電子方式で行うことができることを明確に規定した。

改正後の商標法の施行前に、長年商標代理業務に従事している者の労働権益を明確に保障するために、新に追加した商標法第109条の1に、改正後の商標法の施行前の3年間、継続して商標代理業務に従事しており、しかも毎年の商標登録出願及びその他の関連手続きの代理件数が10件に達する場合、改正後の商標法施行の翌日から1年以内に商標代理人の登録を申請することができることを明確に規定した。また、商標代理人の登録をした者は商標に関する専門的能力を維持するために、改正後の商標法第6条第3項、第4項の規定に基づき、実地研修を毎年修了しなければならない。

三、商標権者が税関から通知を受けて権利侵害を認定する手続を簡素化

米国、ドイツ、日本などの国の税関実務では、商標権者は必ずしも税関に出向いて認定する必要はなく、また、現在の科学技術の進歩により、撮影するだけで鮮明な写真ファイルを取得することができることを鑑みて、今回の法改正では、財政部関務署(日本の税関相当)による水際保護措置作業手続の簡素化にあわせて改正前の商標法第75条に規定された「税関に出向いて」等の文字を削除し、商標権者が税関から通知を受けて権利侵害を認定する手続を簡素化することにした。今後、商標権者は、税関が運営している「商標権侵害認定デジタルプラットフォーム」が提供する画像ファイルでまず判断し、必要に応じて自ら税関に出向いて権利侵害の認定を行うことができるようになる。

四、出願人適格を追加

営業主体が市場の営業活動で関連する商品又は役務を表示するときの実際のニーズに応じて、今回の法改正で商標法第19条第3項に、商標登録出願人として適格な主体の内容を規定した。即ち、商標登録出願の出願人適格については、今後は、自然人、法人のほかに、弁護士、建築士事務所などの実体法上の権利能力を有しないパートナー組織や、寺社、協会、生産販売組合などの法律に基づき設立された非法人団体及び商業登記法に基づき登記された独資又は共同経営の事業主体も、出願人として商標登録出願をすることができる。また、改正後の商標法第99条に、上述の団体が商標権を取得した場合も、商標法に規定する事項について、告訴、私訴又は民事訴訟を提起することができることが追加された。

五、特定の状況で他人の商標を使用する場合、合理的使用であると主張できることを明確化

商標の合理的使用には、記述的合理使用と指示的合理使用がある。前者は商標を単に自らの商品又は役務を説明するために使用することをいい、後者は他人の商標を自らの商標として使用するのではなく、当該他人(つまり商標権者)の商品又は役務を示すのに使用することをいう。この二つの合理的使用は性質が異なっており、それを区別するために、今回の法改正では商標法第36条第1項第2号に、商標権の効力に拘束されない指示的合理使用を明確に規定した。例えば、携帯電話及び通信に係る補修サービスを提供する看板広告において、各業者の携帯電話の商標を用いて、当該事業者のサービスの提供対象となる他人の携帯電話のブランドを示すことは、権利侵害の虞がある使用にはならない。また、権利侵害事件における「指示的合理使用」の抗弁について、現行法の個別の事件の解釈では適用の疑義が生じやすい点を考慮して、使用の結果、関連消費が両者を同一の出所と誤認し、又は関連企業の関係、使用許諾関係、加盟関係或いは他の類似関係が存在していると誤認し、混同誤認を生じさせる虞がある場合、本号に基づき抗弁をすることができないことを明確に規定した。

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