商標法部分条文改正草案行政院会議で可決
台湾行政院は2016年6月23日に経済部が作成した商標法部分条文の改正草案を閣議で可決した。この改正草案は既に立法院の審議に転送され、三読の立法手続の完了を待っている。
わが国が「環太平洋連携協定(Trans-Pacific Partnership Agreement, TPP)」に加盟することに積極的に進み、同協定の知的財産権に関わる規定に適応するため、現行「商標法」の部分条文の改正草案を作成した。改正草案の要点は下記の通り。
- 商標権侵害として商標のラベル等物品を製造、販売…する行為を新しく増設。(改正草案第68条第2項)
- 商標権侵害とみなす行為の一つとして70条の第3項を削除。(改正草案70条)
- 商標又は団体商標の侵害の処罰規定(95条)に関してラベル等物品を製造、販売…する行為に対する処罰規定を改正草案95条の第2項として新設。
- 証明標章権の侵害の処罰に関する96条の規定について、第2項の証明標章のラベル、下げ札…等物品を製造、販売…する行為の刑罰規定を改正。(改正草案96条2項)
- 他人の行った侵害商品の販売等行為に関する刑罰の主観的要件を改正。(改正草案97条)
なお、刑法及び刑法施行法の没収などに関する改正条文は已に2015年12月17日に立法院の三読手続きを完了し、しかも已に2016年7月1日より施行している。刑法施行法第10条の3第2項の規定により、施行日前に制定されたその他の法律で没収、追加徴収、追加納付、弁償に関する規定は二度と適用されない。但し、現行商標法第98条の没収規定は絶対没収に属する特別規定である。もし刑法の新しい規定の適用に回帰するなら、これら侵害物品の権利帰属及び正当事由による取得等事実を確認しなければならない。それから、職権による没収に関する挙証及び認定手続を増加し、さらに所有者に返還して再び市場に戻る可能性があるため、まさに侵害行為の取り締まりの効果を妨害する。故に、商標法第98条は依然絶対没収の規定を維持し、ただ条文中の「犯人」を「犯罪行為人」に改正しただけ。なお。別紙に記載されている商標法改正条文(三読通過公布後)の施行日はは改正草案第111条の第2項として行政院が別途これを定めると増設した。
商標法改正条文の内容は別紙ご参照ください。
【別紙】
改正草案第68条(商標権の侵害)
商標権者の同意を得ないで販売の目的で次に掲げる事情の一つがあるものは、商標権の侵害である。
①同一商品又は役務について登録商標と同一の商標を使用するとき
②類似する商品又は役務について登録商標と同一の商標を使用して関連する消費者に混同誤認させるおそれがあるとき
③同一又は類似する商品又は役務についてその登録商標に類似する商標を使用して関連する消費者に混同誤認させるおそれがあるとき
2 前項商標権侵害のおそれがあり、ラベル、下げ札、タグ、包装容器又は役務と関連ある物品を製造、販売、所持、陳列、輸出又は輸入して自己又は他人に供し、商品又は役務に使用させるときも亦同じ。
改正草案第70条(商標権侵害と見なす行為)
商標権者の同意を得ずに、次に掲げる事情の一つを有するものは、商標権の侵害と見なす。
①他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、同一又は類似する商標を使用し、その商標の識別性又は声誉を減損させるおそれがあるもの。
②他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、その著名商標の中の文字を自己の会社、商号、団体、ドメインネーム又はその他営業主体を表彰する名称として、関連する消費者に混同誤認させるおそれがあり、又はその商標の識別性又は声誉を減損させるおそれがあるもの。
③第68条の商標権を侵害するおそれがあることを明らかに知りながら、未だ商品又は役務と結びついていないラベル、下げ札、包装容器又は役務と関連する物品を製造、所持、陳列、販売、輸出又は輸入するとき。
改正草案第95条(商標権侵害又は団体商標の侵害の処罰)
商標権者又は団体商標権者の同意を得ずに、販売の目的のため次に掲げる事情の一つを有するものは、3年以下の有期懲役を処し、拘留又は新台湾ドル20万元以下の罰金を科し、又は併科する。
①同一の商品又は役務について、登録商標又は団体商標に同一の商標を使用したとき。
②類似の商品又は役務について登録商標又は団体商標に同一の商標を使用して関連消費者に混同誤認させるおそれがあるもの。
③同一又は類似の商品又は役務について、登録商標又は団体商標に類似する商標を使用して関連消費者に混同誤認させるおそれがあるもの。
2 前項商標権侵害のおそれがあり、ラベル、下げ札、包装容器又は役務と関連する物品を製造、販売、所持、陳列、輸出又は輸入して自己又は他人に供し、商品又は役務に使用させるとき、一年以下の有期懲役、拘留、又は新台湾ドル5万元以下の罰金を科し、又は併科する。電子メディア又はインターネット方式で行ったときも亦同じ。
改正草案第96条(証明商標権の侵害の処罰)
証明標章権者の同意を得ずに、販売の目的で同一又は類似の商品又は役務において登録証明標章に同一又は類似する標章を使用して関連消費者に誤認誤信させるおそれがあるものは、3年以下の有期懲役を処し、拘留又は新台湾ドル20万元以下の罰金を科し、又は併科する。
2 前項の証明標章権を侵害するおそれがあり、ラベル、下げ札、包装容器又は役務と関連する物品を製造、販売、所持、陳列、輸出又は輸入して自己又は他人に供し、商品又は役務に使用させるとき、3年以下の有期懲役、拘留、又は新台湾ドル20万元以下の罰金を科し、又は併科する。電子メディア又はインターネット方式で行ったときも亦同じ。
改正草案第97条(販売目的のための侵害物品の販売、所持、陳列、輸出又は輸入に関する処罰)
他人の行った前二条第一項の商品について、販売の目的で販売、所持、陳列、輸出又は輸入するものは、1年以下の有期懲役を処し、拘留又は新台湾ドル5万元以下の罰金を科し又は併科する。電子メディア又はインターネット方式で行ったときも亦同じ。
改正草案第98条(商標権、証明標章権または団体商標権の侵害物品又は文書の没収)
商標権、証明標章権又は団体商標権を侵害する物品又は文書は犯罪行為者の所有に属するか否かを問わず、これを没収する。
改正草案第111条(施行日)
この法律の施行日は行政院がこれを定める。
2 この法律○○○○年○月○日に改正された第68条、第70条及び第95条ないし第97条の施行日は行政院がこれを定める。 |