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知的財産局が「商標の識別力に関する審査基準」を改正

202291日より施行

台湾知的財産局は、商標の形態がますます多様化し、それに加えて、消費者の商標に対する認識や考え方も変化していることを鑑みて、審査の質及び一致性を促進し、商標の識別力に関する判断基準をより市場の取引状況に合致させるために、各類型の商標の識別力に関する審査原則を改正した。改正後の「商標の識別力に関する審査基準」は、202291日より施行された。今回の主な改正ポイントは以下のとおりである。

産業界ごとの違い及び使用状況に対応するために、「4.2.4字母と数字の組合せ」及び「4.3数字」の節に、その判断基準及び事例の説明が追加された。前者の「4.2.4」では、その表現された形態又は組合せの態様から判断を行い、商品又は役務自体の関連説明、普通名称などに属するものでない場合、例えば、化粧品商品に使用される【】などは、同業者が慣用する字母と数字の組合せからなるシリアルナンバーではないため、原則として識別力を有することが説明された。後者の「4.3」では、商標の数字が表わすものが、商品又は役務に関連する年、数量などの品質、用途或いは関連特性の説明である場合、例えば、葡萄酒商品に使用される【】は、指定商品の醸造年の説明であり、又、数字で特定の意味を表わす場合、例えば、「一路發(商売繁盛、更なる発展という意味)」の同音異義語である【】は、一般的に出所を示し区別する機能を生じないため、いずれも識別力を有しないことが説明された。

4.4図形」の節では、その時の時事や話題或いはトレンドから派生した図形に対応するために、「4.4.5流行っている図形」の内容及び事例が追加され、話題或いはトレンドから派生し設計された図形について、審査の際に、既に公衆によく知られており、社会の共通認識となっている場合、例えば、流行の「好き」を伝える時に使用する指のポーズ【】は、出所を識別する標識ではないため、原則として識別力を有しないことが説明された。また、「4.4.6単なる情報的な図形」と「4.4.7商業的外観デザインの図形」の説明及び関連事例も追加された。前者は、簡単な図形を通して商品又は役務が特定の機能、用途又は特性を有していることをアピールする又は暗示する図形を指す。例えば、【】はUV機能を有している商品であることを伝えるに過ぎず、単なる情報的事項に属し、出所を識別する標識ではないため、識別力を有しないとされた。後者は、文字、図形、色の組み合わせからなるカラーブロック等の異なる構図要素で構成された商品の営業用パッケージ又は外観デザインの図形で、商品の容器包装の表面、役務を提供する営業場所の外観又は内装デザイン等によく見られるものを指し、原則として先天的識別力を有している場合、情報的な事項を削除し、且つ識別力がない部分について専用権を放棄する旨の声明を提出すれば、商標登録を取得することができる。例えば、【】は、歯ブラシ商品に使用される歯ブラシのブリスターパックの外観デザインの造型図で、図案には識別力のある「Colgate」の文字が組み合わされており、「Slim Soft」、「CHARCOAL SPIRAL」等の文字につき商標権を主張しない旨の声明を行った後、商標登録が認められた。

4.5地理名称又はその他の地理的出所を示す標識」の節では、地理名称が、「産地」の説明である場合又は産地を誤認誤信させる場合の判断原則(つまり「1.商品又は役務と産地との関連性。2、商品又は役務の出所を誤認誤信させる虞があるか」)が追加されたほか、「4.5.5国名」及び「4.5.6地理的な図形」の審査原則及び事例も追加された。前者の「4.5.5」では、国名とその他の文字の組み合せについて、新奇な単一の印象を生じ、国名の説明的な意味から切り離されている場合、識別力を有することが説明された。例えば、旅行の予約などの役務に使用される【】は、全体的なデザインにおいて識別力を有しており、そのうち、「Korea」は役務を経営する又は提供する場所が「韓国」由来であることを示すもので、明らかに識別力を有しないため、専用権を放棄する旨の声明を行う必要はなく、図案全体として商標登録が認められた。後者の「4.5.6」では、国民が熟知する地理的な図形、又は特定の地理的な地域の外形輪郭が、消費者に特定地理的な地域又は地理的な位置を示すものであると認識させる場合、一般的には、単なる商品又は役務と当該地理的な地域とが関連があることの説明に過ぎず、出所を識別する標識ではないことが説明された。例えば、【】の中にある「イタリア半島の図形」は、よく飲食業界でどこの料理を主に提供するかの役務内容を説明する際に使われるものであり、識別力を有しないことに疑義を生じさせないため、専用権を放棄する旨の声明をする必要はなく、また、当該商標図案は全体として識別力を備えているため、商標登録が認められた。

姓氏、氏名及び肖像も、よく商標として用いられることを鑑みて、「4.6姓氏、氏名及び肖像」の節では、既に故人となった近代の著名な人物の氏名(4.6.2)及びその肖像(4.6.3)の審査原則が追加され、既に故人となった著名な人物の配偶者、相続人又は関連の公益団体は、市場の公平な競争を維持するという公共の利益に影響を及ぼさない、又は社会公衆に悪い印象を与えない条件の下で、故人となった著名な人物の氏名について出願する場合、登録が認められ得ることが説明された。例えば、近代の著名な歌手の芸名【】が慈善基金の募金等を指定役務として商標登録出願されたが、出願人である「鄧麗君(テレサ・テン)文化事業有限公司」が、その法定相続人の同意書を添付し商標登録を出願したため、登録が認められた。また、肖像及び氏名は、いずれも特定の人物を示す機能を有するため、故人となった近代の著名な人物の肖像の登録審査については、その氏名の審査原則を適用しなければならない。

実務においては、出願人が会社、商号、団体、組織、機関及びドメイン名を用いて商標登録出願することが、しばしば見られる。登録出願中又は商標登録後にその名称が変更された、又は登録後に商標権が移転されたことで、商標権の範囲の明確性及び商品又は役務の出所を正確に示す機能に影響を及ぼすことを避けるために、商標の図案に「会社名の全称(4.9.1、例えば【】)」又は「ドメイン名/URL4.9.4、例えば【】)」が含まれる場合、それは単なる情報的事項に属すると見なされ、審査時には、出願人に会社名の全称(例えば、「翔姿生技股份有限公司SHONNE ZEI BIOTECHNOLOGY CO LTD」)、ドメイン名(例えば、「www.acmesoft.com.tw」)を削除するよう通知され、専用権を放棄する旨の声明をする方式では審理を行うことができない。

4.11標語、常用語、新規な名詞及び専門用語」の節では、判断基準が改正された。標語全体が、その言葉の意味と指定商品又は指定役務の間で、直接的に説明する意味合いがなく、且つ見慣れた又は流行っている宣伝広告用語でもない場合、同業者の公平な競争に影響を及ぼさない状況において、その識別力について、「その組合せの文字の全体が、独創性を有するか、又は暗示的標識に属するか」、「出願人がグローバルポートフォリオのために行った実際の商標登録及びその使用状況」等の要素を考慮し判断を行うことができることが説明された。例えば、「open it.」と「Open it.Open Eat.」で構成された図案【】は、開けてすぐ食べられるという意味を含んでいるが、アクセサリー、衣服の商品に使用する場合、識別力を有すると認められた。その外に、「四字熟語(4.11.2.2)」の審査原則も改正された。原則として指定商品又は指定役務の品質、機能やその他の特性の説明と関連があったり、既に業界でよく使われている広告用語となった場合を除き、四字熟語は恣意的又は暗示的な標識に属し、識別力を有する。例えば、【】をオンラインショッピングなどの役務に使用した場合、提供する役務の商品について、消費者がショッピングを思う存分に楽しみ、買い物が止められなくなるという意味が含まれており、暗示的標識に属し、識別性を有すると認められた。

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