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「会員特典」が文字商標として識別性欠如と認められた

家電メーカー燦坤実業股份有限公司(以下「燦坤」と称する)が2007年に「会員招待会」5文字を国際分類第35、37、38、41類の役務を指定してサービスマークの登録出願をしたところ、台湾知的財産局(TIPO)は「会員招待会」が「所属する会員に対して提供する特別優遇プラン」の意味があり、広告文字である故、指定している役務に関連した消費者にそれが指定役務を表彰する標識であることを認識させることができない。また、それをもって他人の役務と区別することもできなくて識別性欠如と認めて拒絶査定をした。
 
その後、燦坤がまた2009年7月に「会員特典」4文字を第35類の役務を指定してサービスマークの登録出願をした、出願番号は098030901号である。燦坤は「会員特典」4文字が燦坤の商標として長期に亘って広汎に使用してきたため、既に二次的意義(Secondary meaning)を取得し、商標法23条4項の規定に合致しているといって同商標の識別性があると主張している。
 
台湾知的財産局(TIPO)が審査した結果このように認定している。本件商標「会員特典」はデザインをされていない単純な横書きの中国語から構成されており、その文字全体が関連消費者に与えた認知はその所属する会員に対して特別の優待プランを提供する広告宣伝用語であり、各業者が販売促進の宣伝広告のときによく使われる用語であり、それを商標として「工商広告の企画、広告宣伝及び宣伝品の配送、その他の企業のための商品及び役務の仕入れ、ネットオークション、百貨店、スーパーマーケット、コンビニ、スーパーストア、ショッピングセンター、メールオーダー、TVショッピング、ネットショッピング(eショッピング)、食品及び飲料品の小売、電器用品及び電子材料の小売、撮影器材の小売」等役務を指定している場合、役務に関連した消費者をしてそれが指定役務を表彰する標識であることを認識させることが十分でなく、またそれをもって他人の役務と区別することも不十分であるため、識別性がないと認めて2010年12月14日に商標拒絶第0328262号査定書でもって拒絶の処分をした。
 
出願人燦坤がこの拒絶査定に不服し、訴願(行政不服申立)を提起し、経済部は2011年4月21日付け経訴字第10006098560号決定書を以って訴願却下の決定をした。燦坤が承服せず、台湾知的財産裁判所(TIPC)に行政訴訟を提起した。
 
燦坤は同社が2009年から2010年11月まで、既に6080万新台湾ドルの宣伝広告費を投入し、同商標を台湾で長期に亘って広汎に使用してきた結果、取引上既にその表彰する商品又は役務の識別標識になって二次的な意義(Secondary meaning)を取得していると主張している。
 
台湾知的財産裁判所(TIPC)は審理した結果、次のように認めている。燦坤の出願する商標はデザインをされていない単純な横書きの中国語「会員特典」から構成されており、その文字全体が関連消費者に与えた認知はその所属する会員に対して特別の優待プランを提供する意味である。燦坤自らもその係争商標を使用して販売している商品は1970年代日商・英弘株式会社の「山彦(やまびこ)」(中国語「山谷廻響」)の概念に由来し、そして「特典」一語が日文においては「特別の恩典」又は「特別の待遇」と意味している。燦坤が提出されたGoogle、Yahooのネット捜索情報にも以下の文句がある。「燦坤TKEC4月会員特典、来店して燦坤の会員カードでガラスカップ1つ又はエコー水筒1つ贈呈」;「消費者に深く期待される燦坤3C会員特典活動は4月16日よりスタート、4日間連続の会員専属の販売促進活動でホット商品1万点を提供して会員だけに享受させる買い争い」;「燦星3C会員特典活動は4月16日から4月19日まで、4日間連続の会員専属の販売促進活動で、数多くの商品がまさに破格の安値で売る」;「燦星が会員特典期間中、毎日15時より熱売商品を放つ」;「燦星3C封館会員特典活動は明日(金曜日)から23日(来週月曜)まで4日間主な優待商品は…を含む」などの類い。
 
従って、「会員特典」の文字全体が関連消費者に与えた認知の意義は即ち所属する会員に対して特別優待のプランを提供する意である。原告がこれを商標として工商広告の企画等役務に使用を指定した場合は、所属する会員に対して提供する特別優遇のプランを説明する広告宣伝用語であり、業者が特定の広告宣伝期間にその商品または役務の販売促進に使われる簡単かつ直接の表現方式であるから、指定している役務に関連した消費者にそれが指定役務を表彰する標識であることを十分に認識させることができない。又、それを以って他人の役務と区別することもできない。故に識別性がない。
 
更に、文字「会員特典」の使用方式から見た場合、燦坤「会員特典」の広告資料では、その広告看板の全体における配置には「会員特典」という文字を標示しているほか、左上の隅にすべてやや美術的デザインをされた「燦坤」2文字を標示している。並びに「春季大賞6期0利率」、「封館」、「全民値上げ対抗台湾頑張れ!」、「会員が会員カードを持参してください」、「1万種類の商標、特別奉仕価格で優待」等広告宣伝用語をそれぞれ表示している。かつ、上記広告資料に載っている「会員特典」の文字がその他の宣伝広告用語と交互に配置されている。関連する消費者の認知から言えば、実に上記広告資料中、単に「会員特典」が商標として使用され、その他の文字は単純な広告宣伝用語であることを区別すべが無いので、若し「燦坤」の文字の標示が無かったら、消費者が本当に単に「会員特典」等文字でもってその商品または役務の由来を識別することができない。

関連消費者が「会員特典」を商標の使用と見なさない以上、「会員特典」等文句は直接に原告に所属する会員に対して提供する特別優待プランを表す単純な広告宣伝用語である以上、縦え燦坤が2009年から2010年11月まで、既に6080万新台湾ドル以上の宣伝広告費用を投入したにもかかわらず、とうとう係争商標が既に原告によって長期に亘って広汎に使用してきた結果、取引上既にその商品又は役務の識別標識になって二次的な意義(Secondary Meaning)を取得しているととうとう認めがたい。従って、台湾知財裁判所(TIPC)は依然「会員特典」が商標として許可しないとの判決を下した。

 

 

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