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中国 2017年改正
『商標審査及び審理基準』を公布

【出典:国家工商行政管理総局ウェブサイト】

 《商標法》の第三回改正に合わせて、中国の国家工商行政管理総局は201714日に最新の改正《商標審査及び審理基準》(以下、《審査基準》と称す)を公布した。改正《審査基準》は、商標の先行権利者の保護をさらに強化し、悪意の商標冒認出願を抑止する。

 今回の改正《商標審査及び審理基準》は、商標局及び商標評審委員会(審判部)による商標の審査及び審理において既に採用されており、今回の改正版が公布される前に提出された商標案件に対しても適用される。《審査基準》に新たに追加された内容は以下の通りである。

1.《商標法》第15条第2項の審理基準

1.1《商標法》の第15条第2項では、「同一又は類似の商品について登録出願された商標が、他人が先使用する未登録商標と同一又は類似し、出願人が当該他人と前項の規定以外の契約、業務関係又はその他の関係を有していることで、当該他人の商標の存在を明らかに知っており、当該他人が異議を申し立てた場合、その登録をしない」と規定されている。

1.2「先使用」の判定

15条第2項の「先使用」とは、係争商標の出願登録前に、既に中国市場で実際に販売、宣伝され、または中国市場で参入するために実際に準備活動を行っていることをいい、商標が使用によって一定の影響力を持っていることを証明する必要はない。

1.3 契約、業務関係及びその他の関係の判定

A.契約、業務関係とは、双方の間に代表、代理関係以外のその他の業務提携、貿易関係を有していることをいう。よく見られる契約、業務関係は、売買関係、委託加工関係、加盟関係(商標使用許諾)、投資関係、スポンサー関係、イベント共催、業務視察、協議関係、広告代理関係などである。契約書、契約を証明できる文書、ビジネス往復書簡、取引書類、購入資料などにより証明することができる。

B.その他の関係とは、双方の商取引関係以外のその他の関係をいう。その他の商取引関係は、親族関係、雇用関係(例えば、代表者以外のその他の一般従業員)などである。給与明細書、労働契約書、社会保険、医療保険書類、戸籍登録証明書などにより証明することができる。(2017年《最高人民法院による商標の権利付与及び権利確定に係る行政事件の審理における若干問題に関する規定》の第16条には更に、商標出願人と先使用者の営業所の住所が隣接している場合もその他の商事取引関係に属すると規定されている)。

2.《商標法》第19条第4項の適用基準

《審査基準》では、《商標法》第19条第4項に基づいて、対応する規定として、商標の方式審査では、商標代理機関による、代理業務に係るもの以外の商品又は役務に係る登録出願は、これを受理せず、すでに受理された場合は、実体審査で拒絶されることが定められた。

3.審査意見通知書の審査実務における運用基準

 審査意見通知書は、商標局が、商標登録出願は《商標法》の規定に違反するものの、例外規定に合致する可能性がある事情を有していると認めたときに、出願人に対し15日以内に商標登録出願について説明または補正するように要求するものである。追加説明・補正の結果、法律に定める例外規定に合致した場合、予備的査定が下される。審査意見書は「使用により顕著な特徴を有し且つ容易に識別できるようになった商標」、「外国の国名と同一又は類似するが、当該国の政府の同意を得ている場合」などに適用される。

3.1審査意見書の適用範囲

ü   外国の国名、国旗、国章、軍旗等と同一又は類似するが、当該国の政府の同意を得たもの。

ü   政府間国際組織の名称、旗章、徽章等と同一又は類似するが、当該組織の同意を得ているもの、又は公衆に誤認を生じさせないもの。

ü   実施管理及び保証を表す政府の標章、検査印と同一又は類似するが、授権を得ているもの。

ü   県級以上の行政区画の地名又は公衆に知られている外国の地名で、別の意味を有するもの又は団体商標、証明商標の一部となっているもの。

ü   新聞、雑誌、定期刊行物、ニュース刊行物など特殊な商品について、国名、県級以上の行政区画の地名を含む商標を登録出願するとき、出願人は、例えば《定期刊行物出版許可証》などの関連証拠を提出する必要がある。

ü   使用により顕著な特徴を有し且つ容易に識別できるようになった商標。

3.2期間:出願人は商標局の通知を受け取った日から、15日以内に説明または補正をしなければならない。

4.利害関係人の認定基準

《商標法》第33条、第45条に規定される異議申立及び無効宣告請求ができる利害関係人は、先行商標権及びその他の先行権利の使用許諾を受けた者、合法的な承継人、商標質権者などである。出願時には利害関係を有しないが、案件の審理時には利害関係を有していた場合、利害関係人と認定しなければならない。

5.《商標法》第50条の適用基準

《審査基準》では、《商標法》第50条に基づき、対応する基準が定められた。すなわち、先行の同一又は類似する登録商標が取り消しされたとき(継続して3年不使用による取消の場合を除く)、無効宣告されたとき、または存続期間が満了しても更新しなかったときは、取消公告された日、無効宣告の復審(不服審判)請求期間を過ぎた後又は商標専用権の期間満了日から1年未満は、これをもって後願の商標を拒絶しなければならない。

6.音商標審査基準

《審査基準》には、音商標登録出願の方式審査と実体審査の要件が記載されており、音商標の実体審査には不登録事由の審査、顕著な特徴の審査及び同一又は類似審査が含まれる。

 音商標は2014年《商標法》に新しく追加された商標の類型である。音商標の審査基準の制定によって、出願人に非常に重要な出願ガイドラインが示されたことにより、音商標が方式審査要件、実体審査要件に合致しないために、補正を命じられたり、拒絶されるリスクを低減することができる。

6.不登録事由の審査:

音商標は《商標法》第10条の規定に違反してはならない。例えば、中国又は外国の国歌、宗教音楽又は暴力的な音声などを商標として登録出願してはならない。

6.2顕著な特徴の審査:

 指定商品または指定役務の内容、消費物品、品質、機能、用途及びその他特定の音声を直接表現しただけのものは、登録を受けられない。例えば、クラシック音楽を「コンサートのアレンジ及び計画」に使用すること、または、酒瓶の栓を抜くときの「ポンッ」の音を「ビール」に使用すること。

 その他顕著な特徴に欠ける音声、例えば、完全な又は長い歌や楽曲、業界内で一般的な音楽や音声なども商標として登録してはならない。

6.3同一又は類似の審査:

これには音商標同士の同一又は類似の審査も、音商標と可視的な商標との間の同一又は類似の審査も含まれる。すなわち音商標中の音声に対応する文字又はその他の要素が、可視的な商標の中に含まれる文字又はその他の要素の読みと同一又は類似する場合は、登録を受けられない。

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