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BOBSONの鬼面の商標、最高行政裁判所の判決で敗訴確定

 鬼面の商標でジーンズを販売している普威実業(以下「ブルーウェイ」)は、BOBSONジーンズの鬼面の商標とその図案がブルーウェイのものと類似するとして、異議申立を行った。両商標の図案等の資料は、以下の通りである。
本件の係争商標の元の商標権者は「ボブソン株式会社(日本企業)」で、当該商標はその後、「株式会社ピーチフォート(日本企業)」に移転登録され、201181日付の商標公報に公告された。
◎異議申立人のブルーウェイの主張
一、商標図案の外観が類似:登録第01422140号係争商標を、登録第01275230号を主とするシリーズ商標と比べると、外観はいずれも左向きの側面で髪が靡いた鬼面のデザインで、両者は類似商標に属し、二つの商標は共にその使用を同一又は類似の衣服などの商品に指定している。したがって、係争商標の登録は、登録時の商標法第213条第1項第13号の規定を適用すべきである。
二、引用商標は著名商標:異義申立人は1998年に先に識別力が極めて高く且つ消費者に深い印象を与える「鬼洗い及び図」シリーズ商標をジーンズに使用しており、前記引用商標は、知的財産局に次々と登録許可されたほか、20021月から台湾の各大手テレビメディアの主要な時間帯に大量にコマーシャルを流し宣伝を行った。また、全国に191店舗の販売拠点を有し、異議申立人は、10年に亘って使用してきた。したがって、引用商標は関連消費者にとって広く認知された著名商標である。
三、業務関係による先取り登録:係争商標権者は同業者で、異議申立人が先に出願した引用商標を知ることができた。したがって、引用商標と類似の図案を登録出願したのは故意によるものである。
◎被異議申立人のBOBSONの答弁主張
一、鬼面のデザインは独創性に欠ける:引用商標の鬼面の図案のデザインは、民間伝説を基としたもの、又は人の鬼に対する普通の想像であり、識別力は高くない。また、第25類の商品において、鬼面の図案が商標として登録許可された例は少なくなく、当該鬼面のデザインは独創性に欠けるものである。
二、二つの商標は類似しない:係争商標の全体の外観デザインは引用商標とは異なっており、商標権者は、使用者がはっきりと商品の出所が分かるように、係争商標の中に特別に著名な商標文字「BOBSON」を入れた。したがって、二つの商標は人に商品の出所について混同又は誤認を生じさせることはなく、類似する商標ではないと判断すべきである。
三、被異議申立人に剽窃の悪意はない:被異議申立人は有名ジーンズブランドの製造業社であり、1970年に「BOBSON」を商品の出所を表す標識として用い、多数の商標(第84550号、第110377号、第115195号等)が知的財産局に登録許可されたほか、全台湾のBOBSON販売店及び各大手デパートのBOBSON売り場で陳列販売を行っており、係争商標は商標権者が実際に使用し既に広く消費者に熟知されたもので、また二つの商標が市場において共存していた事実を斟酌すると、商標権者に異義申立人を剽窃する悪意はない。
◎知的財産局の審査結果:ブルーウェイの異議申立は成立し、登録第01422140号商標は取り消すべきである。
一、二つの商標は類似する:商標の創意工夫の源やそのデザイン理念が何なのか、消費者は一目で分かるものではなく、両商標の外観又は概念が類似しているか否かが、やはり消費者が判断する際の客観的な根拠となる。係争商標の外国語の「BOBSON」がデザインされた後の鬼面の図案が人に与える印象は、炎のような髪型で、異議申立人の引用商標である登録第1275230号「ブルーウェーブ標章」商標の類似した炎状の墨色のデザインの鬼面の図案と比較すると、両者はいずれも単純な左向側面の鬼面の図案を、消費者に商品の出所を識別させる主な標識としている他に、外観上又は概念上において人に対し、いずれも険しい顔の表情と、尖った鼻と、開いた口に尖った歯と、炎のような洒脱な髪型等の印象を与えるもので、工夫されたその構図、デザインはまるで同じであり、普通の知識経験を有する消費者が購買時に施す普通の注意では、外観又は概念上、二つの商品の出所が同一である又は同一ではないが関連があると誤認する虞があるため、類似する商標であると判断すべきであり、しかも類似の程度は低くない。
二、商品は極めて類似:二つの商標の指定商品はいずれも人が着用する商品で、機能、材料、製造者又はその他の要素において共通又は関連するところがあり、標示が同一又は類似の商標が、一般社会の通念及び市場の取引状況によって、消費者にその出所が同一であると容易に誤認させてしまうのと同じ様に、同一又は類似する商品であると判断すべきであり、しかも類似の程度は極めて高い。
三、引用商標の後天的識別力は高い:商標の識別力が高ければ高いほど、商品/役務の消費者に与える印象は深くなり、他人が少しデザインを似せるだけで、購買者に誤認を生じさせる可能性がある。係争商標が鬼面の図案を衣服などの商品と何の関連性もない物に指定したとしても、消費者はやはり商品の出所を識別する標識であると認識することができ、引用商標のデニムジャケット、ジーンズ等の商品は異議申立人が広く宣伝販売を行ったことで既に消費者に熟知されており、その後天的識別力も高く、つまり本件の登録第01422140号係争商標と引用商標は類似しており、消費者に容易に誤認を生じさせる虞がある。
四、関連消費者のブルーウェイシリーズの鬼面の商標に対する熟知度は高い:異議申立人であるブルーウェイは、1998年に「鬼洗い及び図」シリーズ商標を、製造したジーンズ等の商品に使用し、20062007年に「鬼洗い再生」をテーマとして、引用の「ブルーウェイ標章」である鬼面の商標を登録し、製造したジーンズ等の商品に使用して販売した。その販売は、北部、中部、南部の大手デパート等を販売拠点として行われ、テレビメディアでも広告宣伝を行い、関連業者又は消費者は引用の「ブルーウェイ標章」の鬼面の商標を既に熟知している。またここには2007年、2008年のテレビコマーシャルの料金計算通知書や、引用商標の新光三越デパートに設けられた売り場の写真などの証拠資料の写しがあり記録を調べることができる。しかし答弁書に添付された「BOBSON」商標の商品広告及びカタログ等の資料はいずれも、商標権者の主な外国語の「BOBSON」商標の使用証拠に属するもので、2010年の商品カタログ又は商品の実物写真等の使用資料において係争商標図案はあるものの、日付の記載がなかったり、又は日付が係争商標登録日の201081日より僅かに数か月早い物しかなく、またその販売数も多くないため、係争商標が衣服商品業において商標権者によって広く使用され消費者が熟知するもので、二つの商標の商品が取引市場において長く共存し、消費者に混同誤認を生じさせる虞がないと認めがたい。
 ピーチフォートは、上記の結果を不服として訴願を提起したが、棄却され、棄却の後、行政訴訟を提起した。知的財産裁判所は審理後、知的財産局の異議申立成立の理由を認め、ピーチフォートに敗訴の判決を下した。全事件は最高裁判所が2013815日に上訴を棄却した後確定した。
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