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北京知識産権法院判決:既になくなった人の
姓名(氏名)である登録商標は保護を受
けなければならない

 米国勝利国際公司(Triumph International Inc.社、以下「Triumph社」と称す)が商標審判委員会の道費森国際集団有限公司(Duofashion International Group Limited社、以下「Duofashion社」と称す)の「MICHAEL JACKSON」商標登録を維持する裁定に不服して北京知識産権法院に訴えを提起した。北京知識産権法院は2015115日に係争する登録商標「MICHAEL JACKSON」は2001年改正商標法第10条第1項第8号に規定する「その他の悪影響を及ぼすもの」に該当すると認めて商標審判委員会のなされた係争商標の登録を維持する裁定を取消す判決を下した。

 その事実経過、原告Triumph社の主張及び北京知識産権法院の認定は下記の通り。

一、事実の摘要

  1. 201097日にDuofashion社が「MICHAEL JACKSON」商標を登録出願し、2013314日に登録を得た。第25類「服装、靴、帽子、ネクタイ、手袋」等商品に使用を指定していた。
  2. 2015113日に「MICHAEL JACKSON」商標は国家工商行政管理局商標局(以下「商標局」と略称する)より許可されて公告になり、Duofashion社より福建風尚時装有限公司(以下「福建風尚時装」と略称)に譲渡した。
  3. 201472日にTriumph社は商標審判委員会に、当該商標が既になくなったMichael Jackson氏の姓名権を侵害した等理由で「MICHAEL JACKSON」商標登録の無効を宣告するよう審判を請求した。
  4. 2015211日に商標審判委員会は商標法の保護する「他人の現有の先権利」に存命中の自然人の氏名権を包括すると認めたが、しかしMichael Jackson氏が既になくなり、氏名権の保護主体はもう存在しない。故に、係争する商標登録を維持すると裁定した。
  5. Triumph社は商標審判委員会の作成した係争する商標登録を維持する裁定に不服してすぐ北京知識産権法院に行政訴訟を提起した。

二、原告Triumph社の主張

  1. Triumph社はMichael Jackson氏遺産管理人の授権でMichael Jacksonの姓名権(氏名権)を侵害するいかなる行為に対しても訴訟を提起することができる。
  2. 商標「MICHAEL JACKSON」はすでになくなった流行音楽の巨星Michael Jackson氏の英文名前である。彼が既になくなったとはいえ、その姓名権(氏名権)の持つ財産的権益は法律の保護を受けられないのではなく、MICHAEL JACKSON商標はMichael Jackson氏の姓名権(氏名権)を侵害するばかりでなく、また「MICHAEL JACKSON」に関連するドメインネーム権をも侵害した。
  3. Michael Jackson氏が極めて高い知名度を有し、福建風尚時装はMichael Jackson氏と何ら関係のない法人として、Michael Jackson氏の氏名を第25類服装類商品に登録していることは主観的悪意がある。若し当該公司に「MICHAEL JACKSON」商標を登録させた場合、消費者をしてその商品の提供者がMichael Jackson氏と関係があると誤認させ、市場の秩序を撹乱する。
  4. MICHAEL JACKSON」商標の登録はTriumph社の以前の「商品化権」を損害する。

三、北京知識産権法院の認定:

  1. 原告Triumph社はMichael Jackson氏財産管理人及び遺言執行者授権の主体であり、利害関係人として商標審判委員会に対して係争商標の無効を宣告する請求権があると認められたが、しかし、Triumph社の姓名権(氏名権)、ドメインネーム権、商品化権に関する主張は支持されない。そして福建風尚時装の登録商標「MICHAEL JACKSON」は2001年に改正商標法第10条第1項第8号に規定する「その他悪影響を及ぼすもの」に該当すると認められた。
  2. Michael Jackson氏がなくなったとはいえ、その氏名及び形象は未だに客観的な経済価値がある。福建風尚時装及びその関連会社Duofashion社はMichael Jackson氏と関係のないその他の主体として無断でMichael Jackson氏の氏名及びその形象を、商標として数回に亘って服装商品に登録されていることは、抜け駆け出願の故意がある。当該商標の使用は必ず関係大衆に誤認を発生させ、社会公共の利益を損害する。
  3. 北京知識産権法院は商標審判委員会のなされた裁定は法律適用錯誤と認め、商標審判委員会の作成した裁定を取消すと判決し、新たに裁定を作成するよう命じた。同時に、商標行政機関は同類案件に対して審判するとき、相対的一致の法律執行の基準に従うべく、とくに案件に関する商標、商品または役務類別、案件当事者及び既存する証拠はみんな基本的に同じの案件では、結論に相違する行政裁決を作成してはならない。以前中国の法院は曾てにすでに亡くなった人の氏名を商標として登録された行政訴訟の判決の中、当該行為は2001年改正商標法第10条第1項第8号に規定する「その他悪影響を及ぼすもの」に該当すると判決された下記二つの前例がある。

120109月に北京市第一中級人民法院は貴州美酒可醸酒有限公司対「李興発LIXINGFA及び図形」商標の行政争議案件の中に作成した判決で、「李興発LIXINGFA及び図形」商標の登録出願は2001年改正「商標法」第10条第1項第8号に規定する「その他悪影響を及ぼすもの」に該当すると認定した。

2201410月に張潮欽氏が「李小龍」商標異議申立に関する商標局の裁定に不服して提起した訴えで、北京市高級人民法院は判決の中、「李小龍」商標の登録出願は2001年改正「商標法」第10条第1項第8号に規定する「その他悪影響を及ぼすもの」に該当すると認定した。

 

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