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台湾 2020年5月1日より商標登録出願の
「ファストトラック審査」試行を開始

 

【出典:知的財産局ウェブサイト】

急激な商業の発展に伴って商標登録出願案が大幅に増加している。商標出願の審査待ち件数の増加スピードは、審査官の処理能力をはるかに上回っており、商品発売のプレッシャーに直面している一般の人からは、審査期間が長すぎると商品の市場投入計画に影響をきたし、事前準備の不確実性を増大させる可能性があるという声が上がっていた。 

台湾の知的財産局は、出願人の電子出願利用を奨励し、商標登録出願案の審査を加速させるために、「ファストトラック審査」を導入する。202051日以降に提出される商標登録出願案について、出願時の手数料の納付及び提出すべき書類が下記(1)~(5)の要件を満たす場合、通常の商標登録出願案(以下、通常案件という)より2ヶ月早く審査を受けることができる。

(1)  電子方式での出願。

(2) 非伝統的商標の登録出願案、証明標章、団体標章及び団体商標を除く平面商標登録出願。

(3) 指定商品又は指定役務の名称の全てが、知的財産局の電子出願システム(https://twtmsearch.tipo.gov.tw/OS0/OS0303.jsp?l6=zh_TW)で公表している参考名称と完全に同一である。

(4) 出願手数料の納付方法が、指定口座振替、電子出願の納付書をプリントアウトし、それを使用しての納付、電子出願納付書番号を使用したWebATMでの納付のいずれかによるもの。

(5)  代理人に委任する場合、委任状を同時に添付しなければならない。なお、実際の作業状況及び必要性を考慮して、システムが出願要件の判断を行う際に、要件に適合しないといった状況が生じるのを避けるために、委任状は出願日から遅くても20日以内に知的財産局に送達しなければならない。実務では、出願人の友人又は従業員が出願人に代わって商標登録出願をするとき、その者の氏名を代理人欄に記入したものの、委任状を添付していないことがよく見られる。このような場合、たとえ友人又は従業員に商標代理を委任する意図(本来は「代理送達受取人」として記入すべき)がなくても、20日以内に委任状を提出しなければ、ファストトラック審査を適用することができない。

上記の要件を満たした商標登録出願案は、方式審査事項が全て整っているため、審査の前倒しが可能となり、出願人は現行のファーストアクション(FA)の平均期間よりも約1.5ヶ月早く出願案の登録が認められるか否か知ることができると見られている。これによって、商標使用した事業展開と戦略構築が加速し、出願人が迅速に権利を取得して機会を獲得できるようになる。

例えば、出願日が202051日のファストトラック審査案件の場合、商標審査官の審査着手時期は202031日に出願した通常案件と同じとなり、約2ヶ月繰り上がる。なお、ファストトラック審査案件の商標が規定に合致するか否かの判断は、依然として「先願主義」が原則であること、つまり先願は後願の登録を排除することができる点に注意する必要がある。「ファストトラック審査案件」は、単に方式審査要件を満たした出願を抽出した後、早めに審査に着手するだけであって、当該出願の出願日が早まるわけではない。従って早めに出願日を取得したい場合は、できるだけ早く出願しなければならない。

また、「ファストトラック審査」の対象となる商標出願案は、出願後1ヶ月ほどで知的財産局の「商標検索システム」の「商標の詳細表示(Trademark Details Report)」ページに「ファストトラック審査案件」と表記され、並びに審査ステータスが表示される。

知的財産局は、「ファストトラック審査」の対象となる商標出願案の審査着手までの期間が約1.5ヶ月短縮されると予想している。商標の新規出願件数は膨大なため(2019年は計86,794/111,681類)、現在の実務では、通常案件の審査着手までの期間は出願から約55.5ヶ月である。一方、現段階において「ファストトラック審査案件」の審査着手までの期間は、出願から約3.54ヶ月と見られている。

また、注意すべきなのは、電子方式で出願する際に、指定商品又は指定役務について一部自作の名称を不注意で加えてしまい、判明後直ちに再び電子出願システムで商品名又は役務名の補正書類を提出した場合、人力資源とシステム資源の制限により、システムが自動的にその後の補正書類と原出願案とを相互照合することができず、原出願案がファストトラック審査案件として抽出されないことである。従って、電子方式で商標登録を出願する際は、自身の権益に影響を及ぼさないよう再三確認する必要がある。

優先権を主張して商標登録を出願する案件も、指定商品又は指定役務の名称が知的財産局の電子出願システムで公表している参考名称と完全に同一である場合、出願日から3ヶ月以内に優先権証明書類を自発的に提出すれば、「ファストトラック審査」を適用することができる。優先権主張を伴う出願案の指定商品又は指定役務の名称が知的財産局の公表している参考名称と同一でない場合、優先日が出願日とされることが実体審査で非常に重要であることを考慮して、後続の権利主張に影響を及ぼすのを避けるために通常案件として出願することを勧める。

最後に、出願案がファストトラック審査案件としての要件を満たしているにもかかわらず、ファストトラック審査が適用されなかったとしても、訴願を提起することができないことについて説明する。これは、ファストトラック審査が審査作業方式の調整であり、出願人は特別な申請及び追加費用の納付が不要で、ファストトラック審査要件に合致するか否かに対して処分も下されないからである。出願から1ヶ月後に、ファストトラック審査要件を満たしているにもかかわらず、システムが誤った判断を下したため抽出されなかったと考える場合、出願人は、直接電話で知的財産局にその旨を伝えることができる。知的財産局の担当者が個別の事件ごとに処理する。 

 付表:システムが「ファストトラック審査案件」であると自動的に判断する出願要件

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