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南僑化学工業の登録商標「讃岐」、「SANUKI」、「さぬき」及び「サヌキ」が登録無効の審判確定

台湾の南僑化学工業股份有限公司(以下「南僑」と称する)が「讃岐烏龍急凍熟麺」(讃岐うどん急速冷凍調理パック)系列商品をもって日本加藤グループの技術・設備並びに処方を導入し、日本と同じくオーストラリアから輸入した小麦を採用し、並びに手工による製麺方法等を模倣し、1998年に陸続として一系列の中国文、日本語、英語の「讃岐」即ちさぬき商標を当時の商標法施行細則第49条で定めた商品及びサービス分類表第29類の「肉燥(にんにくと揚げた肉の粒を混ぜてできた味付け材料、主にそば類のスープの味付け材料に使われる)、貢丸(豚肉の筋肉団子)、天麩羅、冷凍即席料理パック…」;第30類の「粥、飯、うどん…」、第42類「冷熱飲料店、飲食店、軽食店、レストラン、日本料理店」等商品ないしサービスに指定している。詳細は下記の通り。
商標
名称
商品/役務
出願日
登録日
無効審判事件決定番号
裁判日
判決案号
出願番号
登録番号
訴願決定番号
讃岐
29
1998/5/12
1999/4/16
中台評字H00970075
--
087022382
848951
--
30
1998/5/12
1999/3/16
中台評字H00970082
2011/11/17
100行商訴字第92号
087022381
844652
経訴字10006098920
42
1998/6/12
1999/5/16
中台評字H00970071
--
087028598
109719
--
SANUKI
29
1998/6/11
1999/5/1
中台評字H00970078
--
087028314
850810
--
30
1998/6/11
1999/3/16
中台評字H00970077
2011/11/9
100行商訴字第84号
087028317
844819
経訴字10006098250
42
1998/7/15
1999/7/1
中台評字H00970080
--
087034240
111882
--
さぬき
29
1998/6/11
1999/5/1
中台評字H00970083
--
087028318
850812
--
30
1998/6/11
1999/3/16
中台評字H00970079
2011/12/1
100行商訴字第91号
087028313
844696
経訴字10006099070
42
1998/6/12
1999/5/16
中台評字H00970070
--
087028603
109721
--
サヌキ
29
1998/6/11
1999/5/1
中台評字H00970074
--
087028320
850845
--
30
1998/6/11
1999/3/16
中台評字H00970073
2011/12/8
100行商訴字第90号
087028316
844818
経訴字10006098880
42
1998/6/12
1999/5/16
中台評字H00970081
--
087028602
109783
--
 
上記の表から次のことを知ることができる。即ち「南僑」の「讃岐」、「SANUKI」、「さぬき」、「サヌキ」ら4件商標(指定商品第30類)は無効審判事件で、既に2009年に知的財産局によって商標登録取消され、後に「南僑」は不服で訴願を提起した。その後知的財産裁判所は2011年に前後4回の判決を下し、いずれも知的財産局の登録取消処分を維持している。「南僑」が敗訴で、即ち4件商標は既に「南僑」の専用でなくなり、何人も使用できるようになった。
 
知的財産裁判所の判決理由の重点は書きの通り要約される。
 
1.「讃岐」は日本の地理名称であり、わが国の人民は客観的にも「讃岐」は日本の地名であることを知っている。
 
2.日本のうどんは讃岐地方出身の空海大師が唐の時代長安に留学した時に日本に持ち帰られた食べ物であると伝えられている。日本各地においてはうどんを食べる歴史は既に一千年を超えている。日本読売新聞が日本全国の消費者に対するアンケート調査によれば、四国の各地の名産又は名所に対する認知度の最も高いものは讃岐うどんが首位である。日本のフジテレビは嘗てに讃岐うどんを背景として映画の撮影をしている。日本の各学術団体、新聞雑誌は今日まで常に讃岐うどんの話題を報道ないし研究討議している。讃岐は全日本でうどんの最も多い地区になった。故に讃岐という地理名称はうどんとの間に密接な関連性を有している。
 
3.日本公正取引委員会が1976年に法令を発布し、業者が讃岐特産うどんが具すべき品質、例えば水の量、塩分などの標示を定められている。なお、明文に香川県内に製造されなければならないもの初めて讃岐うどんと標示できると定められている。このことから讃岐うどんが日本において既に国家クラスの地位に達しており、日本公正取引委員会の規範を受けられていることを十分に証明している。「南僑」が生産するうどんは香川県内に製造されるものでなく、その品質が日本公正取引委員会の規範とは一致しない。「南僑」が讃岐を商標として確かに公衆にその商品が讃岐うどんの規範と一致していると誤認誤信させている。
 
4.漢字「讃岐」又は日文「さぬき」、「サヌキ」をうどんと関係ない商品に指定した場合、品質又は産地と係りなく、即ち任意的標示又は商標である故、識別性があるはず。従って漢字「讃岐」、平仮名「さぬき」又は片仮名「サヌキ」単独で商標として登録することができる。これに反し、若し「讃岐」単独でうどんと関連のある商品に使用している場合、商品の品質又は産地と関わりがある商品に使用しているからそれが関連消費者に対する意義は地理位置の指示である。関連消費者をして日本香川県の特産又は名産であるうどんと混淆させられる。故に、日本特許庁は単独で「讃岐」をうどんと関連ある商品を指定商品とする登録例が存在している例がある。「讃岐」をその他の図形・文字と組み合わせて識別性のある標識になって初めて登録できる。
 
5.縦令原告「南僑」がその商品の包装において日商・加藤吉株式会社と技術提携しているとの文字があり、関連する消費者に与えた印象は、依然原告「南僑」が日商・加藤吉株式会社と技術提携して「讃岐」地区に生産・製造そしてわが国に輸出されているうどんであるため、自ら公衆にその商品の産地について誤認させている虞がある。
 
6.わが国の消費者が中国文(漢字)「讃岐」を見たとき、容易にそれが日本で知名なうどんの産地であると認知・印象であることを発生しやすいので、自ずと本件無効審判の時に、関連する消費者が既に係争商標「讃岐」、「SANUKI」、「さぬき」、「サヌキ」が表示するうどん等商品の産地について誤認誤信させることを発生する虞がないとは認めがたく、商標法第54条但書の規定の適用があるとは認難がたい。
 
7. 「南僑」が上記係争商標を出願するとき、本来将来登録無効審判請求に遭うことを予見する可能性があるし、かつ、讃岐うどんの産地は日本讃岐地区であることをも知ることができるため、信頼原則を言う余地がない。
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